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遊ぶな

フハー満足、満足。2013年3月29日ピクシブ公開。

着信があった。

 しかし、見慣れた番号なので、睡魔を優先したら、インターホンを何回も鳴らされたので、不機嫌な顔でたつみを招き入れた。

 「適当にしててくれ」

 そういって、鳴緒なおはソファーに横になる、眠れてなかったらしく、ソファーを抱えて、必死に目をつぶってる。

 ソ~

 そこに巽が近づく、手には耳掻きを持っている、用意周到と言えた。

 キッ!

 気配を察してか、一睨みすると、脊髄反射で巽はピクッとなるが、鳴緒はそれ以上する気はないようで、また瞼が閉じる。

 サワ

 巽の手が鳴緒の頭を何回か撫でると、細い髪が指先に絡まってくる。耳かきをしたいので、耳を軽く引っ張り、そのまま覗き込む。

 鳴緒の耳は綺麗である。綺麗、汚いの綺麗ではなく、美しいの方の綺麗である。

 この耳に自由に耳かきを走らせるのは、選ばれし者の特権だと思うぐらい、程よく汚れ、かき心地もいい。

 おそらくこの耳でなければ、耳かきというものにハマらなかっただろう、自分が髪を切りそろえてもらうときに、耳掻きをして終わり、それだけだったのではないかと考える。

 耳の中の毛も産毛が生えている程度なので、穴刀が軽く動き、取り出した穴刀を拭き取ると、細かい毛が取れる。そして耳の中に残っている産毛を綿棒で綺麗にする。

 が垢はまだ残っている。

 膝枕ではなく、ソファー枕している人間に、耳かきをするということで、大事なのは、すくい取った耳垢を奥に落とさないということではないか。

 耳かきをすると、他の事を考えられなくなる、ただ一心に、耳の垢をすくい、耳の中を綺麗にしたい。

 大きな垢を見つけ、それをサジに乗せ、トントンとティッシュの上に落とすまでが遠足である。

 ん?

 なんかおかしい。

 耳かきを嫌がってはいるが、気持ちはいいらしく、機嫌が悪くて、かまってくれない今でさえも、それは変わらない。

 カリ

 気持ちいい部分をかくと。

 ピクン

 と反応する。

 そのために。

 カリ!


 ピクン!

 

 カリ!


 ピクン!

 

 カリカリ


 ピクンピクン


 とプロの仕事だと、耳垢がなくても、耳かきだけでこのような事が可能である。

 「遊ぶなよ!」

 「いや、最高でした」

 そういって巽は使い終わった耳かきを消毒した綿で拭いて、ケースに収納するのであった。

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