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生殺し

「焦らされるんだろうな」

2015年4月27日ピクシブ公開。

今自分は目隠しをしている。

そのまま正座をして、目の前にいる人に触れていく。

頬は柔らかくぷにっとしていて、耳は冷たくて、髪は肩まで。

今日はそんな人に耳かきをされる。

スッ

後ろに彼女は回ってくる。

まるで恋人のようにそこから抱きつかれる。

後頭部から背中にかけて温もりが伝わってきた。

自分の呼吸が荒くなってくるのがわかる。

さわ

髪をなでられた。

もうちょっと引っ付いててほしかったが、彼女は離れた。

ぽんぽん

そんな音がした。

これは膝を叩く音である。

さっそくだがお邪魔する。

目隠しはしても、器用なもので、意外と膝の上に寝転がれた。

何回か、頭を撫でられる。

気持ちがいい。

ムニ!

さっきのお返しというわけではないが、耳たぶを揉まれた。

ムニムニ

彼女の指は耳たぶを挟み揉みこむ、気持ちがいい。

耳たぶを掴む、これから耳掃除が始まるのである。

今日はどんな感じで気持ちがいいのだろうか。

スッ!

耳の奥にいきなり耳かきが入り込んできた。

コツン!

「あっ」

一発でツボを探られてしまった。

この瞬間、体の緊張が一気に抜ける。

クリ!

そのツボをつついたまま、周囲に耳掻きを走らせると、そのすぐ後に、背筋を快楽が走るのであった。

頭を動かさないでいるのが精一杯である。

たぶん、今の自分を鏡で見たら、かなり情けないことになるが、そんなのはこの際どうだっていい。

無事に耳かきは大物を乗せたまま外に出た。

トントン

ティッシュの上に固くなった耳垢が落ちる。

後で耳垢は見せてもらうが、一週間に一度はしてもらわないと、耳の中が汚くてしょうがない。

自分で耳掻きをしてもいいのだが、やはり上手くないし、気持ちもよくないので、お、お願いします、耳掃除(精一杯のいいわけ)

フキフキ

耳の外側、淵はウエットティッシュで拭かれる、さっぱりしてとても気持ちがいい。

ぎゅ!

その後にツボを押される。

なんか、2、3個すごい痛いのがあった。

どこか悪いのだろうか?

耳かきは続き、手前側からきれいにされていく。

コリコリコリ…

竹の耳かきが、耳垢を削り取る、甲高い音がする。

やはり耳かきはこうでなければいけない。

でもやはり奥を掃除されるのが好きだ。

スッ!

手前が終わるとまた奥を掃除してくれる。

自分でやると痛くなってしまう部分も、さすがは耳かきのプロらしく、指の腹でなで回されているかのような気持ちよさである。

「くっ…」

今、一番自分の耳で取りにくい箇所を掃除されている。

細い耳かきでなければそこはできないし、大抵の理容師さんなどはそこまでやってくれない場所である。

そこは一歩間違えればとても痛い。

サワサワ

かすってはいるのだけど、届いてはいない。

やはりダメだったかと思ったその時に。

ガス!

耳かきが耳垢をがっしりと掴んだ。

それが耳掻きをされている自分にもよくわかった。

今だと!

引き抜かれるように、垢は耳の外に出ていく。

ポロン!

あまりにも固いと、本当にそういう音がするようだ。


悶々としながらも今日も楽しい耳かきであった。

これだから耳かきはやめられぬ。

「お客様、この次ご来店の際にはこちらをお使いください」

そういって渡されたのは、チケットには『生殺しサービス』とかかれていた。

もらってすぐに、こいつは他の人には見せられないなと間、サッとそのチケットをしまいこんだ。



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