表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

「常に変化し続けろ、さもなくば死だ」ユニクロ(大坪)

会長の話を聴いた後、あたし達はケーブルカーに乗せられた。その時一人一人にパンフレットが配られていた。その中にはキッザニアでのルールが書かれていた。

・キッザニアでは大人の社会の慣習や法律が適用されるよ

・夜の仕事をする人は昼に寝てもらうよ。

・労働組合はないよ。労働基準法が適用されているよ

・経営陣の言うことは絶対だよ。反対することは許されないよ

・そんな暇があったら馬車馬のように働こう。


これ等の事が、何を意味しているのかあたしには分からない。ただ漠然と嫌な予感がしていた。そして何故学校代表で私と田中が選ばれたのかは分からない。田中は頭も容量もいい。私は陸上部に所属する普通の学生で、私でないといけない理由はない。

「あのなんの仕事にするのか決めましたか?」

隣の席に座っていた女の子が声をかけてきた。ショートヘアで背は小さくて可愛らしい。

まるでリスとか小動物のような愛らしさがある。私とは違うタイプだ。

「仕事は迷ってて。あなたは決めたの?」

キッザニアには色々な仕事があるようだけれど、まだ決めかねていた。接客業か、公務員か。他の仕事にするのか。

「私は人と話すのが好きだから接客系の仕事したいなと思っていて。会長のスポンサーをしている田辺グループのレストランを受けてみようと思います。」

あの会長は気になっていた。きれいごとばかり言っていたけれど胡散臭い感じが漂っていた。この子のようにコロっと騙される子もいるのだなあ。

「そうなんだ。わたしは幾つか回ってからにするよ。」

「私、島崎レナっていいます。レナって呼んでください。名前は何ですか?」

「私は大坪はるか。はるかでいいよ。」

こんな話をしている間に電車は海を越えて広大な埋め立て地に到着した。つまりキッザニアの中心街ビジネスエリアに到着していた。キッザニアには四季があり今は6月くらいの天候に設定されていた。蒸し暑い夏が近そうで、白いシャツにネクタイをした中学生が暑そうにしている。ビジネスエリアには8階近くあるビルがいくつもあり、その中に色々な会社が入っていた。商社、テレビ局、広告代理店。銀行。そういった会社がたくさんある。スタッフに案内されて商社を見学した。この商社は四菱商事のスポンサーでできていて、主に地上との必要物資の調達を行う商社になっているそうだ。デスクもイスも中学生サイズだが、そこで働いている社員は大人のように忙しそうだった。デスクには分厚い書類やノートパソコンがあり、一心不乱に資料を作ったりしている。

今日はエリアを案内された後、寮のあるエリアに移動して1日目の日程が終了する。

南側にある商業施設エリアに移動した。ユニシロなどのファッションブランドや映画館、カラオケ店まである。横浜の商業エリアと遜色ないレベルだ。違うことといえば、このエリアで働いているのもまた私たちと同じ中学生だということくらいだろう。

今は平日の昼間なので、みんな仕事をしているため人が少ない。土日はきっと活気づくのだろう。

 私たちは今日一日でオリエンテーリングを終えて明日から企業を選んで面接を受け就職活動をする。大学生でいうところの就活だ。リクルートスーツを着て各社を回り合格した会社で働くのだ。期待半分不安半分というところだ。

 宿舎は男女別の一人一部屋のワンルームが与えられ必要な家具は備え付けてある。れなは私の隣の部屋で早速私の部屋に訪問に来た。

「はるかさんは仕事決めたの?」

「公務員とか受けようかな、なまえでいいよ。はるかで」

「はるかちゃんも公立出身なんだね。私も公立だよ。他の人は私立のお金持ちの中学の人が多くて話が合わないんだ。朝野中学とか大学の付属とかさ。住む世界が違うって感じだよ」

「私はあまり気にしてないけど、私立の子たちは結構いいもの身に着けてるよね。私は安物メーカーばっかだよ。だから、れいなと話せてうれしい」

「レナも遥かと話せてうれしいよ。」

「それにしても、ここには何でもあるんだね。きれいなカフェもあるしレストランも。カフェの店員はイケメンだったww」

レナは冗談交じりに笑った。

「カフェの店員はレベル高いなって思った。絶対顔採用してるよね。」

「絶対してるよ。そうじゃないと、あんなかっこいい男の子ばかりにならないもの。」

レナは話題を変えた

「はるかちゃんは、面接したことある?私面接したことなくて不安なんだけど・・・。」

「私も無いよ面接なんて。相手も同じ中学生なんだから気軽に行けばいいんじゃないかな」

「だよね。でも私調べたんだけど圧迫面接って聞いたことある。」

れいなの顔色が曇っていた

「圧迫面接?」

「圧迫面接っていうのは、受験生にわざと難しい質問をしたり、不愛想にしたりでプレッシャーを与えてストレスに耐えれるか見るらしいんだ。」

「そうゆうのもあるんだ。」

「れいな、そんなのされたら泣いちゃうかも」

「レナは大丈夫だよ。可愛い子には面接官も手加減してくれるよ」

「今日は突然来てごめんね。もう遅いから寝ようか。じゃあまた明日。」

レナは上機嫌で部屋に帰っていった。

 私は部屋にあるベッドに仰向けになり天井を眺めた。

「面接か・・・」

面接は初めてだった。どんな感じに答えたらいいのか。何を答えたらいいのか皆目見当がつかなかった。

今日は疲れた。もういい時間だから体と頭を休めよう。何しろ別世界を一日歩き回ったのだ。ぐったりと疲れている。眠りに落ちるのに時間はかからなかった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ