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二章 仕事があるだけ感謝しろ 日本中の企業   田中の章  キッザニア派遣

公立中学校に通い部活に勉強に忙しい日々を送っていた俺は、ある初夏の夕方、部活で練習中、スピーカーで職員室に呼び出された。

「2年3組 田中大輔。至急職員室に来なさい。」

心当たりが全くない、疑問を持ったまま職員室に行くと校長と担任が僕をソファに腰掛けるよう促した。

校長が先に口を開いた。

「突然呼び出して悪かったね。別に生活指導とかではないから、心配いらない。君はキッザニア横浜を知っているかい?」

「知っています。エリートが横浜の埋め立て地にある都市で社会人に似た高度な教育を受けているんですよね。」

「それにお前が選ばれた。もう決まったことだ。」

担任が割って入ってきた。

「僕がですか?あれはエリート学校の生徒がいくところですよね。公立の僕には関係がないのではないですか?」

「キッザニア横浜は殆ど有名私立の生徒が学んでいるが年間100名の公立校の短期留学を認めている。うちの学校からは君と4組の大坪さんが選ばれた。」

「そんな突然言われても困ります。部活の大会も近いし勉強もありますし。」

「田中。これはもう決まったことなんだ。ご両親にも伝えてある。お前は学校代表でキッザニア留学に参加してもらう」

「成績とかはどうするんですか。」

「留学期間はキッザニア横浜での頑張りが成績に反映される。期間は3か月だ。」

「明後日には留学に参加してもらう。」



帰り道。なぜ自分が選ばれたのだろうと思った。頭がいい生徒も、運動ができる生徒も、他にいるのに。偶々なんだろうか。4組の大坪は背は少し高いセミロングの女子でルックスはそこそこ可愛い。大人になったらキャリアウーマンになっていそうだ。とうぜん美人に入るだろう。彼女と俺がいくことになった。なぜこの二人なのだろう。帰り道はそんなことを考えている間に家についてしまった。


家でネットで情報集めてみた。公式サイトとブログなどをチエックした。公式サイトには、

文部科学省(文科省)の施設で莫大な予算が投入され横浜みなとみらいの埋立地に作られている。そして、そのスポンサーとして大手企業が参加しているということだ。一般的なキッザニアは子供向けだが、こちらは中学生以上を対象としており、基本的に子供の自治に殆どのことが任されているということだ。スポンサーが凄い。大手マスコミからテレビの東京テレビ、広告は便通。商社は伊藤中。ほかにも中学生でも知っているところばかりだ。

国会や裁判所もある。要するにほとんどの日本にある施設や制度はある。勿論人数や子供のできる範囲で設定は変わっているが、おおむね同じらしい。国会は100人いて1院制をとっている。選挙は半年に一度行われるといった具合に、現実との違いはある。衝撃だね。気になったのはブログの方だ。充実して楽しかったというものもいれば、過酷で二度と行きたくない。頭がおかしい。などネガティブな記事も多かったことだ。実際は行ってみないと分かりそうもなかった。明後日は、ここに行かねばいけない、果たしてやっていけるんだろうか。そう思いながらベットに横になる。窓の外には鋭い三日月が、きみの悪い笑顔のように浮かんでいた。


 

二日間で友達に三か月会えなくなると説明し準備を済ませた。キッザニア横浜まではうちの学校から三十分ほどだった。建物の地上部分は二階建てのセンスのいい建物であった。

ところで俺は非童貞だ。中一の時に幼馴染の女とセックスした。家に来た時2人でエロい話になって、エロ動画をみて。大人は皆こんなことやってるんだって言っていたら、ながれでセックスしていた。少女をこの手で女にしてやったという達成感は俺を興奮させた。そのあとも2人の女とセックスした。俺はルックスもソコソコ良かったから(母親は元モデル、親父も割とイケメン)だった。ちょっといい雰囲気になった時、誘ったら、あっさりヤれた。

建物の前で待ってる間、女のルックスを採点してると15人目くらいに大坪が来た。大坪は10点中7点。大人になってスタイルが良くなれば8点くらいだろうか。

「おはよう。今日も暑いね」

「おはよう」

「大坪は、何の仕事にするか決めた?」

「うーーん公務員かな。楽そうだし」

バブルが崩壊してから、日本の若者は公務員になりたいというものが増えたようだ。こいつも保守的な性格らしい。

「マジか、俺はマスコミかな。テレビ局とか広告代理店とか」

「あー田中チャラそうだからね」

「チャラそうだとか言うな」

「じゃあ、そろそろ行こうか。時間だし。」

手招きで促す

「うん」

中には、ロビーに二十人くらいの中学生が集まっていた。公立は俺たち二人。殆どは私立の連中のはずだ。もうすぐキッザニアの説明が始まるはずだ。

すると、横から美人だが性格のきつそうな職員が出てきた。

「中学からキッザニア短期留学に来たみなさん。こちらのシアタールームへどうぞ。」

「これから、皆さんにビデオを見てもらいます。三十分でキッザニアがわかるビデオです。静かに見るように。」


席について待っていると中央の大型モニターに大きなタイトルが出てきた。

「大人の仕事を体験しよう キッザニア横浜 ルールを守って楽しい社員」

すると、会社員をディフォルメした、ゆるキャラ(笑)が出てきた。

「こんにちは中学生の皆、僕の名前は社畜くんだよ。よろしくね。これから一緒にキッザニア横浜を勉強していこう。」

誰だ、こんな、ゆるキャラ考えたのは、名前が社畜君って、どんなネーミングセンスだよ。

「キッザニア横浜は仕事をするビジネスエリア、みんなの寮がある居住エリア。飲食店や服が買える商業エリアの3つに分かれているよ」

「仕事は最初に行われる面接で決まるよ。みんなの希望する仕事に就けるようにするけど希望しない仕事に就くこともあるよ。そうゆうときは我慢だ。」

社畜君は自分を押し殺すのが特技なのだろう。

「仕事は9時から17時まで。昼休みは12時から13時までだよ。ああキッザニア横浜は労働基準法が守られているのでサービス残業はないよ。ホントだよ。」

サービス残業のところで社畜くんの目が左上に泳いでいたような・・・

「労働したら働きに応じて給料がもらえるよ。感謝だね。」

「あとキッザニアでは労働組合を作ること、経営者に反発することは原則禁止されているよ。だからしっかり働こうね。」

「ほとんどの法律は一般社会の物と同じだよ。国会で条例を制定することも出来るよ。でもここでだけ使われる条例があるよ。たとえばキッザニア内では5パーセントのアルコール飲料は飲んでいいことになってるよ。」

ビールとかは5パーセントだから飲めるわけか。親のをくすねて飲んだことはあるが、ここでは合法なわけか。

「色々なもののサイズは中学生に使いやすいサイズになっているよ。机やパソコンも中学生仕様になっているよ。」

「色々な会社があるよ。大手広告代理店の便通やテレビ局、商社、銀行、アパレル、小売り、

飲食など、自分に合った仕事を選ぼう」

俺は広告代理店の便通で働きたい。あそこは華やかで、毎晩合コン、女の子にもモテるからな。親父がマスコミで働いていてそういっていた。ただ、難関だから面接は気合入れねーと。

「僕からは以上だよ。キッザニア横浜で立派な社畜になろう。このあと会長の渡辺オーナーから挨拶があるよ。しっかり聞くんだよ」


社畜君はそう言うと、消えてしまった。これでVTRは終了らしい。

「これから渡辺会長の、お話があります。静かに聞きましょう。」

職員の女はそう言うと脇に逸れた。大柄で鼻が無駄に高い男が出てきた。テレビなどでも、お馴染みの渡辺グループの会長だった。彼は介護、飲食など幅広い業界で成功していたが、社員を家畜のように扱いブラック企業の経営者で有名だった。開口一番

「24時間死ぬ気で働け」

「人は、ありがとうを食べれば生きていける。」

「君に不満があるのは君に感謝が足りないからだ」

意味不明の言葉を放って壇上を後にした。

その言葉を聴いて、きょとんとしているもの、感動しているものいるようだが。俺は白けた。

やれやれ、ブラック経営者の言いそうな言葉だなと思った。


話を聴き終わった俺たちは海を渡る電車に順番に乗せられた。広大な埋め立て地にキッザニア横浜の施設はあった。電車から見える住居エリア、娯楽エリア、ビジネスエリアに分けられていてビジネスエリアにはビル群がひしめき合っていた。トレインに乗った学生たちは、施設の豪華ぶりに皆驚いていた。正直俺もここまで行き届いた設備とは思わなかった。外の世界にあるものは規模は小さくとも殆どがあるようだ。映画館やカラオケ、レストラン何でもあるようだ。ここでどんな生活が待っているのだろう。期待すると同時に会長の「24時間死ぬほど働けという言葉が耳に響いていた




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