嫌なやつ
全ての種目を終え結果をみる。
身体を鍛えている分一般の平均値よりは上だが……。
「おい無能!お前一個も飛び抜けた記録ないな!」
うわ、最悪だよ。めんどくさいなぁ。
今話しかけてきたこいつは霧島。僕のことをずっといじめてくる嫌なやつ。ちなみにスキルはコピー。相手のスキルを好きなだけ使うことができる。文字通り好きなだけ可能で、相手の熟練度を上回る使用も可能。
ただし一度にコピーできる能力は1つまで。
「な、なにかな……」
僕はもちろんこいつが苦手だ。
「いやー結果をみてやっぱり思うわけよ」
僕の個票をまじまじと見て言う。
「なんでお前みたいななんのスキルも持ってないやつがこの学校にはいれたんだよ!」
……。
黙る……。確かに僕みたいな無能力者がこの学校にいるのは不自然だ。クラスのみんなが思ってることだろう。
不正はしていない。だけど言えない。
「だんまりか……まぁ、いい。俺の視界に入らないようにせいぜい虫のように過ごせよ」
「う、うん」
そう言って穏便に済ませる。霧島は席へ戻っていった。
「全員席についてるか」
先生が入ってくる。小言を1、2個言い、明日の訓練内容を説明してSTを終わらせた。
その日、僕は寄り道せず真っ直ぐにある場所へ向かった。
「うん、来たね。じゃあ始めようか」