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紅い惑星  作者: 姫野里佳
3/10

 2 赤い星


ここはアメリカの、とある大学の地質学研究室。そこで、冬の午後の暖かな日差しを窓越しに浴びて、のんびり居眠りをしている人物がいた。

金色の髪の女性だった。デスクに突っ伏すように眠りこけている。

その閉じられた目から涙が一筋伝っていた。

「パパ…」

研究室の一画には、たくさんの棚が並べられている。その木製の棚には、様々な標本がずらりと並んでいた。ただの土の塊から、美しい輝石やそれと分かる化石など、ありとあらゆる標本がガラスケースや木の箱に収められて置かれていた。

壁伝いにいくつか机も置かれているが、そこにも資料が山と積まれ、すでに物置と化していた。

唯一、研究室中央の流しが付いている6人がけの大きな実験用机だけが、かろうじて居眠りもできるスペースを保っていた。

とはいえ、そこにもお茶菓子やカップにまぎれて標本や分厚い本などが積んではあるのだが…

そこへふわりと紅茶の香りが漂う。

「フロル?お茶入れてきたぞ…って寝てるのか?オイ。」

ダーティブロンドの青年が居眠りしている女性のそばにやってきて、紅茶の入ったカップを置く。

「あ?あれ?エリオット?私、寝てたの…?」

フロルと呼ばれた女性は、目をこすりながら、身体を起こす。

「寝てたぜ。しっかり。泣き寝入りか?」

ちょっと呆れ顔でフロルの顔を覗き込むと、彼は笑ってそう言う。

「え?やだ。」

涙の後を見つけられて、あわてて顔をこする。

「…パパの夢、久しぶりに見ちゃったから…」

 照れくさそうに笑うフロル。

「…そっか。」

 エリオットと呼ばれた青年は、深くはたずねない。フロルとは長い付き合いなのだ。

代わりにガレットの入った皿をフロルの前に置き、お茶を勧める。


標本に埋もれてお茶を飲んでいるこの二人、今年大学院卒業とともに、22歳という異例の若さで博士号を取り、そのまま研究室に残っている、フロルことフローレンス・ルナ。  

少し癖のあるロングヘアで、金髪碧眼のまだどこか幼さの残る、美しい女性である。もう一人はフロルの幼なじみで、3歳年上のエリオット・ラング。彼もまたフロルと同じ若き博士である。

ダーティブロンドにの瞳、長身でジーンズに白衣を羽織る彼は、白衣を着ていないとどうしても学者には見えない。

それでなくとも、二人とも普段から研究生とよく間違われるのだ。そんな訳で、彼らは学内ではいつも白衣を身に着けていた。

「なあ、フロル?やっぱやめようぜえ。今さら火星なんて行っても、もう学術的な発見は無理だって。」

エリオットはつまらなさそうにそう言うと、ガレットを口に放り込む。

「まだ言ってるの?学術的発見なんて、エライ先生達にくれてやればいいのよ。私たちは地球を救うために行くのよ?この計画、『テラ・フォーミング』が成功すれば、人類は火星に移住することができる。そうなったら、今、世界中で飢餓に苦しんでる人たちを救えるのよ!」

フロルはそう一気にまくし立てると拳を握り締め、勢いよく椅子から立ち上がる。

彼女は地質学者である父を目指し、若くして地質学を極めた。だが彼女はその父を、数年前に交通事故で亡くしている。その父の夢であり悲願でもあった、火星移住計画のうちのひとつ、『』は、今やフロルにとってもライフワークになりつつあるようであった。

“いいかい、フロル。火星は可能性を秘めてるんだ。あの星にはいつか人類が住むことができる。住む土地を選べなかった人達を、救えるのはこの方法しかない。そのためにパパは頑張ってるんだよ。”

そう言って、研究に没頭していた父はもういない。

父に似てヒューマニストの彼女は、この計画が、必ず飢えや病気に苦しむ人々を救えると信じて研究に打ち込んでいる。

フロルは父に代わって、火星移住計画をなんとしても自分の手で現実のものとしたかったのだ。

「学術的発見なんかで人類は救えないわ。そんなのくそ食らえよ!」

フロルは勢いよくカップを置くと、乱暴に椅子に座りなおした。

エリオットは大げさにため息をついてみせる。

「お前なあ…よくそれで博士号取れたもんだよ…教授に感謝しろよ~。」

そのとき、豪快な笑い声が研究室に響いた。

「フロルは優秀だよ。頑固なだけさ。」

そう言いながら恰幅のいい、初老の男性がフロル達のいる研究室にやってきた。

「メイヤー教授!」

フロルとエリオットは慌てて席を立つ。

「お見えになるなら、そうおっしゃってくだされば…」

あわててお茶を用意するフロル。エリオットは実験机の上の資料やら標本やらを、あたふたと片付けている。

メイヤー教授は二人にとって恩師でもある。フロルに至っては、今は亡き父の古くからの友人でもあり、公私につけ何かと彼女の面倒をみてくれている、良き理解者なのである。

「悪いね、フロル。急いで伝えたかったんだよ。いい知らせをね。」

少し出てきたお腹を気にしながら、実験用机の開いている席にどっかりと座り、手にした茶封筒をエリオットに手渡した。そして彼は両手を机の上で組み、にっこりと笑った。

「え?それじゃあ…!」

フロルの顔がぱっと輝く。

「決まったよ。火星の移住計画に先駆けて、地質学者が火星入りする。移住のための基地建設に最適とされている場所の、実地見聞が主な目的だ。名づけて『アレスプロジェクト』。正式に辞令が下りるのは来週だろうが、メンバーに君達の名前があったからね。早く知らせてやろうと思ってね。」

教授は髪と同じ色のブラウンのあごひげを、自慢げに撫で付けている。

「も~だから好きよ~!教授!」

フロルはメイヤー教授に抱きついた。エリオットの顔が憮然となるのを横目に、教授はニヤニヤしている。

「こらこらフロル。彼氏が睨んでるぞ。」

教授はフロルの背中を、まるで子供をあやすようにポンポンと叩くと笑いながら言った。

「誰が彼氏なの?!やだっもう!」

フロルは大急ぎで否定する。エリオットはますます眉根を寄せてふくれているが、フロルは気にする様子も無い。

その様子を苦笑いしつつ見やると、教授はフロルが用意したお茶に手をつけた。

「お前も大変だな。エリオット?とにかく仲良くやってくれよ。二人ともメンバーに入ってるんだからな。」

教授は二人を交互に見つめると、手に持っていた少し大きめの封筒を差し出した。

「詳しい内容は来週中に辞令があるだろうからその後だな。概要はその封筒に入ってるから、目を通しておいてくれ。ご両親の了解はちゃんと取っておくんだぞ。いいな?」

教授はそう言うと、空になったカップを流しですすぎ、備え付けの水切りカゴにもどすと、研究室を出て行った。

「もう。いつまでたっても子ども扱いなんだから。」

フロルは口を尖らせて教授の出て行ったドアに向かって、悪態をついている。その様子を見てエリオットがくすりと笑った。

「仕方ないだろ?教授、お前の親父さんとは古い友人なんだし、お前だって教授とは子供の頃からの知り合いだろ?父親みたいな気持ちなんじゃないの?オムツ替えてやったことあるって、このあいだ言ってたぞ。…イテッ」

フロルは無言で、机の下のエリオットの足を踏んづける。

「お前なあ。踏むか?足を。俺様の足を」

「…。」

黙り込むフロル。

「?フロル…?どした?」

エリオットは、突然黙り込んだフロルの顔をどうしたことかと覗き込む。

「…ううん。なんでもない。」

「?なんでもないのに、踏まれたのかぁ?俺は?」

エリオットは呆れ顔である。


“パパ…行きたかっただろうな…ごめんね。私が代わりにちゃんと頑張るから。” 

フロルの父は、火星への移住計画をより現実的なものへと近づけた先駆者の一人でもあったのだ。


今回の火星行きは、本来ならおそらくフロルの父と、メイヤー教授とで行くはずだったのだろうとエリオットは思っていた。でなければ、経験の浅い自分達がメンバー入りすることなどありえないことだった。

エリオットは教授から手渡された茶封筒から書類を取り出す。

それは今回のプロジェクトの概要と、メンバーの経歴書であった。メンバーは全部で8名。

だがしかし今回の計画は、エリオットの予想に反して他にも若いメンバーの参加が予定されていた。

彼にはこの計画が、漠然と過酷なものになるということの前触れのような気がしてならなかった。


「さて。じゃあ、フロル?おばさんに報告しに行かなきゃな。」

エリオットは書類を封筒に納め、カップを片付けながら、フロルの様子を盗み見るように伺った。フロルは遠い目をしながら小さな声でつぶやいた。

「猛反対するわね…きっと。」

それでも行かなければならない。フロルはなぜかそんな気がしていた。この青い星に母を一人残してでも、あの赤い星へ行かなければならない、そんな気がしてならなかったのだ。

“パパ…私を見守っててね…それと、ママのこと…お願いします…”

フロルは今は亡き父に、祈るような気持ちで心の中でそうつぶやいた。


その夜、エリオットは自分の両親に火星行きを告げ、何とか了承を取り付けていた。

問題はフロルである。母一人子一人になってしまってしまったルナ家は、この上たった一人の娘までが科学が進んだとはいえ、まだまだ危険の多い宇宙という手の届かない空間へ、行くことを望んでいる。そのことを思うと、エリオットにはフロルの母が気の毒に思えてならなかった。

「だからといって、止めろと言って聞く相手じゃ、ねーもんなあ…」

自分の部屋で独り言をこぼしたとき、その声は窓を乱暴に叩く音と共に、部屋の外から聞こえた。

「いるんでしょ?!ココ開けて!!」

エリオットが慌ててカーテンを開けると、そこには完全防寒のフロルが、仁王立ちで立っていた。

「お前なにやってんだ?!」

エリオットはテラスの窓を開け、フロルを部屋へ引き入れた。

「いつもながら、エリオットんちが平屋で助かるわ。」

そう言いながらマフラーをはずし、コートを脱ぐフロル。

「お前、いい加減にしろよ。いくら俺んちが平屋でも、今、何月だと思ってるんだ?俺が出かけてたら、お前凍死だぞ?」

窓は凍って、吐く息は白い。

「あんたがいなきゃ、他を当たるわよ。」

そう言ってベッドの上にコートを置き、その脇にうずくまるフロル。

「…そろそろ来る頃だろうとは思ってたけどな。その様子じゃあ、やっぱり反対されて飛び出してきたんだろ?」

ため息交じりでカーテンを閉め、鍵をかけなおすエリオット。

「…さすがね、お見通しじゃない。」

フロルは唇をゆがめ、泣きそうな顔をして、無理やり笑っている。よく見ると眼が赤い。母親とひと悶着あったのは歴然であった。

「…幼なじみだからな。あ、ちょっとだけ待ってろ。何かあったかいもの持ってきてやるから。」

そう言い残すとエリオットは、キッチンへ向かうために部屋から出て行った。

「うん…」

消え入りそうな声でポツリとつぶやくフロル。

“変わらないな…ここは…”

フロルは見馴れたエリオットの部屋を見渡す。

8畳ほどの部屋にベッドとチェスト、部屋の中央に小さなガラステーブル。オーディオボードにきれいに収められたオーディオセット。

カーテンとベッドカバーは落ち着いたダークブルーで統一されていて、フロルはこの部屋が好きだった。

エリオットがカップに入ったココアを、2つ持って部屋へ戻ると、フロルはまだうずくまったままだった。

「フロル。ココアだ。飲むだろ?」

「ありがと。」

フロルはエリオットが差し出すカップを受け取った。一口飲んで、またそれっきり黙り込む。

エリオットはベッドに座り、自分もカップに口をつけた。

昔から何かあるとここへ来て、小さくなっていたフロル。温かいミルクがいつの頃からかコーヒーやココアに変わっても、時折フロルはこうしてエリオットの部屋に突然押し掛けていた。

“変わらないな…お前は…”

エリオットは一人、心の中でつぶやく。

カップを両手で包み込むように持ち、座り込む姿は幼い頃と少しも変わらない。

変わってしまったのは、彼女を見る、彼の目線のほうだったのだ…

「…おばさんも心配だろうな。お前の性格知ってたら、なおさらだな。」

エリオットはため息をひとつ落とす。カップからは暖かな湯気が立ち上っている。

「それ、どういう意味よ?」

フロルは険のある声で、エリオットに聞き返す。

「ルナ教授の、お父さんの成し遂げられなかったことを、やりとげたいんだろ?あの頃は学会で受け入れられなかったことが、今なら手が届きそうなんだもんな。メイヤー教授も熱くなってる。お前が浮き足立つ気持ちも分からないではないよ。でもな…」

エリオットは立ち上がると、部屋の中央にある小さなガラステーブルにカップを置き、そのまま床に腰を下ろした。

ベッド脇に座るフロルとは対角線で向き合う形になった。

「でもなによ!わかってるんじゃない!じゃあどうして応援してくれないの?危険だとか女の子なのにとか、そんなの関係ない!私が!あそこへ行ってやりたいの!やりとげたいの!ただそれだけなのに。どうしてそれがいけないのよ?」

フロルは興奮して頬が紅潮し、言葉には強い怒気が込められている。

エリオットは気圧されて、言葉が出ない。

「火星へ行くことが危険なのは分かる。だけど、そんなこと言ってたら何にもならない。誰かがやらなければならないなら、私がやりたい。…そう思うことはいけないことなの?」

フロルは一気にまくし立てた。エリオットはそんなフロルをじっと見つめていた。

「…いけなくはないさ。俺だってお前の立場なら、そうする。」

そう告げる穏やかな声音は、フロルを肯定するものだった。

「じゃあ…」

フロルの表情がパッと明るくなる。

「だが、俺は今の自分の立場で言わせてもらうなら、反対だ。」

言いさしたフロルをとどめて、エリオットは言い放つ。そのエリオットの態度にフロルの頬にカッと朱がさす。

「なっなによ?エリオットまで!私の何がいけないっていうのよ?私は科学者としてきっと役に立つわ。それに、どうしても私が行かなきゃならないのよ!あの星へ!…」

激昂していたフロルの語尾が急に弱くなる。

「そんな気がしてならないのよ…」

そんな気がしてならない、という漠然としたそれでいて何か、焦燥感のようなものがフロルの内にはあった。それが何なのかは、フロル自身にも全く分からない感情だった。

エリオットは、やはりそんなフロルの様子を、じっと見つめている。

「…なんでそこまで?俺にはお前がそこまでして火星へ行きたがる理由が、よくわからないんだけど…」

彼は困ったように短いため息をふっとつくとそう続けた。

「パパの計画、テラ・フォーミング…それは火星の基地が完成してからでも遅くない。それはわかってるのよ。でも、どうしてだろ?自分でもわからないの…私、どうしても行かなきゃいけないような気がしてるの…うまく説明できないんだけど…」

フロルの心をよぎる青い影。なぜかその影に呼ばれているような気がして居ても立ってもいられなくなる。妙な焦燥感とイメージを伴って…

「どうした?フロル?また怖い夢でも見たのか?」

エリオットはフロルの目を覗きこむと、彼女が思ってもいなかった言葉を口にした。

 「夢?」

 フロルは意外な言葉を聞いたように目を見開き、そして考え事をするように視線を泳がせた。

 「ほら、お前小さい頃、よく妙な夢見てたって言ってたろ?崖から落ちる夢とか、川から青色の人間が出てきて一緒に遊んだ夢とか…他にもいろいろと。」

 「…そういえば…最近その夢を見てないような気がするわ…全く。見てないかも…」

 「…全く?」

 エリオットはフロルを覗きこむ。

 「うん…でも、あの青い人はつい最近見たような気がする…あれ?夢…見たけど忘れちゃったのかな?夢…?」

 考えこんでしまうフロル。

 「フロル?お前、少し疲れてるんじゃないのか?」

 エリオットは冗談交じりで、少し意地悪に笑って言った。

 「…失礼ね。ちゃんと機能してるわよ。…でも、あの星へは行かないといけないの。絶対に。これだけは確かなのよ。」

 フロルは断言する。だがその目はどこか遠くを見つめていた。

エリオットは両手を挙げておどけたようにこう言った。

「降参。わかったよ。お前が言いだしたら聞かないのは、今に始まったことじゃないしな…おばさんを説得すればいいんだろ?俺が一緒に行くから大丈夫ってな。」

いたずらっ子のように笑ってそう言う。

「エリオット…ありがとう。感謝するわ…あなたがいてくれてよかった…」

フロルは深いため息をつき、つぶやくようにそう言った。

「でも、ひとつだけ約束してくれ。この計画はきっと過酷なものになる。メンバーから見てもスケジュールから見ても。…だから、絶対に無理はするな。…約束できるか?」

エリオットはフロルの目をじっと見つめている。

「…うん。約束する。」

フロルも真剣だった。彼の目を見て真摯に頷いた。

「じゃあ、家まで送ってくよ。どうせ黙って飛び出してきてるんだろ?おばさん、心配してるぞ。」

エリオットは笑って、座り込むフロルから空になったカップを受け取った。

フロルもつられて笑む。

「どうせここだってバレてるわよ。」


だてに幼なじみをやっている訳ではなく、エリオットはフロルの母からは、なぜか全幅の信頼を得ていた。今までの積み重ねもあるため、エリオットが言えば母が許してくれるであろうことを、フロルは計算に入れていた。

ずるい方法だとは分かってはいたけれども、そうしてまでも、彼女には火星へ行かなければならないという、強い決意があった。

なぜ?と問われてもきっと彼女自身、説明のつかない不可思議な感情であったのだけれども…

 

エリオットはフロルを家まで送り届け、明日また改めて訪ねることを、フロルの母に告げた。

ルナ家を後にしたエリオットは、真っ黒に凍りついた真冬の夜空を見上げ、鋭く息をついた。

立ち止まったエリオットに、凍りついた風が吹きつける。コートの前をかきあわせると、エリオットは自分の家路を背中を丸めて歩き出した。


そして翌日、エリオットは約束どおりフロルの家を訪ね、分かっている限りの情報と計画の詳しい内容までも事細かに説明し、フロルの母を説得することに成功した。


今回の計画は調査が主な目的であるために、火星での滞在期間が通常よりも短縮されて半年であること。

火星までは半年で到着し、半年の滞在を経て帰って来ることができるため、一年半後には地球へ帰還できること。

現在、地球の衛星軌道上の宇宙ステーションにもクルーがおり、今回は更にそこへ専門家を加えてのバックアップの体制も取られているため、万が一のときの対応も迅速に行われるであろうこと。

火星に基地が完成すれば、滞在期間は徐々に延長され、帰還するのは二年半後になるため、今行っておいたほうが良いということ…

(この辺りは調査が進まなければ明言できないことも多いのだが、エリオットは敢えて明言することで、フロルの母を安心させたかった)

そしてメイヤー教授の指導の元に調査が行われ、彼がいる限りフロルには危険が無いことなどを力説し…

フロルは晴れて、『アレスプロジェクト』への参加権を得ることができた。


そして、あの赤い星へ降り立つ日がやって来るのであった。


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