神殿へまいります
50ものブックマークありがとうございます、嬉しくて小躍りしております。
力の加減と悪戦苦闘しながらさらに一年経ちました。
どうも、メアリィ・レガリヤ 7歳です。
私もいっぱしのレディ(?)となり、なんと、生活に必要な魔法も少し使えるようになりました、エッヘン♪
ここで、この世界の魔法に関して、説明しておきましょう。
この世界では大なり小なりあれど、全ての人々は魔力を持っているということだそうな。
だからといって、皆RPGのような魔法使いだというわけではない。
魔力と魔法は別物で、魔力があっても魔法を学ばないと使うことができないのだ。
さらに学ぶのにお金がかかるので扱える人間は庶民達より貴族達の方が多い。
ちなみに私も使えるようになった生活に必要な魔法、「生活魔法」は明かりを灯す魔道具のON・OFFに使ったり、料理に使うコンロに火をつけるといった物が一般的だ。
こういった理論的に単純で誰でも教われば使えそうな魔法の類を総称して人は「1階級魔法」と呼んでいる。
この世界では1~8階級魔法まで存在していて、2階級魔法からRPGなどで見られる攻撃魔法などが覚えられる。
単純に「火」の魔法で考えると、只おこすだけの「火」が1階級、「火」を攻撃手段にしたのが2階級、その「火」の攻撃を強化したのが3階級、「火」を進化させ「火炎」にしたのが4階級、強化したのが5階級、「火炎」を進化させて「爆発」にしたのが6階級、強化したのが7階級である。
これは私が家庭教師から学んだ事を自分の知っているRPGに置き換えて解釈したのでアバウトすぎるのだが…のみこみが速いと先生に誉められてしまった。
え?8階級魔法はって?
それがどうやら前人未踏らしく、その存在は知っているのだが誰も行使した者がいない伝説級の階級魔法らしいので、説明できないそうだ。
ちなみに、1階級は万人が使用可能、2~3階級は冒険者や魔法使いといったそれに突出した人やモンスターなどが使用可能、4~5階級は勇者や英雄、大魔法使いなど、物語に出てくる主役級の人間や魔族、精霊、天使などが使用可能の領域で、これ以上の魔法を使用する人間はいないらしい。さらに、6~7階級はドラゴンや大天使、魔王など人知を超えた存在様がお使いになるそうな。
(う~ん、ファンタジーだね♪オラ、ワクワクすっぞ♪)
さて、今現在に話を戻して。
私は今、テュッテの手を借り、ドレスを着ている。今までの家用のドレスではなく、外出用の豪奢なドレスだ。
(う~ん、高そうなドレスね。今の私だと、絶対破いてしまいそう…あ~ぁ、このままじゃ私、テュッテがいないと何もできないダメな子になってしまうんじゃないかしら…)
イソイソと手際よくテュッテが私にドレスを着せていくのを眺めながら何もできない自分にしんみりしていた。
(ううん、これから神託の儀が行われるんだから、それによって私もまっとうな生き方ができる…はず……よ?)
だんだん自信がなくなって最後は疑問形になってしまったが、気にしない気にしない。
「失礼します。お嬢様、馬車の準備が整いました」
ドレスを着終え、テュッテに装飾品を着けてもらっているとドアをノックし、執事が中へと入ってきた。
「分かったわ」
テュッテが髪をすいていたので、彼を見ずそのまま返事をすると、それが当たり前のように執事は一礼して、部屋を出ていった。
「いよいよね…」
私は深呼吸して、鏡に映る自分を見る。
真っ白に輝く髪の両サイドを一房だけ三つ編みにして後ろで結び、前髪を髪飾りで目の邪魔にならない程度に揃えている。真っ白な肌に負けないくらいの真っ白でシルクのようなドレスにはレースやフリル、綺麗な刺繍が施されていた。
(いよいよだ、今日、私は同世代の子達と会うのよ!うわぁあ、緊張するぅっ)
前世でも会えなかった同世代の子供達、それが今日、神託の儀によって集められる。今日は貴族達のみの集まりなので、全員ではないが、それでも結構な数になるだろう。私は神託よりもそちらの方が興味津々であり、心配でもあった。
(何事もなく、終わりますように)
などと不穏なフラグを立てつつも、私はテュッテを引き連れて、馬車が待つ屋敷の玄関へと向かった。
――――――――――
王都の北方に位置する小高い丘の上にその神殿は鎮座していた。その佇まいは、生活的と言うより芸術的と言った方が正しい。そんな姿を馬車の窓から覗いていた私の鼓動もどんどん高鳴っていく。
(何だか、初めて学校へ行く心境だわ。まぁ、行ったことないけど)
自分の知らないいろんな人と会う、その緊張感と不安感が織り混ざった何とも言えない感情に押しつぶされながら、私の乗っていた馬車が止まる。
(いよいよ!私、デビュー!)
「着きましたよ、お嬢様」
テュッテが馬車のドアを開け、まず彼女が外に出て、馬車の踏み台を用意する。
準備ができたと言うように、横へ控えるテュッテを見て、私は逸る鼓動を押しとどめながら、ゆっくりとドアへと向かった。
外に出た瞬間、ちょっとしたどよめきと共に、私と同じくらいの子供達、その従者達の視線が集まった…ように思える。思えるというのは、その視線達を確認することなく、俯いて視線から逃げたからだ。
(うわあ、私のバカ!バカ!私はこれでも公爵令嬢なのよ!もっと本やアニメで見たように堂々としてなきゃ!)
とはいっても、何だか恥ずかしくって今更顔を上げられない自分がいる。そのままの状態で私は馬車を降りると、お約束通りにつまづいて、最後の一段を踏み外しそうになった。
(ま~ず~い~ぃ!このまま踏ん張ったら地面に穴あけそうぅぅぅ!力を抜いてッ!あ、でも抜きすぎると転ぶわよ!どうしたらいいのぉぉぉ)
焦る私の泳ぐ手をテュッテが握ると、私をすかさず支えてくれた。
「あ…ありがとう…」
小さな声で彼女にお礼を言うと、テュッテもホッとした顔で私を支えたまま、歩き始めた。
(はぁ…どじな子だと思われちゃったかしら…ううう)
がっかりと意気消沈する私を遠めで見ている人たちからは、「なんと儚げで、守ってあげたくなる感じの人なのだろう」といった風な事を次々と口にしているのだが、消沈中の私は、全く気がつかず、テュッテに手を引かれながらオズオズと神殿内へ入っていくのであった。
すみません、彼女の能力は判明しませんでした。もたついております。ここまで読んでいただきありがとうございます。