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困りました

今回はちょっと短く、なかなか物語が進行していきませんがまったりとお読みくださいませ。

ブックマーク、ありがとうございます。

 あの出来事を経て、私はテュッテとの絆を深めていった。

どうも、メアリィ・レガリヤ 6歳です。

早いもので、あれから3年経ちました、私は順調に育っております。めざせッ 長生き!ノーイベント!グッドラ~イフ!だが、年を重ねていくにつれ、私はあることに悩み始めてもいました。


――――――――――


パキッ!


 穏やかな昼下がり、庭の一角で紅茶を嗜んでいた私の持つカップの柄が乾いた音を立てて割れてしまった。


「大丈夫ですか、お嬢様!」


 横に控えていたテュッテが怪我をしていないかと私を見やる。


「大丈夫よ、テュッテ。置くときにちょっと力を入れすぎただけだから、油断していたわ」


 彼女を安心させるために持っていた手を彼女に見せる。細くて真っ白な指がキズ一つない美しさのままだと確認するとテュッテはホッと胸を撫で下ろす。


「は~、心配しました。それにしても、お嬢様、またですか。ちょっと指に力を込めてカップを割るなんてさすがです。これも、お嬢様がいう前世の記憶がなせる技なのですか?」


「そんな技はないわ」


 会話をしながら壊れたカップを取り除き、新たなカップを持ってきたテュッテの手際はよい、慣れっこといっても過言ではなかった。実の所、これから常に私と行動を共にする彼女には包み隠さず、私は現状の自分を話してしまっていたのだ。

力のことや、前世の記憶まで…

彼女に隠し事をするのが嫌だったので、信じてもらえるか怪しかったが、包み隠さず話すと、テュッテは


「へ~、前世の記憶ですか、すごいですね!さすがお嬢様です」


(うん、なにがさすがなのか、全然分からないけど、疑う素振りが全くなかったので良しとしようかしら)


 話を戻して、あの事件以来、私は自分が意外にも力持ちであることに気がついた。そして、意識してしまうと後が大変だということも知ってしまった。力を込めすぎていろんなものを破壊してしまうのだ。

今まで行ってきた当たり前な無意識の手加減が、意識してしまうと途端にできなくなってしまうということなのだろうか。

「私はこのドアをどのくらいの力で握っていたのだ?」と、いちいち意識してしまい、結果、私の動作は周りよりワンテンポ遅れ、たどたどしくなってしまっている。

 自分から体を鍛えて徐々に力をつけていったのなら、自覚もでき、セーブも可能だったのだろうが、いかんせん、気がつけばとてつもない力を手にしていたので、自覚もできないし、実感もできない。

これほどの凶器があろうか、いつ暴発するか分からない拳銃を相手に向け続けているような心境だった。

 これは、父にお願いして今からでも武道を学ばせてもらい、体を思いっきり動かして自分の力が実感できるようにしないと死活問題だと思い、以前、自分の身を守る護身術を学びたいと父にお願いしたところ、


「可愛いお前に、武道は似合わないさ。それに、お前を傷つけようとする者がいるのならそんな輩は事前に見つけだし、私が一族郎党、皆殺しにしてあげるよ♪」


 と、爽やかな笑顔で答えるデンジャラス ファザーに何も言えなくなってしまった経緯がある。

ならば、こっそりと自分で体を思いっきり動かせばいいっと思ったが、それは甘かった。

さすがは公爵令嬢というべきか、私はなぜか常に誰かの注目を浴びていたのだ、家族や使用人達、屋敷を訪れるお客さんなどに。


「お嬢様の存在感は半端なく目を釘付けにさせます、それほどに神秘的で儚げなのですよ。ご自覚してくださいませ」


 とはテュッテの言葉だ。

その時、顔を赤らめ、なぜかうっとりしていたのはこの際突っ込まないでおこう。


 なので、私は対策を講じられぬまま、何かを壊してしまうのではないかと日々ビクビクしながら行動し、ほとんどテュッテの手を借りてしまうというなんとも弱々しい存在と化してしまっていた。

 さらに、まずい事に前世でも、病人だったため誰かに日常生活を委ねる事に全く抵抗感がなかったことも拍車を掛けてしまっていた。

 武家気質の父がそんな私を軟弱と言って、鍛えようとは一切せず、逆に脆く繊細なガラス細工のように私を大切に愛でるあまり、超過保護になって、気がついた時には先に述べたデンジャラスな事を平気で言ってのけるようになってしまっていた。


「はぁ…困ったわね。力のセーブがこんなに難しいなんて」


「全ての物がお嬢様を基準に作られているわけではありませんからね」


「それより、来年には神託の儀がございますよ、他の子供達と会って、大惨事となっては大変です、お嬢様ならそこらの子供達なんてデコピン一撃で粉砕してしまいますから」


「人を化け物みたいに言わないで頂戴。そんなに力はないわよ…たぶん…」


 神託の儀。

7歳になった子供は神殿へ赴き、神の神託を受け、その身に宿る可能性が教えられる一大イベントだ。

ここで、武力・知力・魔力、いろいろな可能性を示唆されて子供達は未来に向かって学ぶべき物を決めるのだそうな。


(それなら、私は武力なのかしら?そうすれば父に武術を教わる口実ができるチャンスよね)


私は楽観的に翌年の一大イベントに期待した。

だが、その期待は、想像を絶する神託で度肝を抜くことになるなんて、この時の私は思いもしなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。次回はいよいよ彼女の能力が判明する…

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