二度目の月見草祭り
月見草祭りの準備で、村は朝から賑やかだった。
私は領主の娘として、とりあえず視察という名の見学に出ている。
私と手を繋いでノアも付いてきており、その横をリリィ、後ろにテュッテが控えている。
「メアリィ様、今回も祭りのために尽力されて、またまたモンスターの素材を提供してもらって助かりますよ~」
辺りを見回し、うんうんと頷いていると、串を焼いている恰幅の良いおばさんが笑顔で声を掛けてきた。
「いえ、私が提供したわけじゃなく、ただ巻き込まれたというかなんというか。おかげだというならこの子に」
今回「も」というフレーズに不安を覚え、言わんでも良いことを言いながら、私はノアを紹介する。
「あら~、そうなんです。お嬢ちゃんもありがとうね~」
自分に矛先が向いて、おばさんと目が合わせられずノアはササッと私の後ろに隠れる。が、なにかに興味津々なのか、こっそりとおばさんを見ていた。
「あらあら、可愛らしいね。ん? なんだい、これが気になるのかい?」
ノアの視線に気が付いておばさんが持っている串をこちらに見せてきた。ノアの視線がそれに釘付けで、動かされると頭が釣られてそちらへ向く。なんともわかりやすいお子ちゃまだこと。
(うん、なんか見たことあるお肉だこと。なつかしささえもあるわね~)
私はその串の原材料がなんなのか分かって苦笑した。以前はマギルカ達と食べたなぁ~と思い出に耽る。
「おばさま、3ついただけるかしら?」
私の言葉に笑顔で応え、おばさんが取りに来たテュッテに串を渡して代金を受け取る。
と、ここでおばさんの子供だろう。その子が気を使ってか、私達の方に串を持って近づいてきた。
最初、ノアの容姿を見てギョッとしたが、側に私がいるのを見て「まぁ、メアリィ様だから、そういう人を連れていてもおかしくないよね」と納得したような顔をされ、普段通りになるいうのは些か心外である。まぁ、王子を連れてきたり、神獣を連れてきたり、エルフを連れてきたりと、いろいろ引き連れているのだから皆耐性というモノが付いたのだろうか。ほんと、逞しいったりゃありゃしない。
だが、ノアの方は緊張しているみたいで一歩も動かない。
私は軽い気持ちで彼女の背中を押し、子供から串を受け取るように促した。
「……ぃや……」
「ノア?」
想像とたいぶ違った反応に私はノアを見る。
その表情はあの白銀の鎧に出会ったときの恐怖に似ていた。その瞳は、目の前の子供を見ているのではなく、どこか遠くを見ているように虚空を見つめている。
「どうしたの? ノア」
「いや……いやだ……なんでそんな顔をするの……私は、化け物じゃ……石を投げないでぇ……」
今の状況がなにかとダブったのか、ノアの記憶の断片が蘇ったのだろう。しかし、震えながら呟くその内容は、とても喜ばしいモノではなかった。彼女の容姿を考えれば、多種族との交流がない人にとって可能性のある反応である。
私は子供から串を受け取ると、なんでもないからと下がらせる。おばさんもノアの異変に気が付いたのか心配そうにこちらを見ていたので、私は焦って、外部からの刺激によって正気に戻るかもしれないと思い、ノアに串を握らせた。
「違うの……私は只、アガードが一人で会ってるから驚かせようと思って……」
ノアは串を握るが、意識は彼方から戻ってこない。おばさんと子供に視線が固定されている。
おそらく、アガードは密かに村の誰かと物資関係で交流があったのだろう。それなのに村ではその話がないのをみると、その人が周りに一切しゃべらなかったのか、もしかしたら、村の人間ではなく旅商人だったのかもしれない。とにかく、ノアはアガード以外の人に初めて会って、拒絶されたのだろう。
「私、分からなくって、なんで、なんでって、それで、それで……」
虚空を見つめるノアの爬虫類のような瞳孔がキュッと細くなり、呼吸が早くなってくる。なんだか彼女が身に纏うオーラというのか、魔力というか、そんなモノがにじみ出て、不穏な感じがしてならない。リリィもそれを感じ取ったのか、警戒態勢を取っている。
ノアがやはりあの施設以外に外にいた時期があったことは分かった。それなのに、なぜあんなところで眠っていたのか、なぜ白銀の鎧にあれだけの憎しみをぶつけられるのか、聞きたいことはいっぱいあるけど、今は焦らず見守ろう。
私はノアにその先を話させないようにギュッと抱きしめると、背中を摩りながら落ち着かせた。
「大丈夫よ。私がいるから、なにも心配しないで」
「……お姉ちゃん……」
私が抱きしめたことで、やっと現実世界へ引き戻されたノアは、その不穏な感じが消えていく。
ちなみに、ノアが私のことをお姉ちゃんと呼ぶのに驚いたのは今朝方だった。
私のことを姉と思ってくれているのかとちょっと気恥ずかしく思ったが、本人的には私がよく自分のことを「このお姉ちゃんに~~~」と表現していたので、私をお姉ちゃん呼びしているだけのようだった。
というわけで、姉妹というよりはどっちかというと、年上の近所のお姉さん的なニュアンスであったりする。
嬉しいような悲しいようなそんな複雑な心境を抱いた朝だったが、まぁ今はそういうことにしておこうと気持ちを切り替えていた。
「なぁに、ノア」
努めて、優しくノアに語りかけるお姉さんは私。
「服、汚れるよ?」
そう言われて、私はそういえばノアの手に串が握られていたことを思い出し、その串にたっぷり塗られていたタレのようなモノを思い出す。
「大丈夫よ。さあ、行きましょう」
だが、ここはお姉さんの威厳というモノで、笑顔のままゆっくりと冷静に彼女から離れた。
「テュッテェ……」
「はい、戻り次第すぐに着替えを用意しますね」
ススッとテュッテが後ろから私の横に来たので、私はノアに聞こえないように小声で言うと、みなまで言わなくともテュッテが答えてくれるのであった。
(あぁ、お姉さんにはほど遠いなぁ、私ってば……)
一旦別荘に戻り、パパパッとテュッテに着替えを手伝ってもらい、私はリリィとじゃれて待っているだろうノアの元に早足だが、しかし優雅に余裕のある素振りで戻っていく。
「ごめんね、ノア。ちょっと所用で待たせちゃったわ。いやぁ~、領主の娘ってのも大変よね~」
などと、引きつった笑みで悲しい見栄を張る私。それを見ていたテュッテの全てを包み込むような優しい微笑みが羨ましい。
だが、待たせておいた場所に彼女達はいなかった。
なんだか過保護気味だが心配になり、私は周囲を見回すと、玄関先にノホホ~ンと欠伸している駄豹を見つける。
「スノー、ノアとリリィは?」
『ふあぁ~、そっちの庭で、皆と一緒になんか解体ショー見てるわよ』
なぜ庭で? とツッコミたい気持ちを抑え、私はスノーにお礼を言って、庭へと歩いて行く。
確かに、そこにはリリィを抱っこしてホケ~と庭先を観察しているノアがいた。
そして、なんか大きなモンスターの死骸がゴロゴロと庭先に転がっている異質な光景に物申したくなるが、祭りのためにいろいろ別荘を利用しても良いと許可したことを思い出した私は言葉を呑む。
「で、ここは思いのほか固いので、こぉ~刃で」
「おおお~、すげぇ、さすがエルフ様だ」
「いや、そこはエルフ関係ないと思うが……いや、関係あるのかな?」
レイチェルさんがレクチャーし、それを見て感心していた村人にツッコむザッハ。そして、なるほど勉強になるなぁと感心しながら眺めているサフィナであった。
「いえいえ、私達もいにしえの森で狩りをしますし、年の功と言いますか、経験値が高いだけですよ」
「へぇ~、エルフ様でも狩りをして肉を食べるのかい。てっきり木の実とかしか食べないのかと思ってたよ」
「あ~、それはオレも思った。最初見たときびっくりしたもんな。レイチェルさんが肉にかぶりついたときは」
「ちょ、ちょちょちょ、なんてこと言うのよっ! 言い方ってモノがあるでしょっ」
村人とザッハの感想に顔を赤らめ、ザッハにポカポカするレイチェルさん。それを見ながら微笑ましいモノを見るように笑う村人達。
(ほんと、申し訳ございません。村を代表して後で謝っておこう。ザッハは……まぁ、放っておこうか)
私は遠慮ない村人の発言に心の中で謝りつつ、一部始終を見ていたノアへと近づいた。
「ノア、ここにいたのね」
「あっ、ご、ごめんなさい……勝手な行動して」
私に声を掛けられ、ノアは驚き、こちらを見ながらシュンとする。私がここで待っていてと言ったのに、勝手に庭へと移動していたことを謝罪しているのだろう。
「フフッ、心配はするけど怒ったりはしないわよ」
大きなヌイグルミのごとくリリィを抱きしめながら俯くノアを安心させようと、私は優しく頭をナデナデした。
「どこもかしこも、微笑ましいことですわね」
「うぉっと、マギルカ。いたの?」
「あら、いてはいけないのですか?」
溜息交じりに近づいて来たマギルカにびっくりして失礼なことを言う私。そんな私に不満げに頬が膨らむマギルカを、まぁまぁと宥める王子であった。
結局、皆が集まって……いや、一人と一冊、問題児がいないことに私は気が付く。ノアと一緒に村を回ったときには姿を見なかったので、もしかして外へ出て行ったのではなかろうか。
「そういえば、シータとプラスαはどこに行ったのかしら? まさか、また面倒事を」
「ふあ~……私ならずっと部屋にいたわよ。ちょっと外の空気を吸いに出てきたんだけど、なにかあったの?」
予想外の声が別荘の方から聞こえてきたので、そちらを見てみれば、窓から顔を出し、庭を見ている眠そうなシータがいた。
「あっ、ごめん。また勝手に村の外へ出かけたのかと思ってたわ」
「フッ、さすがメアリィ様。一息ついたら月見草の方へも出かけようと思っていたんだけど、先を読まれてしまったわね」
「いや、さすがというか、あなたの習性を考えたら誰だって思うわよ」
「それより、シータさんは随分眠そうですね。もしかして寝ていらっしゃらないのですか?」
「過去への探求っ! それを紐解くワクワク感を味われるのなら、徹夜の一つや二つや三つ四つ、苦ではないわっ!」
マギルカの指摘に夢見る乙女のように瞳を輝かせてうっとりするシータ。
(彼女ってば、なんだかテンションがハイになってるなと思ったら、徹夜明けのテンションだったのね)
あんなドタバタ騒ぎの後、休憩もせずノアから情報を聞き出し、今の今までアガードの手記とにらめっこしていたのだろう。
私はさすが学者と呆気にとられる半分、無理はしないで欲しいなと心配になる。
「あんまり根詰めないでね。倒れちゃったらレイチェルさんとか発狂するから」
『フッ、徹夜の一つや二つで倒れるような柔な者共など、カイロメイアにはおらぬよ。こうしている今も大書庫塔の学者連中総出で、アガードとソウルマテリアについて調べているのだからなっ!』
「待って、学者総出って、一体何人の人を巻き込んでいるのよ」
なぜか勝ち誇ったように言うしゃべる本をシータが私達に見せてきたので、思わずはたき落としたくなる衝動を抑え、私は気になる部分を聞いてみた。
『何人か……はて、数えてないな。とにかく今いる連中全員に調べさせておるぞ』
「あなたは……皆を無理矢理働かせるんじゃないわよっ」
『いや、白銀の聖女がご所望だぞっと言ったら、皆嬉々して働いておるぞ、カッカッカッ』
「私を出しに使うんじゃぁ~ないわよっ!」
シレッと私を利用して笑う不埒なしゃべる本に、私は我慢ができずチョップを喰らわせる。
それでダメージを与えられるわけではないのに、ついついこれが本体だと間違えるお茶目な私。
「それで、オルトアギナ様。皆の力を借りてなにか分かったのかしら?」
『ふむ、ソウルマテリアの方はいろいろ伝承や伝説があるので調べやすいと思ったのだが、剣や杖など多種多様にある中で、鎧に関しては今のところ目立った著書がないのだよ。ついでに、メアリィ達の王国にそういった伝承がないところも難儀の一つだ』
オルトアギナの指摘はごもっともだ。白銀の騎士が神話級の鎧なのだというのなら、王国内に鎧の発祥地とか、それ関連の話がどこかにあっても良いものなのに、私は聞いたことがなかった。博識の王子やマギルカすら聞いたことがないらしい。それを踏まえてオルトアギナ達が調べてなお、王国にそういった話がなかったということになる。
「考えられるとするなら、白銀の鎧は外からこっちへ持ち込まれたという可能性かな?」
「良いところに目をつけたわね、殿下。手記にはその鎧は研究、実験のために持ち込まれたみたいに書かれていたから、多分そうなんだろうと思うのよ。ただ、文章が簡潔すぎて憶測になるけどね」
『持ち込んだのは十中八九、ニケだ。どこから持ってきたのかは分からぬが無断でだろう。だから、面倒事を避けて、遠く離れたこの地に人知れず研究所を作ったのかもしれない』
「ニケ殿はなにゆえ鎧の研究を? それも彼の目指す到達点の一部だったのだろうか?」
『うむ、ソウルマテリアは神の御業だ。それを紐解くことで神の領域に一歩近づけると思ったのかもしれないが、鎧からなにを知ろうと思ったのか、なぜ鎧を起こそうと思ったのか、今のところ分かっていない。アガードの手記の全文を解けばもしかしたら目的くらいは分かるかもしれないが、詳しいところまでは期待できないな』
確かに、あの手記はあくまでアガードの主観であって、ニケではないので彼が余程饒舌に語り聞かせないと分からないだろう。もっとも、ここまで聞いているニケ像からは、そんなオープンなエルフさんではないと私は思っている。
『なので、さっさと小娘を使って全部解読したいところだが』
オルトアギナの言葉に私はノアを庇うように抱き寄せた。
「ダメよっ、徹夜の一つや二つなんてさせないんだからねっ。私の目が黒いうちは、ん? いや、こういうときは金色かしら?」
その言い回しに違和感を覚えた私は、結局格好良く啖呵を切れずに首を傾げるという、なんとも格好悪いお姉ちゃんを演じるのであった。
『なにを言っておるのだ、其方は?』
「とぉ~にかく、私がいる以上、ノアに無理はさせないからねっ!」
『ふぅ~、やれやれ、分かった分かった。これだから過保護は困ったモノだな』
「その台詞、そっくりそのままお返しするわよ、お父さ・まっ」
『うぐ……』
私が半眼になって言い返すと、心当たりがあるのか言葉を詰まらせるオルトアギナ。
『さ、さぁ~て、話が変わるが、次に気になるのがあの文字だな。我はあの文字は神に関係があるのではないのかと思っておる』
オルトアギナが切り替えてきた話に、私はドキッとする。
あの文字は異世界である日本の文字だ。それを扱う日本人をこちらに連れてきたのが神様なので、無関係とは言い切れない。
「神聖文字。その路線で皆に調べてもらったんだけど、なかなかヒットしないんだよね。ほんと、今回の件は学者泣かせったりゃありゃしないわ」
シータがお手上げとばかりに肩を竦める。
日本語が神聖文字、つまりは神の文字ということになったら、なんだかむず痒くなりそうだし、益々もって、私読めますなんて言えないだろう。
(危ない、危ない。シータ達のおかげでとんでもないことをやらかさずに済みそうで助かったわ)
『まぁ、神聖文字だとするのなら、どこぞの娘が読めても頷けるがな』
(ぐっ、このしゃべる本はどうしても私をそっち系に結びつけようとするわね。まぁ、一部間違いで無いところもあるのが怖いところだわ)
私はオルトアギナの呟きにあえて聞こえなかったふりをして話を進めていく。
「そ、それにしても、あの文字をアガードは誰から教わったのかしらね?」
「アガードの手記から読み解くと、可能性があるのはニケと、魂宿る白銀の鎧のどちらかといったところかしら」
『いや、シータよ。その選択肢なら教えたのはニケではなく、白銀の鎧だ』
「やけに自信満々ね。根拠があるの? 長い付き合いだから分かるのかしら?」
『なぁ~に、簡単な話だ。彼奴は教えるのがとても下手だからな。我も彼奴の言っていることを理解するのに苦労させられた。とにかく、彼奴は説明がクソ下手なのだよ』
オルトアギナの話しっぷりから、さぞやこう、かつての仲間的な尊い思い出話が出てくるのかと思いきや、随分な物言いに私は乾いた笑いしか出てこなかったりする。
「神聖文字をニケが扱うよりも、神が創りし鎧が扱うと言った方がしっくりくるわね」
ポンと手を打ち、シータが納得顔をするが、日本語をいつの間にやら神聖文字と位置づけるのは早計ではないだろうか。学者ならもっと慎重になった方が良いと思いますぞ。日本語を知っている手前、これからなにかやらかさないかと内心冷や汗ダラダラで成り行きを見守っている。
(だぁって、下手に軌道修正とかしたらボロが出そうじゃないっ。私には見守ることしかできないのよ)
などと、心の中で言い訳してみる。
『仮に鎧からアガードに伝えられたとして、その小娘は誰に教わったのだ?』
「えっ、私? わ、私は……えっと……分かんない……誰に教わったんだろう」
いきなり話を振られてノアが困惑し、一生懸命自分の記憶を辿ろうとするが、どうやらはっきりしないようだ。
「ノア、無理に思い出そうとしなくても良いからね」
「……うん、ごめんなさい」
「謝らなくても良いわよ」
「うん、ごめんなさい」
(う~ん、ノアはなんとなく謝り癖があるというかなんというか。彼女がそうなってしまった理由があるのかしらね~)
私はもう手慣れた感じで戸惑うことなく、シュンとするノアを安心させるように、頭をナデナデするのであった。
「そういえば、シータさん。先程、後で月見草も見に行くと仰っておられましたが、研究のためでしょうか? それとも、今回の件でなにか思うところがあってそれを調べるためでしょうか?」
私達を見て、マギルカがこの話題はもうおしまいとばかりに話題を切り替えてきた。ちと半分くらい個人的な興味も含まれていそうだが、まぁ、そんなことは些末なことで、私は素直に感謝する。私とて、あの後日本語についていろいろ話していたらいつかボロを出してしまいそうで、あまり触れたくないのだ。特にしゃべる本の前では……。
「ん~、どっちかというと後者かな」
「えっ、どういうこと? なにか問題でも」
シータの発言はレガリヤ領主の娘としてはスルーできないように思えて、私は詰め寄る。
「いや~、杞憂なら良いんだけどちょっと気になっちゃって。ま、まぁ、調べてみないとなんともぉ~」
「やけにもったいぶるわね。なによ、気になるじゃない、言ってよっ」
「え~、じゃあ、言うけど。月見草、もしかしたら枯れるかもよっ」
「へっ?」
サラリと軽く大問題なことを言うシータの前で、私は石化したように固まるのであった。
(あ、あれ 私、またなんかしでかしちゃいましたか?)




