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どうやら私の身体は完全無敵のようですね  作者: ちゃつふさ
第2章 学園編 四年目
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書の奪還

 メアリィが精神ダメージを受ける少し前、シータは大書庫塔の外へ出ていた。

 先程、レイチェルの使いの者と名乗る男が報告に来て、それによるとリグレシュの集会場所を見つけたらしかった。

 思った以上に早い発見に「さすが、レイチェル」と感心しつつ、合流することになったシータはオルトアギナの書を取り戻すべく、すぐさま行動に出ている最中である。

 町の中央通りを歩いていると、宿屋近くでシータは神獣を引き連れた金髪の少女と黒髪のメイドを見つけた。


「マギルカさん、休んでなくて大丈夫なの?」


 シータに声をかけられ、マギルカがこちらを見て、近づいてくる。なにやら落ち着かない雰囲気だった。


「シータさん、メアリィ様達は、まだ塔におりますか?」

「殿下とザッハさんは塔に残っていて、メアリィさんとサフィナさんは一緒に宿へ戻ったはずだけど?」


 少し落ち着きのないように見えるマギルカの質問に答えながら、シータはハタと不穏なことを思う。


「まさか、ふ、二人はまだ戻ってないの?」

「……やはり、戻ろうと二人だけで行動したのですか。マズいですわね、テュッテ」


 驚き焦るシータに代わり、メアリィの行動が分かったおかげかいつもの冷静さを取り戻したマギルカが後ろに控えていたメイドのテュッテに声をかけていた。


「はい、おそらくお嬢様の行動にサフィナ様が異を唱えることはないでしょうから、ズルズルと……」


 二人はシータに聞こえないようにコソコソ話をしているので、上手く聞き取れないがおそらくメアリィ達の行動になにか思うことがあったのだろうか。

 ここでふと、シータはメアリィと最初にあったときのことを思い出す。

 フードを外した時に見た美しく棚引く白銀の髪がとても印象的だった。それは本に書かれていた「白銀の聖女」の容姿にぴったりであり、彼女の行動一つ一つをつい目で追っていた自分がいたことに苦笑する。

 思えば、フードを被っていたときに神獣に話しかけていたようにも見えたし、なによりあの精霊樹をどうやってかここまで連れてきて、随分と親し気にしゃべっていたのには驚きを隠せなかった。

 そんな彼女が今、宿に戻らずサフィナと共に行方が分からないらしい。


「大変だわ、なにか良からぬことに巻き込まれて戻ってこれてないのかも。探さないと」

「そうですわね。予期せぬところで首を突っ込んでいるかもしれませんわ。探さないと」


 心配になり、シータが慌ててマギルカに言うと彼女も賛同するが、どことなく自分が言っているニュアンスと違うようにも聞こえるのは気のせいだろうか。

 とにかく、今はリグレシュの捜索よりメアリィ達の方が優先だと、捜索対象をそちらに切り替えた。すると、すぐさま二人の情報が門前の警邏によって明らかになった。


「サフィナさんっ!」

「あっ、マギルカさん。それにシータさんも」


 そのまま大橋を進むと、警邏に聞いた通り途中で立っていたサフィナを見つけて声をかけるマギルカ。

 合流したサフィナから聞いた話を整理すれば、なにやらメアリィによってリグレシュの集会場への情報を入手し、早々にその入り口を見つけたらしかった。あくまでらしいということで、確認のため彼女一人で潜り込んでいるというのが現状だそうな。

 先程シータが報告で聞いていたのはカイロメイアの外にある朽ち果てた橋の残骸の下だったのだが、こんな近くに、しかも到着して早々に別の入り口を見つけたかもしれないメアリィの力量に驚きを隠せないでいる。と同時に、その才覚に恐怖すら覚えた。

 というのも、彼女が見せるこのとんでもないほどの迅速な読みと秘密裏に動く姿が、外交で度々会ったレリレックス王国の『氷の魔女』を彷彿させたからだった。

 そういえば、黄金の姫の物語でも白銀の聖女と呼ばれる少女は、神の啓示に基づいて、密かに皆を導いていたと記されていた。物語を読んでいるときは「ふぇ~、すごぉ~い」とあくまで物語ということでサラッと流していたが、まさか現実にそれをやってのける人物がいるのかと思うと驚きを通り越すのも無理はないというものだ。


「なかなか戻ってこないとなると、中でなにかあったのかも知れませんね。私達も降りてみましょう」


 シータが他事を考えていると、マギルカが提案してきたのですぐさま頷き、行動に移る。

 浮遊魔法で降りてみれば、なんとこんな所に扉があるではないか。

 何年もここに住んでいたのに、扉の存在に全く気が付かなかったシータは益々持ってメアリィの洞察力に感嘆する。

 扉は大きくないため神獣はテュッテとともに橋に残ることになり、シータとマギルカ、サフィナが中に入ることになった。

 そして、メアリィに導かれるかのように彼女の後を追うシータは、地下へと下り、奥へ進むと争いの場に出くわす。


「メアリィさんっ!」


 仮面の男と対峙するメアリィを見て、叫ばずにはいられなかったシータは大声を上げ、皆の注目を集める。


「バカな、予定より速い、速すぎる。しかも、なぜそっちから来るんだ。本来は我々同様、逆の方向から来るはず……」

「シー……司書長がなぜ一部しか知らない裏口の方から……」


 シータの存在を見て、一番に驚いたのは仮面の二人だった。そして、二人はなにかに気が付くように揃ってメアリィの方を見る。


「シータッ。リグレシュには二つの派閥があって争い中よっ」


 そんな注目の中、続いてシータ達の存在に気が付いたメアリィが端的に現在の状況を説明してきた。どことなく皆の意識を自分ではなく、シータへ向かわせようとしているように感じたが気のせいだろう。


「は、はいっ、えっ、派閥?」

「おそらく、仮面の男に賛同する者とそうでない者がいるのでしょう。それが今、対峙しているのでしょうね。メアリィ様に敵意を見せているのはあの仮面の男だけ。後はすでに倒されているみたいですわ」


 メアリィの急な発言にそれでも状況がいまいち掴めないシータの横でマギルカが自分なりの解釈を伝えてくる。


「……なるほど。つまり、仮面の男には今、味方がいないと……」


 マギルカに言われてもう一度現状を見返してみれば、なるほどそういう風に見えなくもないとシータはなんとか状況を把握できた。

 改めて仮面の男を見てみれば、シータの後ろに控えているマギルカと、先程まで対峙していたメアリィを交互に見返していた。


「……またあの二人組か……あんな小娘どもに私の計画が狂うなど……やはり裏でアルディア、いや、王子が……本国に連絡も……」


 仮面の男がブツブツとなにか言っていたが、とにかく現状仮面の男が一人になっており、自分達がメアリィの加勢に現れたということは確かであり、もう一人の仮面の女と怯えているその取り巻きは勝手に敵ではないと判断するシータであった。

 なぜかシータは一目見たときからあの仮面の女が敵だという感覚がなかったことに、ふと不思議がる。加えて、仮面の女以外は怯え方といい見るからに非戦闘員であるところからそう判断していた。

 まさにシータにとっては絶好の機会。これも神様のお導きなのだろうか。


「なんだかよく分からないけど、ちょうど良いわっ! オルトアギナの書を返してもらうわよっ!」

「……フンッ、これか? 司書長様はこの書を手にしてどうするのかね? お前はこれがなんなのか分かっているのか?」


 遭遇したときは焦りのようなモノが見え隠れしていた男も次第に冷静さを取り戻したのか、皮肉混じりに書を懐から取り出すとこれ見よがしに見せびらかしてくる。


「え? こ、古代カイロメイアから遺された唯一の書でしょ。それがあれば私の悩みである大書庫塔の鍵が全て開けられるかも……」


 仮面の男からの思いも寄らない質問に、思わず正直に答えてしまうシータ。


「書庫塔の鍵か……はぁ、分かってない、分かってないな……この書の価値がまるで分かっていない。本当にお前は父からなにも聞かされていないのだな……」


 シータの答えを落胆し、小馬鹿にするように仮面の男が溜め息を吐く。その中に父親というワードが出てきて、シータは馬鹿にされて怒るよりびっくりしていた。


「そもそも古代カイロメイアだって? ははっ、笑わせる。古代カイロメイアに叡智などないっ! 全てはオルトアギナ、その人の恩恵なのだからなぁぁぁっ!」


 シータが父について言及しようとするよりも早く、仮面の男がとんでもないことを言ってきて、その考えが吹き飛んだ。


「……オルトアギナって、人の名前だったの……」

「そうだ、魔力も知識も乏しい私ではほんの少ししか閲覧できなかったが、それでもその考えは正しかったと確証したよ」

「閲覧って、ギランさんは失敗したのにあなたがどうして?」

「あいつはこれが古代カイロメイアのエルフが書いたと誤解していたからな。クククッ、逆なんだよ。この書はお前達に読ませないよう、エルフ式で読もうとすると罠が作動するようになっていたのさ」

「私達に、読ませない?」


 息を付かせないくらいに仮面の男がシータにとって驚きの話をしてくる。真偽はどうであれ、シータ達カイロメイアの住人にとっては聞き流せない話であった。だからこそ、彼が突然そんな話をここでするのか、その真意にシータは気が付けなかった。


「シータッ、耳を貸してはダメッ! それは彼の時間稼ぎよっ、早く書を取り戻してっ!」

「えっ、うんっ」


 彼の行動にいち早く気が付き、二人の会話に割り込んできたのは驚くことに仮面の女だった。

 不思議なことにシータは彼女の言葉になんの疑問も持たず、返事をして行動に出ようとしていた。そう、それはまるでいつも側にいる義姉からの助言のように聞こえたのだ。声がくぐもっていてそうとは断定できないのに……。


「チッ、余計なことを。まぁ良い、孵化までは時間が稼げたかっ!」


 そう言うと、仮面の男は大きく膨れ始めた卵をシータ達の前へと放り投げる。


「あっ、それってあの遺跡にあった卵っ」

「クククッ、お前達にこれを使うのは想定外だが、まぁ……な、なに? 遺跡にあった……だと」


 してやったりと嘲笑おうとした仮面の男が、メアリィの驚きの言葉に話を止め、訝しがる。

 そんな中、件の卵はボコボコと肥大して孵化していくと、中から見たことのあるあの異形のモンスターが這い出てきた。


「例のモンスター騒動はあなた達の仕業だったのねっ! 遺跡にいた母胎からその卵を持ち出していたのかしら」

「母胎の存在をどうして……ま、まさか、我々の本当のアジトに……」

「その様子だと知らないみたいね。ここにいるメアリィさんがすでにその遺跡を崩落させ、母胎も処分したわ。残念だったわね」

「母胎を処分だと。バカなっ、あの扉を開けたというのか? あれは劣化版とはいえ、書庫塔に似た構造の扉で私が持つ鍵でしか開かないはず」

「えっ、うそ、どうやって開けたの?」


 いけ好かない仮面の男が珍しく取り乱しているので、シータが調子に乗りさらに話を進めていくと、面白いように男は驚き取り乱していた。だが、その言葉にシータも聞き逃せないものがあり、男と一緒にメアリィの方を見ると、彼女はあさっての方向を見て、視線から逃れている。


「……し、閉め忘れたんじゃないかしら……ちょ、ちょっと押しただけで普通に、あ、開いたわよ……」


 なぜかメアリィは言い淀んでおり、彼女の真意が見えない。とはいえ、閉め忘れというのは可能性としてはありなので、なるほどねっと一人納得することにした。


「シータッ! 目の前に集中しなさいっ!」

「え?」


 仮面の男の狼狽えっぷりと、メアリィの返答に意識を持って行かれていたシータは再び仮面の女の叱責に、現状を再確認する。

 いつの間にかモンスターは大きく成長していた。

 話しに聞いてはいたが、おおよそ自然界における成長速度とは思えないその現象にシータは緊張が走り、息を飲む。

 チラリとシータが仮面の女の方を見てみれば、彼女はすでに自分達から離れ、取り巻き達を次々と逃がしていた。このままでは仮面の女も逃げられてしまう。そう思うシータではあったが、だからといってマズいとか追わなければという感情は沸き起こらなかった。

 今はとにかく目の前のモンスターを倒し、仮面の男から書を取り戻すのが先決だ。


「モンスターは私とサフィナで倒すわっ! シータとマギルカはあいつから書をっ!」


 全員で目の前のモンスターを対処し、その後で仮面の男というパターンか、モンスターと男が共闘したパターンなどいくつかの可能性にどう動くべきかを考慮していたシータに、今度はメアリィから指示が出て、行動指針が一気に決まる。


「くっ、まさか戦力を分散してくるとは……」


 予想外だったのか仮面の男が小声で唸る。見ると、男はモンスターから離れつつあった。おそらく、モンスターを盾に自分は逃げるという考えだったのだろう。ならば、メアリィの咄嗟の判断も正解に近い。彼女は彼の考えをすでに読み解いており、そう指示したに違いなかった。

 ここはメアリィの期待に応えないといけないと、シータは後ろに続くマギルカを見る。仮に書を取り戻せずもたついていたとしても、メアリィ達がモンスターを倒すまで仮面の男を逃がさないようにするのが自分達の仕事だと気合いを入れた。


「サフィナッ、完全に成長する前に速攻で終わらせるわよ」

「はいっ、アイテムを使用しますっ!」

「フッ、甘く見られたものだな。こいつは今までの実験結果を元により強力に作られた合成獣だ。それを小娘二人だけで倒せると思っているのかい、クククッ」


 よほど自信のあるモンスターなのだろう。仮面の男がメアリィ達を見て嘲笑する。そういえば、町に出没していたモンスターは一人二人で対処するには苦戦したと報告を受けている。一方で、サラッと倒せたという報告も出ており、おそらくあの急激な成長にその差が出てくるのだろう。

 ならば、いくら強化されたといっても、時間をかけて戦うのが有効のはずだ。だが、それでは男を逃がしてしまう可能性が高い。それを分かっていたからこそ彼は余裕ぶっていたのだろう。


「いくわよっ! ナイン・ブレードッ!」

「「クロス!」」


 さぁ、どうするっとマギルカ以外の二人が見守る中、予想外過ぎることをメアリィ達はしてのけた。

 

 瞬殺である。

 

 キンッと空を切り裂く音が響くと、モンスターが木っ端微塵に吹き飛んだのだ。


「ばッ、バカな……砦の時といい……なんなんだ、お前達はっ」

「フリーズ・アロー!」


 仮面の男とシータが驚愕し固まっていると、唯一この光景を予想していたマギルカが冷静に攻撃を仕掛けていく。

 完全に無防備だった男は舌打ちしながらも致命傷を避けるべく咄嗟に回避した。が、絶妙なタイミングだったのか完全に避けることは出来ずに、氷の矢が体をかすめて体勢を崩す。


「しまっ……」

「シータさんっ!」


 マギルカに声をかけられるのと同時に、シータは持っていた剣を抜いて男との距離を縮めていた。

 一閃。

 完全にとらえたとシータは思っていたが、さすがというべきか男はシータの攻撃を咄嗟に腕で防御する。

 鮮血が飛ぶ中、男が持っていた書も空中に放り出された。


「おのれぇぇぇっ! この私がお前達下等種ごときにぃぃぃっ!」


 ここまで自分の思い通りにいかないのがお気に召さなかったのか、仮面の男は今まで以上に冷静さを無くし、激昂しながらも腕を庇いながら後ろへと飛んで距離をとる。

 シータは仮面の男を警戒しつつ、落ちた書を拾い上げた。

 その瞬間、視界が揺らぎ自分が今いる場所とは違う、なにか異空間めいた場所へと移された錯覚を起こす。

 そして、ゆっくりと見上げてみれば巨大な影が一つ、自分を見下ろしていた。

 書に初めて触れたときにも視たその得体の知れない巨影に、シータはゾワゾワッと悪寒が走っていく。このままこの巨影に呑み込まれると感じたからだ。


「シータッ!」


 どれだけ呆然としていたのかシータには分からなかったが、くぐもったその声に彼女は現実へと引き戻された。

 そして、目にしたのはシータのすぐ近くで仮面の男と女が短剣と剣を交差させている姿だった。

 仮面の男が突っ立つシータに多少傷つけてでも書を奪おうとしたところを仮面の女が間に入ったというところか。


「良かった……その書に引き込まれないよう、気を引き締めなさい」

「……う、うん」


 襲撃が防がれ、仮面の男が離れると、彼の後ろの方から数人の者が近づいてくる音がしてくる。それが黒ずくめ達だとすぐに分かった。

 シータはメアリィのおかげで裏口から入っていったので知らなかったが、本来彼女を騙し捕らえるために入り口付近で待ち伏せていた別働隊が、駆けつけてきたようだ。


「遅いぞっ、なにをしていたこのノロマどもがっ!」


 駆けつける仲間に、珍しく冷静さを失った仮面の男が悪態をつく。一見クールを装っていた彼だが、一度冷静さを失えば、この程度の者だったということだろう。


「逃がさっ!」

「待って、シータさん」


 このまま彼を逃がすわけにはいかないと、シータは前に出ようとしたが、それをマギルカに止められる。

 慌ててマギルカの顔を見てみれば、彼女は冷静に首を横に振るだけだった。

 それで自分もまた冷静さを失っていたとシータは自覚し、止めていた息を吐き、状況を確認する。

 周囲から黒ずくめ達の気配は完全に遠ざかり、いつの間にか仮面の女の姿まで見えなくなっていた。どうやら、リグレシュの人間を一人も捕らえることは出来なかったようだ。しかし、そもそもリグレシュの捕縛が目的ではなく書の奪還が目的であり、それは叶えられたので悪くない成果だと思う。

 恐る恐る手に持つ書を眺めてみたが、あの錯覚はもう起きることが無く、シータはあれはなんだったのだと首を傾げるのであった。

 とにかく、今回の件が無事成功に終わったのも、偏に仮面の男の策謀をことごとく打ち破ってきたメアリィのおかげだとシータは彼女にお礼が言いたくて、キョロキョロと探す。

 すると、メアリィはフードを被り直して、そそくさとこの場を離れようとしていた。

 まるでこの場からコソコソと逃げようとしているようにも見えるが、それは気のせいだろう。彼女は次なる手を考え、すでに行動に移っているに違いない。

 メアリィは物語に出てきたあの白銀の聖女……いや、神獣がマギルカに仕えているのなら、もしかしたら物語では語られていない聖女を導くそれ以上の存在なのかもしれない。

 とにかく、その人が今、人知れず自分を導こうとしてくれている。

 だからといって、それに頼って立ち止まってはいけないだろう。

 己が為すべきことは己が為す、そう思ってシータは決意を新たに、メアリィの背に一度頭を下げ、見送るのであった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 仮面の男さんのリアクションが中々面白いですね。 そのうち私達が及びもつかない秘中の秘をうっかり喋ってくれることを期待しているのですが無理なんでしょうか…
[一言] メアリィ様がブルドーザーの様に全てを薙ぎ倒して行く( ˘ω˘ )
[良い点] マギルカのメアリィ様理解度が高い! [一言] 仮面の女さん正体隠し切れてませんよ(読者目線) ちなみにメアリィ様はコソ逃げしようとしてるんじゃないかなぁ…w
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