カルシャナ領にて
「サフィナァァァッ!」
「お、お母様っ!」
カルシャナ家の屋敷に着くなり、玄関が豪快に開けられ中から一人の女性が飛び出してきた。呼ばれたサフィナはとても驚きそちらを見ている。
飛び出してきた女性の風体は婦人と言うより女騎士と言ったほうが正解なような気がする。彼女はドレスを着ておらず騎士服に似た出で立ちをしており、身長が高いうえにがっしりとした体つきであった。髪の毛もショートカットに切り揃えられ、その茶色の毛先はサフィナみたいにくせっ毛がついている。
そんな大柄な女性が馬車を降りたばかりの小動物ことサフィナに向かって突進してくるので私達も唖然としてなにもできなかった。
「サフィナッ、しばらく見ないうちに立派になってぇぇぇっ! あなたの武勇は私達の地にも轟いているわよっ! さすがは私の自慢の娘ねっ!」
サフィナを完全に包み込むようにハグした女性はその嬉しさを全身で表すようにギュゥゥゥッと力を込めている。
「おが、おがぁざまぁ~」
サフィナのくぐもった声が聞こえてきた。だが、これは決して感動の再会にむせび泣いているのとは違うと私でも分かる。
「あ、あのぉ~、不躾ながら横から口を挟みますことお許しください。あの、そのままの状態が続くとサフィナが絞め殺されますので力を抜いていただけませんか?」
私は相手がサフィナの母親ということだけ理解したので恐縮しながらも友人のピンチに助言した。
「ん? あぁ、ごめんなさい。嬉しくってついっ」
私の言葉を聞いて現状を把握したのかその女性はおおらかな笑顔を私達に向けてサフィナを解放する。
彼女はサフィナの母親、名を『ルシール・カルシャナ』といい、元騎士である。現役時代女性騎士でありながらその戦績は他の男性騎士に引けを取らず、特にモンスターの討伐数は歴代の女性騎士の中でダントツだった。そんな彼女はとあるモンスター討伐のおり、サフィナの父にあって一目惚れしたらしい。寡黙で厳格な現カルシャナ卿にルシールの方から猛烈アピールしたという逸話があるほどに、彼女は情熱的な人なのだ。
(う~ん、なぜこんな剛胆な女性からサフィナのようなオドオドした子が産まれたんだろう。いや、剛胆過ぎて却ってそうなったのかな?)
まぁ、サフィナの家庭の事情はさておき、私達は応接室に招かれ自己紹介を済ますと休憩がてら各々ゆったりとした時間を過ごすことになった。
「ところで、カルシャナ子爵夫人。街の方で武装した兵が多いような気がしますが、何かあったのでしょうか?」
レイン様がさっそく懸念事項を聞く。
「えっと、レイン様ぁ~で良いのかしら?」
「はい、それでお願いします。でないと私達が王妃様からお仕置きされますので」
ルシールの質問にマギルカが正直に答えると、彼女は「王妃様らしいわね」と困った顔をしていた。
「それで先程の質問なんだけど、数日前、森の中へ薬草を採りにいった薬師と冒険者パーティがモンスターに襲われたの。まぁ、そんなことは日常茶飯事で特に問題視することではなかったんだけどね」
さらに続けるルシールの話によれば、そのパーティは軽傷者をだしたが森から戻ってこれたようだった。だが、彼らの説明の中に一つひっかかりを感じるものがあったらしい。
それは襲ってきたモンスターが『大鼠』というモンスターであったことだ。彼らは通常の鼠と姿形は似ているもののその大きさは中型犬くらいの大きさはある。そして、その生息域は地下や洞窟といった狭く暗い場所を好んでいるらしい。そんな大鼠が数匹、森に出てきてパーティに襲いかかってきたのだ。彼らは知能が低く臆病なので基本的に自分達から攻撃を仕掛けてこないはずなのに……。
モンスターを知るカルシャナ領民だからこそ、この不可思議な出来事に少々疑問符が出ていたのだろう。
そして、カルシャナ卿はその領民からのちょっとした違和感を真摯に受け止め、兵を増員し近々砦に兵を送り込んで森を調べる算段らしいということが分かった。
「とはいっても、所詮大鼠でしょ。そこまで警戒するようなことじゃないんだけど、あの人心配性だからね~。まぁ、そこが可愛くて素敵なんだけど」
話の最後にノロケられてしまい、私達は笑顔で返すしかなかった。
「エルフの村へ向かうのは少々待った方がよろしいのでしょうか?」
「いえ、私達は予定通りエルフの村を目指しましょう。あまり時間をかけると放浪するシェリーさんの行方が分からなくなる可能性がありますから」
ルシールの話が終わったところで私は隣に座るレイン様にそっと耳打ちすると彼女は一度深く考え込みそして、答える。
そんなレイン様の強い意志を感じとって、周りの者は決意を新たに揃って頷いた。若干一名「お姉様、素敵っ」とキラキラした瞳で見つめる吸血鬼がいたがこれは無視しておくことにする。
その夜。カルシャナ家のお屋敷に泊まった私は明日、森に入りあのエルフに会うという興奮からなかなか寝付けないでいた。そこで、眠くなるまでちょっと散歩をしようと部屋を出る。
そして、月明かりに照らされた庭で一人の少女が立っているのに気がついた。
「サフィナ?」
刀をにぎり、精神集中しているのか彼女は一心不乱に刀を振るう。その太刀筋は一年生の時に見たあの綺麗な太刀筋を遙かに越えて美しかった。
「迷いのない太刀筋だ」
私とは反対の方向からサフィナに声をかける者が現れて私は声をかけそびれるとそのまま静かに離れた場所でサフィナを見守る。
「……お、お父様っ」
刀を鞘に納め、慌てて父親の方を向くサフィナはどことなく緊張しているみたいだ。
サフィナの父、カルシャナ卿は私の父フェルディッドとは違い身長は高いがその体つきは細く、されど服の上からみても分かるくらい筋肉が発達している。いわゆる細マッチョといった感じであった。
その翡翠色の瞳は切れ長で眼光鋭く、その表情はキリッとしていかにも厳格そうな顔つきであった。
(あれがサフィナのお父様か~。とても厳しそうな雰囲気よね。子供の頃にあってたら私、怖くて絶対号泣してるわ)
「その剣術はおまえが?」
「……い、いえ。メアリィ様に教えて、いただきました……」
「武術大会の成績、それ以降の事件解決の功績は」
「……それも……皆さんのおかげです。私一人では……」
まるで叱られているかのようにビクビクするサフィナは俯いたまま父の問いに答えている。
「「…………」」
基本的にサフィナからはカルシャナ卿に話しかけないみたい、いや、かけられないのだろうか。しばし沈黙の後、再びカルシャナ卿がサフィナに聞いてくる。
「サフィナ、学園は楽しいか?」
「はいっ」
いままでの問答とは違ってサフィナははっきりと即答し、相手の顔を見据えていた。が、言った後、逃げるようにまた俯いてしまう。
「……そうか、良かった……」
ポソッと呟いたカルシャナ卿のその言葉は今までの冷たく無機質なものではなくどこかホッとした温かなものが含んでいるように私には聞こえ、サフィナも同様に感じたのか慌てて頭を起こしたがすでにカルシャナ卿はサフィナに背を向け、歩き去っているところであった。
私はなんだか出ていってはいけない雰囲気に呑まれて柱の陰に隠れるとそれを見届けていた。
(あれがサフィナのお父様……か。一年生の時に聞いた時は印象が悪かったけど、なんか娘をとても大事にしたいんだけど不器用だから上手くそれを伝えられないお父さんって感じでホッとしちゃった……)
私は柱にもたれて頭上を見る。
(両親か……この事件が無事に解決したら、二人にいっぱいお話ししてそれから、お父様の肩でも揉んであげようかな……あっ、その前にお父様の肩を粉砕しないように練習しないといけないわね)
私はフンスッと気合いを入れ直すと部屋に戻って明日に備えるのであった。
次の日。カルシャナ卿との挨拶を済ませた私達は出発前に買い物へと出かけていた。というのも、砦までは馬車で行けるのだが森から村へは徒歩で行くことになるので服装を変えねばならないのだ。
「というわけで、一度はやってみたかった冒険者ルック!」
「なにが、というわけなのですか?」
一人テンション高めの私にマギルカが冷静にツッコミをいれてくる。私達は今、街にある服や防具を売っているお店の前に来ていた。
「とりあえず、マギルカは魔法使いだからそれっぽい格好にしましょう。あのなんて言うの? 鍔が広くて山高な帽子。あれとローブは必須よね」
私はマギルカのツッコミを横に置くようなジェスチャーでスルーし話を進めていく。
「それじゃあ、オレは騎士ぃ~」
私の意図が分かったのかザッハがはいはいと手を挙げて自分の希望を言ってきた。
「冒険者って騎士っていうよりは戦士よね。あなたは片手剣と盾もって革鎧とか着た、ザ・冒険者っていう方が似合いそうよ」
「え~、メアリィ様が以前着ていたみたいな全身鎧の方が良いな~」
「あなた、そんな格好で森に入ったら一気に体力無くしますわよ」
私の意見に文句を言うザッハにマギルカが冷静な判断で指摘する。
「えっと、サフィナは……刀持ってるから侍、といきたいところだけど着物とかないしな~。あ、素早いから忍者ってもの良いわよね。あ、これもないか~」
「え、さむらい? きもの? に、にんじゃ? え?」
私の発言がまったく理解できず、サフィナは首をコテンと傾げるばかりである。
(う~ん、どこかにあるといわれる和文化。はやくこちらにも伝わってきて欲しいものだわ)
「サフィナさんも戦士風でよろしいのではありませんか?」
「ダメよっ! サフィナにあのビキニアーマーなんて着せられないわ!」
「な、なんですの、そのビキニアーマーというのは?」
私の剣幕に圧されながらもマギルカが聞いてくる。
「ビキニアーマーっていうのはね、女戦士が着る装備でこ~んな感じの……」
そして、私はマギルカの質問に対してちょっとお行儀が悪いが土の地面に簡単な絵を描いて教えてあげる。それを見ていたマギルカとサフィナの顔がどんどん赤くなっていった。たぶん完成予想図を具体的に想像したんだろう。
「む、無理無理無理、無理です。そんな格好、恥ずかしさのあまり死にますっ!」
頭の上に湯気が立ち上がりそうなくらいサフィナは顔を耳まで真っ赤にして両手を突きだしブンブンと横に振って拒否する。
「いえ、そもそもこんな防御力もない非効率的な装備、あるわけないと思いますが」
「……ふむふむ、ほうほう。これがビキニアーマー……とても興味深い。今度デオドラ殿に頼んで作ってもらおう。この状態からどう防御力をあげるのか魔工技師の腕の見せ所」
マギルカが呆れかえったように言うと、私の描いた絵を大変興味深く眺める狐獣人様のお言葉に顔が青ざめていった。
「そ、そそそ、それよりもメアリィ様はどうなさるのですか? 私同様魔術師ですか? それとも戦士ですか?」
あえてフィフィを見ずに話を進めるマギルカに私はさて、どうしようかと思案する。
「う~ん、単純に考えると剣と魔法を同時に使える職業かな~」
「え、あの『伝説』の魔法騎士、ですか」
「ううん、今のなし、今のなし」
私がポロッと口にした希望にマギルカがとってもデンジャラスな言葉をぶっ込んできたので慌てて発言を無かったことにした。
(魔法騎士ってあの白銀の騎士とか勇者・英雄クラスの人の職業じゃないのよ。あれ? よくよく考えると私、まずいところに片足突っ込んでない?)
「私は~、えっと、そうっ、村娘でっ!」
「それは冒険者ではありませんわ」
私は目立ちたくない一心で閃いたRPGに登場する中で私にとって最高の職業(?)を提案したのだが、マギルカのごもっともな意見に一刀両断された。
「メアリィ様、神聖魔法が使えるんだから神官とか僧侶風で良いんじゃね?」
「う~ん、神官はちょっと……聖教国がらみで私の中の印象が」
魔法騎士とか物騒なものより僧侶とかの方がまだましだが、いかんせん学園祭やレリレックス王国での事件で私の中の聖教国への好感度が最低値にまで落ち込んでいるので、それを彷彿させるのはなんだか嫌な気分になる。
(まぁ、そもそもコスプレするだけなんだから、気楽に考えれば良いんだけどね~)
「くっくっくっ、愚問ですわね。あなたは白銀の聖女と呼ばれているのですから聖女らしい格好をすればよろしくって」
「「「なるほどっ」」」
日傘をさして日光を避けているヴィクトリカが不敵な笑みを浮かべてなんかふざけたことを言ってくる。そして、なぜかそれに賛同するようにマギルカ達がポンと手を打つのであった。
話が逸れるが、吸血鬼は日光が苦手らしいのに、ヴィクトリカは日傘をさす程度で歩き回れるらしい。仮に日にあたっても「あっつ」とかいって日焼けする程度で済み、ヴァンパイア特有の再生能力ですぐに治るとのこと。なんてハイブリッドなヴァンパイアちゃんなんだろう。
「やらないわよ、そんな格好恥ずかしい! 第一、聖女ってどういう格好よ」
私の猛抗議に皆がう~んと考え込む。
「確かに聖女ってどんな格好してるんだ?」
「お伽噺ですと神の声を聞いた村娘が聖女になるといったパターンが多いですわね」
「じゃあ、村娘で良くね?」
ザッハとマギルカの問答で私はまさかの最初の提案が採用される運びとなるのであった。とはいえ、なんだかモヤッと感は拭えないでいる。
「ちなみに私はどういった職業の格好をすれば良いと思いますか?」
私が釈然としない顔をしているものだから、話題を変えようと今までの会話を温かい目で見守っていたレイン様が聞いてきた。そして、なぜか皆が私を見てくるので、自然と私が考えを巡らせることになる。
「……えっと~、レイン様は……プリンセス?」
私が疑問形でゲームとかでたまに出てくる『プリンセス』という謎のジョブを口にした。
「え? お姫様って職業なのかい?」
私の回答に思わず素に戻るレイン様。
「でも、ドレスとか着て森を歩くのは不便だし、もうちょっと軽装で……」
「なにをおっしゃいます、レイン様。たとえどのような状況であろうといついかなる時も高貴な出で立ちで居続けることこそがプリンセスなのです! それが王族なのです! ほら、お伽噺に出てくるお姫様だって捕らわれようが逃げていようが常に豪奢なドレス着てるでしょ? あれですよ、あれ」
「はあぁ……そういうものですか」
私の悪のりじみた熱弁を冷や汗垂らして聞くレイン様は結局そのままの格好でいくことになった。
そして、一時間後。私達は思い思いの出で立ちで立っていた。
「どうかしら、テュッテ? お揃い、お揃い♪」
さすがのテュッテも今回はメイド姿で歩き回ることができないので、私と似た格好をしてもらうことにした。
「テュッテさんのメイド姿以外の格好なんて初めて見ました。なんだか新鮮でとても可愛らしいですね」
私の横でサフィナはテュッテをマジマジと見て言う。
「そ、そんなこと……」
サフィナに見られてテュッテも恥ずかしいのかスカートを掴んでモジモジしている。
「こうやって並ぶと私達姉妹みたいだよね~」
私は恥ずかしがるテュッテの腕をとって抱きつくとサフィナに見せる。
「……姉妹というより村娘に扮して遊びに来たどこぞのお嬢様とその従者って感じ。いくら服装を変えても染み着いた関係性は隠しきれない」
私達を客観的に見ていたフィフィが身も蓋もないことを言ってきて、私はがっくりと両手両膝を床につけ項垂れる。
「だ、大丈夫ですか、お嬢様」
意気消沈する私をテュッテは優しく介抱してくれた。そして、私はフィフィの辛口評価に対抗心を燃やす。
「テュッテ、そのお嬢様ってのがたぶん従者っぽくさせるのよ。私のことはメアリィって呼んで。私はテュッテのことお姉ちゃんって呼ぶから」
「えぇぇぇっ! そ、そんな、恐れ多いことできません」
私の提案にテュッテが無理無理と首を横に振って全力で拒否してきた。
「お願いよ、テュッテ。今回だけだから、ね、ほら、さん・はいっ」
慌てるテュッテの手を握って見上げるように私はお願いし、彼女をうながす。
「メ……メ、メアリィ、さま」
「さまはいらない。はい、もう一度。さん・はいっ」
「……メ、メアリィ……」
「なぁに? テュッテお姉ちゃん♪」
私に期待の目で見つめられながらテュッテは小声ながらもそれに応えてくれ、嬉しさのあまり満面の笑みで私は答える。すると、テュッテは私から頭を背けると両手で顔を隠してブルブル震えて座りこんでしまった。耳まで真っ赤である。
「無理ぃ、無理です、お嬢様。後生ですからご勘弁を。破壊力が半端なく、私が悶え死にますぅ」
顔を隠しながらしゃがみ込むテュッテをまるで「その気持ち、分かります」というようにうんうん頷きながらサフィナが彼女の背中をさすって介抱した。
(う~ん、テュッテだったらお姉ちゃんになってくれてもかまわないんだけどな~。やっぱ、身分というのが邪魔するのね。残念)
テュッテをサフィナが励まし、二人で何かを言って意気投合しているのを眺めながら、私なりの結論に至る。それが二人にとってまったくあさっての方向へ向かっているとも知らずに……。
「皆さん、なにをしてらっしゃいますの?」
着替え終わったのかマギルカも帽子をかぶり直してこちらにやってきた。
そして、全員揃ったところで新たに結成されたなんちゃってパーティをフィフィは再び吟味する。
「……こっちの剣士・戦士・魔術師は良いとして。そっちサイドは冒険をナメてるのか感半端ない」
「フィフィさん、私達に対する評価が辛辣じゃないかしら? もうちょっとオブラートに包んで欲しかったわ」
フィフィがいうそっちサイドというのはもちろん、私・テュッテ・レイン様・ヴィクトリカの四人である。確かに武装もしていない村娘と豪奢なドレスに身を包んだお嬢様方がこれから森へ冒険に行ってきますと他人に言ったら即効で止められるだろう。
「くっくっくっ、見くびってもらっては困りますわ。こちら側は吸血鬼に聖女、その従者に、お姫様ですのよ」
「……だから、なに? その面子に冒険ができるスキルがあるとは思えない」
自信満々に胸を反らせてヴィクトリカが言うと、フィフィが無表情のまま言葉の剣でバッサリと斬り捨ててきた。
「お姉様、あの無表情狐女が手厳しいですぅ!」
叱られた子供みたいに涙目になってヴィクトリカがレイン様の腕にしがみつき、レイン様はよしよしと頭を撫でて慰めていた。
「とぉ~にかく、これでエルフの村を目指すわよ、皆ぁっ! 頑張っていこぉぉぉっ!」
私は強引に気持ちを切り替えるように一人拳を振り上げるのであった。