転生しました
初投稿にして、見切り発車しており、内容の修正などあると思いますがよろしくお願いいたします。
産まれた時から心臓が弱く、免疫力の低かった私は、無菌室から一歩も出ることもなく、その生涯を終わらせようとしていた。
私のわがままで泣きたいのに笑顔で見送ろうとするお父さん、お母さん…私は幸せだったよ…ありがとう。ああ、私の人生はこんな簡単に終わっちゃうんだね。結局歩くことも走ることもろくに出来ず、なにをするにも他の人の手を借りて…結局、親孝行もできなかったよ。神様…もし、生まれ変わることができたのなら…その時は
『どんなモノにも絶対負けない丈夫な体』に産まれますように
私はそっと目を閉じ…終わりを迎え…る…
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[その願い、聞き届けよう]
「へ!?」
脳裏に響く大きな声に私は閉じた目を開けると、光が眩しく、上手く視界が定まらなかった。
(なに?どうしたの、これ!よく見えない、聞こえない、身体も上手く動かない!なんで、どうして!やだ、こんなのいやだぁぁぁっ)
「おぎゃぁぁぁぁ!おぎゃぁぁぁぁ!」
「産まれました。元気な声で、女の子ですよ、旦那様」
この日、私は「メアリィ・レガリヤ」として新たなる生を受けたのであった。
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それから数日…
時間が経つにつれて私は冷静さを取り戻し、現状の把握に思考を巡らせれるようになってきた。
(え~~~と、つまり…どういうこと?)
(落ち着け、落ち着くのよ私、なんかこういう展開の主人公、病室で読んだ本にあったじゃない。え~と、なんだっけ?編成っじゃなくて、てん…そう、転生よ!)
その言葉で私の思考が急速に落ち着きを取り戻していった。落ち着いて、自分の身体を見てみる。
小さな手、赤ん坊の手だ。間違いない、私は記憶を残したまま新たな生をスタートさせたのだ。
(そっかぁ、今度はもう少し丈夫な体になってるといいなぁ)
理由なき安心感からか、私は眠りにつく、新たなる人生に胸を躍らせながら。
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(おおお、動く!動くぞ、この身体!)
ノソノソとハイハイしながら床を突き進む私。
どうも、メアリィ・レガリヤ、1歳です。
私は医療器具が並ぶ医療室から、一転して、和やかで豪奢な屋敷の一室で両親に見守られてすくすく育っております。今のところ、身体に支障はなさそうで、ついついやんちゃに動き回ってはメイド服を着たお姉さんたちに抱き抱えられてしまった。
(ううう…もっと動きたいのに)
部屋の雰囲気や、両親の身なり、かしずくメイドたちや執事を見るところ、私が病室で見た映画、アニメ、マンガ、本、ゲーム、などに出てくる中世ヨーロッパの貴族のような感じがする。
(まぁ、貴族なんだろうけど)
父が産まれたばかりの私を「この娘が我がレガリヤ公爵家の長子かぁ!」と嬉しそうに言いながら高らかに私を抱き上げていたからだ。
(公爵家の令嬢ということなのかしら…現代社会の日本に産まれ育った私には縁遠くていまいちピンとこないけど)
私は新たな生を前世の記憶を持ってスタートさせることができたので、前世に出来なかったことをしっかり満喫するつもりだった。
(ありがとう、神様。早く、大きくなっていろんな事がしたいなぁ)
私はあの時、響いた声を神様だと信じて感謝することにしている。
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そんなこんなで月日があっという間に過ぎ、私は順調にスクスクと育って、今では自立歩行はもちろん、ちゃんとした会話を可能としていた。
どうも、メアリィ・レガリヤ、3歳です。
私は母親譲りの銀色の、いやそれよりも白に近い長い髪と、髪や肌に負けないくらいの真っ白で上質なフリル付きワンピーススカートをたなびかせて、テクテクと屋敷内を散策している。実のところ、私はもっと前から自立移動などを可能にしていたのだが(もっと言うなら生後数日で)さすがにこれは変だ?私が持つ前世の記憶の所為だろうかと思い、変に思われないように私が知る限りの赤ちゃんの動きをしてきたのだ。
(幸い、ベースが赤ん坊だったから、できないものはほんとにできないものが多くて、おかしなことになることは…なかったと思う…よ?)
成長に伴って、自分がいる世界のことも分かってきた。
ここは自分が知っている現代社会ではなく、アルディア王国といって、剣や魔法、モンスターや精霊が住む、いわゆるファンタジーな世界なのだと判明している。
(RPGだよ、RPG!ゲームでしか体験していなかった世界が今、目の前に!)
だがどんな世界であれ、私は普通の生活さえできれば幸せなので、冒険やら何やらをしようとは思っていなかった。
(だって、危険じゃない、今世ではなるべく親に迷惑かけず、孝行できるよう長生きしようと思っているから、あまり無茶なことは言わないし、しないの)
なので、両親に何か欲しいかと言われても、何もいりませんと答えている。
そういえば、私は日本語でもないこの世界の言葉と文字を違和感なく理解できていたが、これも例の神様のおかげなのだろうか。
「神様、ほんとうにありがとう!私は今日も元気に暮らしていますよ」
と、空に向かって私は神様への感謝の言葉を送っておく。
「ああ…平和だわ。これから先、何事もなければいいのだけど。おっと、いけない!これはフラグになってしまうわ。なぁ~んて、アハハハ、そ~んなわけないッない、迷信迷信!」
そうして、私はやらかしてしまった。
それは不注意で起こった突発的な事故だった。
重い木箱が床に落ちる大きな音が部屋いっぱいに鳴り響く中、私は片手を上げてその一つを受け止めていたのだ。自分を覆い隠すほどの大きな木箱を軽々と片手で。
えっ、どういうこと???
――――――――――
事の発端は今から半日前に遡る。
「おやおやぁぁ!私の可愛い天使がこんなところにィィィッ」
屋敷の廊下を歩いていると遠くの方から駆けてくる(?)豪奢な貴族服を着こなしたナイスミドルな髭ダンディの中年男性が一人。
「あら、お父様、ごきげんよう」
私は走ってきた男に向かって、スカートの裾を持ち、少し上げると少し屈んだ後、挨拶する、とびきりの笑顔で。令嬢としての振る舞いや言葉使いなどは、以前から家庭教師を呼び学び始めているが、まだまだたどたどしかった。けれど、精神年齢は合計して15歳を越えているので飲み込みは速い。
「おうっふッ!」
変な吐息を漏らして、父は空を一度仰ぎ見た。
彼の名は「フェルディッド・レガリヤ」
レガリヤ家当主にして、私、メアリィの父親であり、アルディア王国の元帥を務めている男だ。
「お父様?」
私は頭の上に?マークを浮かべながら、コクリと首を傾げた。
「あぁうちっ!」
今度は訳の分からぬ奇声をあげて自分の胸を押さえる父。
(毎度の事ながら何だろうね、このやりとり)
「ゴホンッ…旦那様、話が進みませんので」
後ろに控えていた執事が小さな声で言葉をかけると父は分かっているっとにやけた表情を正した。
「メアリィよ、ついてきなさい。お前に会わせたい子がいる」
「私に、ですか?」
先に述べたように、私は両親に多くを欲しがった事はなかったので、両親も無理に私に何かを与えようとはしなかったが、今日は違うようだ。
(っというか、父よ。ついてこいと言っておきながら、なぜ私を抱き上げて運んでいく。私は自分の足で歩きたいのに)
鍛え上げられた父の腕にちょこんと座りながら、私は庭へと連れられていくと、そこにはすでに先客がいた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。