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景浦家の物語  作者: 山鷹
1/3

景浦家

この作品で今まで自分が体験したことや周りの友達の色々な出来事や噂等を作品に出来たらいいなと思って完走目指して頑張ります。

「…起きろ…起きろって…」


 なんだか朝から俺の睡眠を妨害する声が聞こえる。でもまだ眠い。布団から出たくない。でもそろそろ起きた方がいいのかなと目をつぶりながら考えていると。


「起きろって言ってんだろ!」


 後頭部に衝撃が走った。慌てて飛び起きて後頭部を抑えながら周りを見渡すと次女の(りょう)姉ちゃんが立っていた。その姿はまさに鬼のようでとてもイライラしてるように見える。


「てめぇ朝からウチに何回起きろって言わせんだよ!今日から高校生だろうが!春休みは終わったんだよ!姉貴が朝飯作ったから早く下に降りてこい!今度は顔面に蹴り入れるぞ!」


 状況がやっと分かってきた。どうやら凉姉ちゃんに後頭部を蹴られたらしい。蹴られたと分かったら後頭部が痛くなってきた。てか、起きないだけで後頭部蹴るのって…。


「分かった。今下行くよ」

「朝からイライラさせんなよな!それとパンツぐらい履け。朝から気持ち悪いもん見せるな」

「寝てると勝手に脱いじゃうんだよ。わざとじゃないんだよ。」

「お前、ウチに歯向かうのか?」

何でそうなるんだよ!と心のなかで思いながら。

「すぐに着替えて下行くから」

「さっさとしろ」


 そう言って俺の部屋から出ていった。はぁと一つ息を吐き俺は着替えを始める。


「別に蹴ることないのに…」


 ぶつぶつ文句を言いながらこれから三年間お世話になる制服を着ていく。凉姉ちゃんは俺の姉で一つ歳上の次女である。容姿端麗、頭脳明晰、茶髪ショートのボーイッシュで姉御肌。バリバリの体育会系で超問題児である。中学の時に夏の暑い日にクラスに冷房が入らなくて金属バットを持って校長室に乗り込んだこともある。俺はあいつの弟なのかと冷ややかな目で見られることも多々あった。だが、尊敬できる部分も勿論ある。中学の時に男子と混じって野球チームで全国準優勝に貢献している。そのチームで1番セカンドのバリバリのレギュラーでリードオフマンだった。高校はスポーツ推薦で女子野球の強豪校に行ったが先輩と喧嘩して退学。その後、家の近くで長女の朱鷺音(ときね)姉ちゃんが通っている猛虎(もうこ)高校に編入している。

 着替えを終えて自分の部屋を降りて一階のリビングに行く。すでにテーブルには四人分の朝食が用意されていた。


「やっと降りてきた。早く食べないと入学式から遅刻するよ?」

「はーい。いただきます」


 席につき用意されていたご飯を食べ始める。ご飯を用意してくれたのは朱鷺音姉ちゃんである。いつもトキ姉ちゃんと少し略して読んでいる。トキ姉ちゃんは二つ上の姉で猛虎高校の生徒会長である。容姿端麗、頭脳明晰の黒髪ロングで覚えたこともすぐに出来てしまうため完璧人間とよく言われている。中学の時まで少し問題児扱いされていたが、中学の途中から人が変わったように真面目になった。学校では男女からとても人気があり信頼が厚い頼れる人である。


「私は生徒会の仕事で朝忙しいから先に出るね。食べたお皿は水に浸けとけばいいから」

「はいよー」


 俺が返事をして凉姉ちゃんも食べながら頷いている。


「じゃ後はよろしくね」


 と言ってリビングを出て行った。そして、トキ姉ちゃんと入れ替えるように三女で二つ下の妹の(みずき)がリビングに入って来た。


「おはよう…」


 目を擦りながらゆっくりと席に着いた。


「聖はマイペースだな。学校間に合うのか?」


 凉姉ちゃんが聞く。


「うん。もう着替えも終わったし、持ち物とかも昨日のうちに準備したから大丈夫だよ」

「お前はほんとにのほほんとしてるな。誰の遺伝だかな」

「これでもはきはきしてるつもりなんだけどね」


 妹の聖は黒髪のポニーテール。頭脳明晰で姉たちみたいに容姿端麗とはいかないが大人しくて優しくてとても包容力がある。友達も多いが人見知りが結構ある。そして、非常にのほほんとしている。


「あっそうだ。大雅(たいが)お兄ちゃん高校入学おめでとうございます」

「ありがとうございます。朝からそんなこと」

「こういうのはちゃんとした方がいいと思うので」

「全くよくお前なんかがあの高校受かったよな。偏差値まあまあ高いだろ?」

「勉強頑張ったからね」

「バカなりに頑張ったってことか。ほんとお前は景浦(かげうら)家の恥なんだから頼むぞ」

「お姉ちゃん言い過ぎだよ」

「こいつはこれぐらい言わないと駄目なんだよ。なぁ?」

「はい。そうです」


 ほんとのことなので何も言い返せない。姉妹揃って頭脳明晰なのに俺はいたって普通だった。まぁ姉たちの方が問題児だからそこら辺は俺の方が優秀だったと思う。後、言い返せないのは怖いからである。

 食べるのを再開しようとしたら、ピンポーンとインターホンが鳴った。聖が玄関に出る。そして数秒して聖が帰って来て。


「大雅、(あおい)ちゃんが来たぞ。待ち合わせに女を遅らせるなよ」

「えっ?まだ時間じゃないよ」

「少し早く行くんだよバカだな。ちょっと待ってって言ったから食うのやめて歯磨いてさっさと行け。残りは聖に食わせるから」

「えっ?私が残飯処理するの?朝からこんなに食べれないよ」

「いいから食え!大雅は早く歯磨け!」

「「はい」」


 聖すまん。と心のなかで思いながら横目で見ると若干涙目であった。歯を磨いて準備を終えて玄関に行く。


「じゃ先に行きまーす」

「ちょっと待て」


 凉姉ちゃんに止められてしまった。


「何でしょう。何かしました?」

「お前朝シャワー浴びてないだろ。汗臭くて葵ちゃんに嫌がられるぞ」

「別に平気じゃない?」

「だからお前はバカなんだよ。この香水首辺りと腕につけとけ」


 と言われ渡された香水を言われたところにつける。


「全く…お前葵ちゃん好きなんだろ?葵ちゃんもお前のこと好きそうなんだからこういう所しっかりしろよ」

「まぁそうだけど…でも凉姉ちゃんこそいつシャワー浴びた?聖が使ってなかった?」

「ウチはホテルで浴びたからいいんだよ。姉貴も聖の前に浴びてるしこういう所をしっかりしろよ」

「はい。てかまた朝帰りなのね」

「なに?文句あるの?」

「別にないよ。怒らないでよ」

「怒ってないよ。さっさと行け。そんでさっさとお前ら結婚しろ」

「け…結婚なんてまだまだ先だよ!行ってきます」


 朝からあの姉は何を言うんだと思って玄関を出ていった。


「あっやっと来た!入学式遅効しちゃうよ!」

「ごめんごめん。じゃ行こうか」


 今日も朝から波乱万丈であったがやっと高校生活が始まるんだなっと思い始めてきた。

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