遅い昼飯
先週は投稿出来ずにすいません。恐らく、これからもこんな風に2週間に1回のペースになるかもしれません。
「……夢、か……」
ベタだなと思いつつ、体を動かす。
病室のベッド……ではなく、家のベッドで寝ていたようだ。
「そっか……、あの後疲れて倒れちまったんだった」
頭を掻きながら立ち上がった俺は、自分のサンダルが無い事に気付く。
「置いておいてくれても良いだろうに」
そうぼやきつつも俺は玄関まで歩いてサンダルを取る。
「誰もいないな……」
秒すら正確に設定した携帯の時刻は15時丁度、4時限目の開始時間が10時45分であの救出劇の時間が十数分の出来事だ。
つまり、日付が変わっていないのなら俺は4時間程寝ていたらしい。
「それにしても誰もいないな……婆ちゃんの家か?」
俺の家の隣に婆ちゃんの家がある。去年まではそっちの方に住んでいた。その名残もあって、ご飯は何時もそっちで食べる。
「昼飯、食べてないな……」
俺は空腹を感じたので、婆ちゃんの家に向かった。
隣にあるといったが、俺の家と婆ちゃんの家は敷地内に小さい門があり、敷地から入れる様になっている。
庭を歩けば2匹の犬が吼え始める。
「バウ、バウ!」
「アウ、アウ!」
「ハチとプレッタ、うるさいぞ」
この2匹以外にも俺達の住んでいる家の敷地には犬が5匹程いる。
俺に懐いているが、大型犬は全て鎖で繋がれている。
「犬に変身できたら、お前らとも話せるのにな……」
そう呟きながらもハチの頭を撫でてやる。
そして撫でながら距離を少しずつ取り、ダッシュッ!!
こうしないと、俺が撫で終わると同時に飛びかかってくる。
こいつの爪は太いし、爪切りしてないから痛い。
「早く、飯食いに行こう」
少し歩き、門を開け、お婆ちゃんの犬を避けつつ扉を開ける。
「ただいまー……」
「清黒!? もう大丈夫なの!?」
開いた先には、叔父と叔母、母さんとアレンと水歌がいた。
母さんが珍しく心配そうに近づいてくるので、心配させないようにと返事をする。
「大丈夫だよ、それよりあの後どうな」
「大丈夫じゃない! なんでこんな馬鹿な事をした!?」
何時も細かい事に五月蝿い伯父のダイモ伯父さんがポルトガル語で叱るように言った。
この人は日本にいる俺の父さんの代わりの様な人だ。
俺はまさかこの人が怒鳴るとは思わなかった。確かに細かい事に五月蝿いが普段この人は口数少ないので、今まで一度も怒鳴った事はない。
俺は驚きの余り黙ってしまう。
俺には反論はあった。俺達が動かなかったら警察は入れなかったし、そもそも警察への通報はテロリストが放送でしたら人質を殺すと脅していたのだ。してないと思ってもおかしくないだろう。
それでも、俺は黙ってしまう。別に、俺が自分の行動が全て間違っているなんて、この人は思っていないだろう。ただ、俺の無鉄砲さと後先考えない行動をこの人は本気で怒ってくれたんだ。
1つ1つ、俺のしでかした馬鹿を咎め続けたダイモ叔父さんは一度落ち着いて、謝ってきた。
「ごめん、全てが馬鹿な事ではなかったな……それでも、テロリスト相手に戦おうと思うんじゃない、分かったな?」
「はい、心配させてごめんなさい」
俺も謝りながら、先の事を思い出す。
熊のミュータント、腕が異常に発達したタイプ。
5tもの体重がある筈の俺ののしかかりを受け止めた4mの熊。
思い出すだけで僅かに恐怖が俺を襲ってくる。
「それよりも、腹減ったか? ほら、昼飯があるぞ」
ダイモ叔父さんは拙い日本語でそう言ってくれた。
「うん、食べます」
その後、事件の顛末を家族に話しながら遅い昼飯を食べた。