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日系人の変身学校生活  作者: スラッシュ
第一部 ブラジルでの日常、あとバトル
5/8

調子のいい進撃

 

 俺の投げた空き缶はカランコロンっと音を立てた。音が響く体育館だ、テロリスト達が聞かないはずが無い。監視カメラは此処には無いし、見えない人物の探索の為に索敵能力のある動物が来るはずだ。

 足音が聞こえないが、音波を放てば縄の様な物2本と犬?を感知する。

 予想通り、蛇2匹とドーベルマン1匹の合計3匹だ。 

Papagaioインコはカフェテリア前のカメラを見たら誰も通ってないって言っただろ? じゃあ、誰がこんな所にいるんだよ?」

「知らねえから見に来たんだろが」

ドーベルマンと蛇が何か喋っている。

映写室への階段近くでドーベルマンと蛇は鼻を鳴らした。

『居るな……』

 どうやら自慢の嗅覚と熱感知でちゃんと見つけてくれた様だ。

「そこだ!!」

 そしてドーベルマンと蛇2匹は俺達がいる場所、カフェテリアのカウンターに入ってくる。

「お前ら、死にたくなかったら大人しくしろ!!」

 おうおう、何言ってるのか大体分かった。

「ワタシポルトガルゴワカリマセーン!」

 がしかし、俺はわざと日本語で返事をしてやった。

 同時に用意していたピッチャーの中の冷水をかける!

「っ!?バウ、バウ! 水は止めてくれ~!!」

「冷てえ~~!」

「寒い、寒い、寒い!」

 氷水を浴びて体を擦る為に転げまわりながら変身が解ける3人。

「うん、ドンピシャ。予想通り、過シンクロ症だな」

 過シンクロ病。

 変身しすぎな人に起こりやすい病気で変身する動物の特性が行き過ぎなまでに再現され、最悪人間の状態でもその影響を受けてしまう。

 過去に一度だけ、魚に変身出来た人がこれにかかってしまい、陸上で呼吸が出来なくなり死亡したことがあったらしい。

 俺が人間のままでも音波が放てるのもこの病気の症状らしい。

 蛇は冬眠する程寒さに弱い動物、犬はその多くが水を苦手とする。

 テロリスト、変身訓練を受けている大人なら過シンクロ病を患っているだろうという俺の読みは見事に命中した。

「その上、泣きっ面にシャチっと!」

 俺はその上にジャンプし、殺さないために子供サイズのシャチに変身してそのまま3人にのしかかった。

『っがぁ!?』

 百キロの程の重さに対かねて気絶したらしい。


 マテウスとルカスは用意してあったロープで大柄の黒人と小柄な男と長身で痩せている男性等を縛る。

 そして俺はその3人の持ち物を漁る。

「お、これは注入機だな!」

 テロリストの3人が耳に付けてたイヤホンを調べれば、耳に変身素を注入する為の機械だった。

 学校で習ったが、かなり高価なものらしい。

「変身禁止エリアでの変身はこれでか」

 変身禁止エリアの効果範囲内の変身素は弾き出される為、エリア内では変身素を体に自然に入れる事が出来ず、変身出来ないのだ。

 テロリストはこの注入器で耳に直接変身素を入れたのだろう。

 体内に変身素を流すには一般的には薬品等でしか出来ないからな……

「取り敢えず2人とも、これを付けて!」

「分かった。」

「OK、隊長!」

 何か2人とも一気に調子に乗ってきたな。

「良し!次の作戦だ!」

 このテンションで恐怖が消えている内に、俺達は次の作戦に出る。

 要はルカスだ。


 ルカスの変身能力はリス、属性は速度。

 リスにはもう一つ属性があり、高度の場合はムササビになる。

 因みに衣類は変身するとどう言う訳か、その衣類の色を動物の毛の色や体色に変わり、変身中に体が傷つかない限りの破けることは無い。

 俺達が着ているのは学校のユニフォーム、全体的に白で胸に学校のマークが目立つ程度。

 つまり、敵の居る体育館のコートに向かった変身したルカスは白いリスなのである。

序 でにに言えば変身中は服の匂い等は毛皮の匂いで上書きされる為、結果的にリスの匂いはドーベルマンにバレてしまう。

「ん? おい! そこにネズミが紛れてるぞ!」

 その言葉を皮切りに、2匹のドーベルマンがルカス、白いリスに向かう。


『ルカス!?』

「逃げろ!」

「早く!」

 ルカスの登場に驚くクラスメイトだが、テロリストのドーベルマンは禁止エリアでも変身している不審なルカスを捕まえようとする。ルカスが追いかけられ始め、クラスメイトから悲鳴じみた叫びが聞こえる。

「ネズミちゃん、早く逃げないと食っちまうぞ?」

「勿論、この口でな!!」

「っはぁ、っはぁ……!」

 必死に逃げているルカスは体育館の角の壁まで追い詰められ、何とか壁を登って逃げ続ける。

 しかし、それも段々危うくなっていく。

「あ……!?」

 遂に集中の切れたリスは手が滑り高い所から落下する。

「あ~ん!」

 そのまま口を開けている2匹に……

「食べれるならどうぞ! Seus idiotas(このマヌケ共)!!」

 勿論これも作戦通り、ルカスはドーベルマンの上に落下した。

 人間に戻りながら。

「「ガァウッ!?」」

 ルカスは確かに小柄だが5m程の高さから落下した人間の重さにドーベルマン2匹が耐えられる筈もなく、そのまま動かなくなった。


「この!」

「糞餓鬼がぁ!」

「バウ、バウ!」

 それを見たゴリラ2頭とドーベルマン1匹がルカスを捕まえようと走り出す。

 それを見て俺も全力で走り出すっ!!

「うおおおぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!」

 恐怖を捨て去るように叫んで走る俺に、ルカスを追っていた敵の注目が集まる。

 肩を前に出して俺は格好良く言えばショルダータックル、所謂普通の体当たりを繰り出した。

 ゴリラは受け止める態勢を取っている。

 残りの2匹はゴリラが捕まる事を信じて疑っていない。ニヤニヤ笑ってやがる。ゴリラの腕力で人間なら相撲取りでも抑えるのは楽勝だからこその自信だろう。

 

 人間なら、ね?

 「変身っ!!」

 日本のヒーローの様な掛け声とともに、俺はシャチに変身。

 夏休みに測った時の重さは5tだったか? と思いながら敵にぶつかる。

 受け止められるかとひやひやしたが、ゴリラが驚いて力を抜いたせいか、あっさり吹き飛ばす。

 そんな重さのタックルを受けたゴリラと、近くにいて巻き込まれたドーベルマンともう1頭のゴリラは壁まで俺と一緒に吹っ飛んだ。 

「っぐぉ!!」

「っがぁ!?」

「……」

 俺とゴリラ2等の下敷きになったドーベルマンが何も喋らなかったのが気になる。後、壁が少し壊れた事も不味いかも……

 弁償とかマジ勘弁だ、そう思いながら変身を解き、拳銃の恐怖があるが俺は最後のテロリストを見る。


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