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日系人の変身学校生活  作者: スラッシュ
第一部 ブラジルでの日常、あとバトル
4/8

捕まったクラスメイト 3人の準備

 

 

 俺が自分の教室に着いて暫くすると40歳後半の男性教師が入ってきた。

「今から変身学、実技の授業を行う。黙って体育館に行け」

 俺のクラスの4時間目はどうやら変身学の様だが、今度は実技。

 8年1組全員が体育館に向かう。


 体育館は2つ出入り口があり、旧校舎と新校舎の間に1つと校門側に1つある。

 何時もなら体操服に着替える為に更衣室が近い前者の入口から入るが、体育館の2階には映写室がある。

 なので体育の授業を邪魔しない為に映写室に近い校門側から入る時もある。

 今日は初日なので体操服に着替えない為、新校舎から近い校門側から体育館に入ったのだが、俺は此処で普段とは違う事に気が付いた。

(あれ? 警備員のおじさんとおばさんがいない? 休み時間には何時も通りいたのに?) 

 体育館に入れば、すぐ右に映写室への階段があり、先生もクラスメイトも奥のコートに向かって歩くが、先の始業式で使われたステージがカーテンで隠れている。午後の生徒の始業式があるし、あのカーテンを閉めるの手間が掛かる筈だ。流石に不審な点が多すぎると思った俺は、手の平からシャチの能力の音波を放つ。

(ああ、ドンピシャ……)


 ポルトガル語が喋れない俺ではこの事を上手く説明できない為、俺と一緒にクラスの列の最後尾に居たマテウスとその友達で小柄なルカスを強引に引っ張り、映写室への階段に向かう。

「何するん___」

 取り敢えず口を抑えて黙らせる。

 シャチの放つ音波は高性能だ。数mmしか離れていない糸すらその反響で感知する。そんな音波が、天井に不審な物を感知したのだ。

 俺がポルトガル語ペラペラなら、絶対先生に報告している。

 取り敢えず聞き耳を立ててみる。


すぐに異常事態が発生した。

「Silencio(騒ぐな)!!」

2回、拳銃の音……だと思うものが聞こえた。

完全に俺の嫌な予感は的中してしまった。

「な、何だ!?」

マテウスとルカスも事態に気付く。

「静かに見るっ」

俺はこの状況に一杯一杯で、動詞などもう気にせずしゃべる。

「まさか、テロリストか!?」

 覗き込んだ先には拳銃だけではクラスの皆が静かにならないのにイライラしたのだろう、テロリストが変身しただろう蛇2匹、ドーベルマン4匹、ゴリラ2頭、人間1人が見えた。

 俺達の先生が変身してないのだから恐らく変身禁止エリアでも展開されたのだろう。

『学校中の全生徒、全教師に告ぐ!! 我らワールドイーターは7年1組を人質に取った! 学校中の警備システムもだ! 妙な動きをすれば人質がどうなるか分かっているな!?』

どうやら俺達3人以外の8年1組はテロリストに捕まったようだ。


                  ***


「こっちだ……」

 俺はマテウスとルカスの腕を引っ張り、アナウンスでテロリストが喋っている内に移動する。

 体育館では僅かな音でも響く為、アナウンスがある内に移動する必要がある。

「何処に行く気だ? まさか、皆を見捨てるのか!?」

 なんかマテウスが怒りながら何処に行くかという質問と別の何かを言っている。

辞書も無いので意味なんて知らないが、俺は自分を振るい立たせる為にも一言だけ言っておいた。

「Vomos virar os heróis!(俺達がヒーローになろうぜ)!」

 その言葉に唖然とする2人を引っ張り、映写室の階段の下にある関係者以外立ち入り禁止のカフェテリアへと続く扉を開く。


 予想通り、休み時間から数十分経ったのでカフェテリアに店員はいない。汚い調理道具がそのまま放り出されている。

 先の扉からカフェテリアのカウンターに直接入れるので、そこで何か武器になる物を探しながら、先程見たテロリストのメンバーを思い出す。

蛇とドーベルマンとゴリラ……

「コンロで金属を加熱するか? 否、それよりも水の方が……」

 俺は考えながらもアイス用の冷凍庫の中にあった氷が入った袋を開け、水と一緒にピッチャーに入れておく。

「これで蛇対策完了! ……俺、蛇苦手なんだよな……」

 独り言を言いながらも、ドーベルマンとゴリラをどうするか考えた。

 正直に言えば怖いし、この独り言も怖がってる時に言ってしまう癖のようなものだ。

 そんな俺にマテウスとルカスが質問した。

「アレン、何でテロリストが居るって気づいたんだ?」

「音の波を使った」

 音波ってどう言えば良いのか分からないからそう言っておく。

「じゃあ、どうして使ったの?」

「校舎の階段の途中も、此処に来る途中も何時もいる警備員のおじさんに会ってないから」

「それだけ?」

「それだけ」

 呆れられたかな? と思いながらも適当な缶ジュースを飲み干す。

「まずは、変身禁止エリアをどうにかしないとな」

「多分、あいつ等が対禁止エリアのアイテムを持ってる筈だよ!」

マテウスの意見を聞いて、缶を口から離す。

「よし! 準備完了! ほら、行くぞ!」

「もう!?」

 文句を言いそうなマテウス達を無視しながら、空の空き缶を体育館とカフェテリアを繋ぐ扉の先へ向かって投げた。


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