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2.彼女は駅を知らない


彼は時間通りにインターホンを鳴らした。

相変わらずにこにこの彼と一緒に駅まで歩き、少しだけ混んだ電車に乗った。

電車に乗るのは初めてだったが、彼に習って同じようにしたら戸惑うことはなにもなく、すぐに慣れて一人でも乗れそうだと思った。

電車を降りてまた少し歩いたところに、彼と彼女が通う学校に行き着いた。

多くのヒトが行き交っているが、時折視線を感じた。

たぶんメス―――、じゃなくて女。


試しにその視線を見返してみると、あからさまに視線を外されて走り去っていった。

2、3回繰り返してみたが、同じ結果に終わる。

なんだあれ、感じ悪い。


「………美子」

「ん……なに?」

「やっぱり………キツい?」

「?なにが」

「………目線」


あぁ――――なるほど。

つまりこの女の目線は嫉妬とか、そんな類いのものか。

確かに彼は整った顔立ちだし、アタシが知人とはいえ接し方も柔らかい。

人気を博するのは容易に見てとれる。

わかった途端にため息がでた。


「くっだらない」

「でも前はキツいって―――」

「前は前でしょ。今は本当にくだらないと思ってるから」


だからもう遠巻きにアタシに嫉妬の目線しか送れないメスを振り返るなんて、絶対しない。

彼が欲しいなら立ち向かってくるぐらいすればいい。

ヒトなんだから言葉を使ってもいい。

言葉は立派な武器だ。

あぁ………、くだらなすぎて腹がたつ。


「モテすぎるっていうのも考えものだね」


かわいい顔をした彼の顔を見ながら言うと、彼は少し拗ねたような表情になった。


「ショタ顔だからとか言ったら怒るからね」


自分で言ってるし。

でも、なるほど。

かわいい顔した男のことをショタ顔というのか。


「怒る?泣くじゃなくて?」

「え、なにそれ!どういう意味?」

「イメージ」

「……美子、性格変わった?」


そりゃ、ね。

アタシ彼女のこと知らないもの。

それに、アタシ彼女になるつもりはないの。

アタシはアタシというヒトになる。

身体を借りてるだけ、のつもり。


「おかしい?」

「………さっきは嬉しかったけど」


拗ねた顔のまま彼は少し俯いて、ぽつりとありがとうと言った。



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