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always be with  作者: はるあみ
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 私が倉科に魅かれていった理由をあえて考えると、倉科の話が好きだったからだ。でも、それは、あえての理由で、本当に好きになった理由など分からない。

 それは今までもそうだ。ときおり、なぜ倉科は私なんかのことを好きなのだろうと考え、聞きたくなる。

【ねえ、私のどこが好き?】

 答えに困るのは分かっている。でも、そんな小娘みたいなことを言いたくなるのが恋だと思う。

 彼の時も熊川のときも、そんなことを聞こうとは思わなかった。

【美帆のどこが好きだろう? その答えは僕の魂が知ってるけど、僕には分からないよ】

 倉科は「中神さん」から「美帆さん」になり、「美帆」と呼びようになり、私は年上の倉科を「岳ちゃん」と呼んでいる。

 私たちの会話には、良く魂という言葉が登場する。それは、ときに「エネルギー」や「オーラ」などに言葉は変わるが、意味は同じだった。

【魂が私を求めてるってこと】

 私は倉科のメールに返信した。ゴロゴロしながらパソコンから音楽を流し、倉科とメールをする。それが、平日夜の過ごし方になった。こんな風に恋をしたのは何年ぶりだろう。もしかしたら初めてかもしれない。

 今までの恋はどこか悲しさや辛さが付きまとっていた。彼や熊川に出逢う前に恋をした男もいたが、多くは私に何かを求め、その求めに応じることが幸せだと勘違いしていた。

 “Give and take”心のどこかでそう思っていたから、ずっと期待していた。でも、期待は必ず裏切られる。そして傷つき悲しみ不貞腐れ、悩む。

 でも、倉科は私に何も求めているようには思えない。ただ、「逢いたい」「抱きしめたい」とは言ってくれる。それだけで十分だ。

 私も倉科に逢いたい、そして抱いて欲しい。抱きあって一つの塊になっていたいと思う。

「魂が融和するんだよ。きっと魂だって何かの元素で出来ていると思うんだ。だったら、何か化学反応みたいなことが起こると思うんだ」

 倉科は私を腕枕しながら、そんなことを言う。

 化学反応という語感は好きではないが、誰かと抱き合った時に、ピリッという感じや、ゾクッという感触、それにピタッというのもある。それは肉体を含めた私の全てが相手に反応した証拠だろう。

 そして、倉科に抱かれるとガチッという音がするほど上手く噛みあるようだ。

 そして、倉科を好きになればなるほど、彼に対して後ろめたさが増してくる。

「君は、これから、本当の恋をすればいいよ」彼がそう言ってくれるのは分かっている。そして、大きな声で笑えば笑うほど、それが私への愛なのだということも分かってきた。

 私に寂しさなど感じさせないように、必死で彼は笑ってる。最初はそのことが分からなかったが、倉科のことを話したときに笑った彼の声が乾いて聞こえた。

「彼に嫉妬されない程度に、連絡してくれよな」

 彼との電話はそれが最後だった。

 背負う必要のない重荷が肩に張り付き、それはきっと離れないだろうと思う。

「一緒に背負うよ。美帆が僕が背負っている苦しみを下から支えて軽くしてくれるように、僕にも美帆の荷物を背負わせて欲しい」

 倉科は真剣な顔で言ってくれた。

 人は生きれば生きるほど知らないうちにいろんなものを背負い込む。憎しみも悲しみもちゃんと背中に張り付いてしまう。

 それは誰にも手渡すことの出来ないものだと思っていた。でも、倉科と一緒に過ごす時間が増えるほど、それは違うのじゃないかと感じる。誰にも手渡すことはできないけど、ちょっと支えて軽くしてあげることは出来るのではないか。

 彼は、秋川は、私の荷物をずっと私ごと抱えようとしてくれた。

 倉科とのデートは土曜の昼に彼の部屋に行くことから始まる。そして街を少しブラブラしながら買物をしてから、ずっと彼の部屋で過ごす。

 六畳のリビングと狭いキッチン、それに彼が詩を書いたりする四畳ほどの部屋しかない倉科のマンションが私にはシュルターのように思えた。

 全てのものから、遮断された空間。そこには、運命さえも立ち入ることが出来ない。

「テレビ買おうかな」倉科はデジタル処理をしないままテレビを置いてある。

「要らないよ」

 私がいない時間も、ここで過ごす倉科には申し訳ないがテレビが映ったら、誰か、それは人でない何かにこの場所を知られてしまいそうで嫌だった。

 ここにいる時間だけは、誰にも何者にも知られてはいけない。


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