やぁ
やあ、ひさしぶり。
おうっ、お前か、ほんとひさしぶりだなぁ。
きょうはどうした?こんなところで。
え?あ、ああちょっとな。
そうか~、まあ、いろいろあるわな。
ああ、ちょと疲れから解放されようと思って・・。そういうお前は?
俺も似たようなもんさ。
そうか・・・。
・・・・そうそう、お前んとこ子供産まれたんだろ?
ああ、そうなんだよ!もう、七歳になるんだけど、めちゃくちゃかわいいんだ。
良かったなぁ。男の子だっけ?おめでとう。でも良いのかよ。子供まで生まれてんのにこんなとこ来て。
え?ああ、大丈夫、大丈夫。子供ときてんだ。
そっか。あれ?でも、子供は?一緒にきたんだろ?
それがさ、子供は別なんだってさ。
そうなのか?
俺は一緒がよかったんだ。
まぁ、そうだよなぁ。でも、しかたないさ。管理しやすいんじゃないか?
そういうことなんだろうな。別のとこのほうがよかったかなぁ・・・・。お前んとこは?
何が?
子供だよ。
あははは、ダメダメ。母親にべったりだよ。一緒に来るか?って聞いたんだけど嫌ってさ。
そうか・・・。
・・・あははは、そんな顔するなって。
お前んとこは、女この子だっけ?
ああ。女は女同士仲良しってことなんだろうさ。
残念だな・・・。
ああ、でも、うれしいことさ。
そうだな。それも、うれしいことだよな・・・。
ああ。・・・・そうそう、ここのサービス知ってるか?
えっ?サービス?
あれ?しらないのか?
ああ。
ここの食事は好きな料理店のをどこのでも取り寄せられんだ。
取り寄せ?
ああ、だから、普段、行くことのできない高級店の料理でも食べれるんだ。
ほんとか!そりゃーすごい!
そうなんだよ!俺は、月面中央地区35番にある月光市の料理にしようと思ってんだ。
月光市かぁ、俺もいってみたかったんだよなぁ。まぁ、俺たちじゃ無理だよな。
そうだろ?月に行くだけでも、地上エレベータで第一コロニーにいって、それから船で数日かかるんだ。
そうそう。そもそも、船賃が高いんだよ。
そうだよなぁ。まぁあれでも安くなってる方だけど・・。
まぁな、数十年前までは月に行くだけで国家プロジェクトだったんだから。
そう考えると、凄いことだよ。
そうだな。
お前はどこのにするんだ?
俺?俺も月光市にしようかなぁ。シーエムを思いだしたら、食べたくなっちまった。
あれだろ?あの、かわいい新人アイドルがやってるやつ、俺、あの子のこと大好きなんだ。
俺もだよ!だから、ここを選んだんだ。
え?それ、どういうことだよ?
あれ?知らないのか?お前もそうなのかとおもったよ。
何?何?教えてくれよ。
実はその子も来てるらしいんだよ、ここに!
え!?なんだって?ホントか!?
ああ、確かだよ。
そうか・・・ああいう仕事は苦労も多いだろうから、仕方ないか。
そういうことだろうな。
おっと・・・順番だ。それじゃ、向こうで会おう。
ああ。いい最後を。
いい最後を。
大きなドーム型の建物に人々が列を作り、次々と入っていく。そのドームの看板には「死設」と書かれていてこんな説明がつけられていた。「この施設は死ぬための施設です。人生につかれた方。人生に絶望した方。死にたい方は気軽にご利用ください。(サービスとして最後のお食事をお出しします)」