窓
流れていくものは
なんでしたでしょうか
場所、
でしたでしょうか
時間、
でしたでしょうか
記憶、
でしたでしょうか
暗がりに
ぽっかりと浮かぶ明かりの中に
ガラス玉のような瞳が瞬く
映しているものは
なんでしたでしょうか
今、
でしたでしょうか
過去、
でしたでしょうか
未来、
でしたでしょうか
もうなにも語らない
ただの破片ですけれど
確かにあそこに
存在していたのは
世界、
でありました
そしてまた、
何処かに現れる
世界、
なのでしょう
そうしてまた
頬杖を付きながら
流れていく
映していく
なにものかを
視ている振りをして
ガラス玉のような瞳は
そっとひそやかに
瞬くのでしょう
真っ黒な世界に浮かぶ
ぽってりとした明かりの中で