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第3話 気づけば遊び ──見えるものと見えないもの。そのあいだに隠れた“余白”を描く章。

――見える遊びと、見えない遊び。

そのあいだに眠っていたものに、人はずっと気づいていなかった。

________________________________________

1

人の遊びには、いつの時代にも

“目に見えるもの” と “目に見えないもの” がある。

見える遊びは、形を持っている。

子どもの頃の手遊びや道具、ゲームの画面、

行列のざわめきにさえ、遊びの匂いがある。

けれど、人はずっと前から、

形を持たない遊びも始めていた。

それは「」と呼ばれる静けさの中にあったり、

動きと動きの隙間でふっと息づいたり、

建物や仕組みの余白の中に潜む、小さな脈動だったりする。

見えない遊びは、誰にも説明できない。

しかし確かに、人の世界をそっと押し広げてきた。

________________________________________

2

社会にもまた、

見えるものと、見えない余白がある。

制度や仕組みの堅い表面とは別に、

その奥には “すきま” があり、

人と人の距離の取り方や、

予定の外にふくらむ静かな時間が息づいている。

そのすきまは、単なるゆるみではない。

未来の動きをためておくための、

“目には見えない小さな溜まり” だった。

人はそれを無駄と呼ぶことがある。

だが本当は、

新しい価値が芽を出す場所こそ、

いつもそのすきまだった。

________________________________________

3

人が減り、役割が薄れ、

仕事の音がゆっくり霞んでいく時代が来ても、

人間そのものの力が消えるわけではない。

むしろ、表の役割が小さくなるほど、

奥に眠っていたものが

静かに息を吹き返しはじめる。

人はずっと昔から、

それを知っていたはずだ。

________________________________________

■ 結び

仕事の音が細くなるとき、

そっと動き始めるのは、

いつも遊びだった。

________________________________________

■ あとがき

“遊び” という言葉は、

いつも子どものものや娯楽のもののように扱われてきた。

けれど、その奥にあるのはもっと静かで、もっと深いもの。

形のある遊び。

形のない遊び。

社会にある余白。

あなた自身の中にある小さな揺れ。

それらがふと重なったとき、

未来を動かす小さな芽が、静かに息をする。

この文章は、その“芽が動き始める気配”を

ただそっと見つめた小さな記録です。


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