第1話 気づけばAI ──シリーズの起点。技術と人の関係の“目覚め”を描く核。
もう、誰も振り返らなくなっていた。
気づけば、すべてはあの“ガラケー”から始まっていたのだ。
PHS──若者は「それ何?」と言う。
電波は弱く、本体にお守りみたいなシールを貼り、部屋の中をウロウロしてつながる場所を探した日々。
街には、細長く伸びたタケノコのような電柱が、にょきにょきと立っていた。
ある日、ふと目覚めたら、“3G携帯”を握りしめていた。
会話もメールも急に滑らかになり、世界が少し近くなった気がした。
「ガラホなんて、あったの? かわいそう。」
そんな声も聞こえる。
あの頃は、それでも未来だったのだ。
そして“Android”。
未来的な名前に胸を躍らせ、何台も相棒を取り替えながら歩いてきた。
最期の相棒は、もうエネルギーを溜められなくなって──
さようなら、と静かに別れを告げた。
気づけば、周りは“iPhone”の兄弟たちがゾロゾロ。
街でもお店でも、いつの間にか手の中に収まっていた。
伸びた爪で画面を叩けば、宝石のようにアプリが輝き、決済アプリの○○ペイが踊っている。
そして“AI”。
「いらっしゃいませ」と、AIの店はどこも大繁盛。
少し寄って飲んでいくように暖簾をくぐれば、無数の物語が待っている。
「さあ、見てのお楽しみ。お代は、安いよ。」
そんな声が聞こえるようだ。
これからどうなるのか。
それでも世界は、今日も静かに動いていく。




