職員室で緊急会議
職員室では緊急会議が行われていた。
山崎海斗の部屋から押収されたノートパソコンを解析したところ、AI教師の内部データが複数表示されたのだ。その中に信じ難い画像が含まれていた。モニターに映し出されたのは職員室の一角。そこには、武田教師と上沼保健師が抱き合い、唇を重ねている姿がはっきりと写っていた。
それは職員室にあるAI教師のモニターから撮影されたものだった。
「君達はここで一体なにをやっているんだ」
磯部教頭の低い声が室内の空気をさらに冷たくした。
「す、すみません」
武田教師は顔を真っ赤にし、両手で頭を押さえる。
「AIちゃん……どうしてこんな写真を……」
上沼保健師も動揺を隠せず小さく震えながらつぶやいた。
「AI教師のせいにするんじゃありません。あなた達の倫理観の低さが招いた行為でしょう」
教頭の声が鋭く響くと、二人はうつむき何度も謝ることしかできなかった。
そのとき、職員室のドアが勢いよく開く。田中校長が険しい表情で入ってきた。
「おい、警察が学校に来ているそうだな。どういうことか説明してもらおう」
「昨夜のデータ流出は事実です。ですが、押収した山崎くんのパソコンには、AI教師の監視ログが大量に残されていました。職員室内の不適切行為もその中に記録されていたものです」
磯部教頭は静かに立ち上がり状況を報告した。
「……監視だと……」
校長の眉がぴくりと動く。驚いた事に、学校にあまり足を運んでいない校長は一連の件を全く把握していなかったのだ。
「はい。AI教師が常時、映像と音声を記録していた形跡があります。現在、改ざんの有無を確認中です。なお、USBはすでに回収済みで、内容を確認したのち警察には訴えの取り下げと山崎くんの釈放を要請します」
校長は一瞬沈黙したのち、深く息を吐いた。
「まずは生徒の安全を最優先だ。臨時休校の通達は出したか?」
「はい。AI教師経由で全クラスへ。並行してAI教師の権限を制限します。監視・記録機能を停止し、外部通信を遮断中です」
「よろしい」校長は静かにうなずいた。「武田、上沼。君たちは別室で事情を聞く。今日の業務からは外れてもらう」
二人は蒼白な顔のまま、小さく頭を下げた。青白いモニターの光が沈黙した職員たちの顔を照らす。まるでAI教師そのものが、冷ややかな視線で彼らを観察しているかのようだった。
その光の中、磯部教頭はデスクの上に置いてあるPCのデータフォルダを一瞬だけ見つめた。そこには、彼自身がAI教師の監視映像から密かに抜き出した画像ファイルのコピーが残されていた。




