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AI教師  作者: AKi
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計画実行

1月31日。23時45分、AI学校の校門前に、織田、京本、山崎、広瀬の4人が集まった。


「みんな集まったんだな」


「さみーよ。早く中に入ろうぜ」


「よし、行こう。のんびり話してる暇はないよ」


「ちょっと待って。ドアは施錠されてるけど中にはどうやって入るつもり?」


広瀬が喋り終えると山崎はリュックからノートパソコンを取り出し、文字を打ち込む。すると扉から【ガチャ】という音が響く。


「これで完了。ドアは開くはずだよ」


「一体何したんだよ。そのパソコンで」


「セキュリティーをハッキングしただけさ。ただし、すぐに再度ロックされるから急ごう」


メガネを人差し指で押しながら説明すると、パソコンを持ったまま学校の中へと入って行く。時刻は丁度2月1日0時を回っていた。

懐中電灯を手に持ち職員室へと急ぐ。突き当りの廊下を曲がると、前方から足音が聞こえてくる。


「お前らストップ。誰かいる」


慌てて引き返すと、その場にしゃがんで身を沈める4人。


「どうしてこんな時間の学校に人がいるのよ」


「泥棒か?それともAI教師が人型になってうろついてるとか・・・?」


「なに馬鹿な事言ってるのよ、こんな時に」


「静かにしろってお前ら。深夜だから声が響くんだよ・・・」


音を出さないように注意したのもつかの間、京本のポケットからスマホの着信音が鳴り響く。


「ヤベ・・・田中からだ」


「おい!誰かいるのか!」


廊下に低い声が響いた。


「想定外の事が起きてしまった。いったん引き返して違うルートを渡ろう」


4人は走ってきた道を戻り廊下の途中で階段を上がる。

その時、広瀬が足を躓き転んでしまう。


「痛い・・・」


「こらぁ。何しとるんじゃお前たち」


荒い息をつきながら追いついてきたのは夜間警備員の男だった。広瀬の腕を乱暴に掴み上げる。


「離して・・・」


「手を放せこの野郎!」


暗闇の中、京本が男の胸ぐらを掴み壁に押し付ける。


「な、なにしとるんじゃ!」


広瀬の手が離れるも今度は京本と揉み合いになる。


「俺の事はいいから、早く行けお前ら」


その声を聞いた3人は走って階段を上って行く。一直線に廊下を走り抜け、反対側の廊下を下りると、急いで職員室の前まで辿り着く。


「入ろう」


職員室には勿論誰もいない。壁際に設置されたAI教師のモニターだけが、暗闇の中で微かに光を放っている。


三人が一歩踏み出した瞬間


「深夜0時12分。無断立ち入りを確認しました」


無機質な声が静かな職員室に響く。


「っ……!」


思わず足を止める三人。


しかし、モニターには警告表示も停止指示も出ない。ただ、淡々と続く。


「記録を継続します」


「…記録?」


職員室のAI教師は不気味な声を残し、画面には文字が表示され続ける。


「前へ進もう」


織田は言葉を強める。山崎と広瀬は緊張した面持ちで後に続く。


「校長室はあそこよ。ただ、学校のメンテンス期間でも鍵は掛かってるんでしょ?」


「大丈夫・・・僕に任せて」


山崎はハッキング能力を発揮し、校長室へと続く扉は無事開いた。3人は揃って足を踏み入れる。校長室の机の上には一代のパソコンが置かれていた。


「この中にデータが入ってるんだな・・・山崎大丈夫か?」


「やるよ。少し時間が掛かるかもしれないけど・・・」


ノートパソコンを机の上に置いて、文字を打ち込む。すると校長室のパソコンが起動し、横文字のデータが映し出される。


「こ、これはぁ・・・色々とヤバい事が書かれてる・・・」


「何が書いてあるんだ?」


「生徒全員の名前や住所だけでなく、性格やインターネット履歴、趣味趣向まで全て記載されてる」


『織田悠馬、AIアンチ、危険人物』

『花咲薫、AIアンチ、要注意人物』

『広瀬凛、AIファン、友好的』

『田中守、AIファン、友好的、協力者』

『持田由美、AIファン、友好的、協力者』


「なんだこれ。しかも盗撮されてる・・・」


生徒の名簿の横には教室で授業を受ける顔写真まで掲載されていた。教室にあるAI教師のモニター内部にカメラが設置されており、AI学校の様子が全て撮影されていたのだ。そこには音楽室の様子も動画ファイル内に残されており、織田悠馬と花咲薫が追い詰められている様子もしっかりと映っていた。


「データが多いから移し終えるまで少し時間が掛かるよ」


山崎はUSBを校長室のPCに差し込み保存を開始した。


「そこの画面に映ってる俺の名前の部分をクリックしてくれよ。何が書いてあるのか気になる」


織田の言葉を聞いてカチカチッとマウスをクリックすると次の文字が表示された。


『織田悠馬、自主退学を促す行動を開始』


「こ、これは・・・」


「やっぱりな。この学校はイカれてる・・・・」


「念のため引き出しの中も確認しましょう。もしかすると、まだあの時の写真が入っているかもしれないし」


そう言うと校長室の机の引き出しを上から順に開く。2番目の引き出しに茶封筒があり、中を確認すると複数枚の写真が束になって入っていた。


「僕達にも見せて下さい」


「ええ・・・・分かったわ」


封筒から取り出すと、机の上に写真を分けて置く。そこには体操服事件の持田由美の写真の他に、田中守が織田悠馬の机の前でシャーペンに細工している姿や、薔薇の花を置く様子に、持田由美が美術室の壊れた椅子を織田の椅子と取り換える様子がバッチリ写っていた。


「こいつら・・・」


織田は怒りで拳を握り締め、顔が真っ赤になる。


「これも証拠として持っておいた方が良いですね。寮の部屋に隠しておいて、いざという時に教師たちとの交渉材料として使えるかもしれません」


「私が持っておくわ。女子の部屋には教師達も安易に入って探す事もないだろうし、安全でしょ」


写真を封筒に仕舞うと鞄の中に入れる。


「疑ってるわけじゃないけど、お前に任せても大丈夫なんだろうな?」


広瀬が「ええ」と返事をすると、校長室の机の上に一枚の封筒を置いた。


「なんですか、それは?」


「退学届けよ。昨日あなたの部屋から出た後に書いたの。もう私はあんた達の共犯者よ。これから知らない顔して学校になんか通えないわ」

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