AI学校の始業式
体育館には整然と椅子が並べられ、生徒たちが静かに座って整列すると壇上に上がった磯部教頭が挨拶を語り始める。
「みなさん、お元気でしょうか。新しく設立されたAI学校へのご入学おめでとうございます。今日は鉄腕アトムの誕生日でもあります。生徒の皆さんにとっても記念すべき特別な日です。皆さんはこの国のAI、ITの未来を担うべく選ばれた人材です。ここで多くを学び技術革新を成し遂げる素晴らしい大人へと成長されることを心より期待しています」
磯部教頭の話が終わると一瞬の沈黙が広がり、その後、体格が良く筋肉質でいかつい顔の体育教師と優しい笑顔が印象的な保健師の女性が壇上で紹介され、それぞれ簡単に挨拶を済ませる。
なお校長は不在だったが、その理由は教頭が挨拶の冒頭で説明していた。
「校長は開校準備で多忙のため本日は欠席となりました。代わって私がご挨拶をいたします」
物腰が柔らかく落ち着いた話し方が特徴の教頭は大手IT企業ゾーン社から派遣され、同時に教員免許も持つ異色の経歴の持ち主であることが生徒たちに伝えられた。
磯部教頭(46歳)、武田体育教師(38歳)、上沼保健師(28歳)。生徒たちは初めて見る教師陣の顔ぶれを緊張した面持ちで見つめていた。




