冬休み帰省
冬休みに入り、生徒たちはそれぞれの実家へと帰省していった。
織田悠馬は久しぶりの我が家に戻り、家族と過ごす穏やかな時間に胸をなでおろす。母の作る温かい料理に触れ、ようやく心が落ち着いていく。AI学校のことを聞かれても、下を向いたまま冴えない返事しかしない織田の姿を見て、家族はそれ以上追及するのを控える。
京本悟は地元の友人たちと集まり、正月恒例のサッカーで汗を流す。真冬でも外で走り回る姿に家族は呆れていたが、本人はいたって楽しそうで、家では少しだけ甘えた表情を見せていた。
田中守は親戚一同が集まる賑やかな正月を過ごす。父親とは数回顔を合わせたが、会話を交わすことはなく、軽い挨拶だけで終わり微妙に緊張した空気が流れていた。
山崎海斗は静かな実家でひたすら読書とプログラムの改良に没頭。家族と過ごす時間は短かったものの、彼なりに心を休めていた。
広瀬凛は地元の神社へ父親と初詣に出かけ、絵馬に『自分らしく、正しく生きられますように』と静かに願いを書き込む。
父親はその後すぐに酒蔵へ向かい、家に戻るのはいつも夜遅く。親子の会話がほとんどないまま、冬休みは静かに過ぎていく。
花咲薫は実家のキッチンで父と一緒に年越し料理を作り、一言二言会話を交わしながら静かな年末を過ごした。
持田由美は豪華な自宅へ帰省し、年明け早々に開かれる格式ある新年会へと足を運ぶ。広い屋敷のホールには柔らかな照明が灯り、磨き上げられた床には華やかな衣装をまとった大人たちの姿が映り込む。上品な笑い声とグラスの触れ合う音が絶えず、まるで別世界のような空間だった。
「学校生活はいかがですか?」
「ええ、とても刺激的ですの。毎日、新しい発見がありますわ」
持田はその中にいても一歩も引くことなく、自然な立ち居振る舞いで周囲と会話を交わす。年上の大人たちに囲まれても物怖じする様子はなく、丁寧な言葉遣いと余裕のある笑顔で場に溶け込んでいた。その姿は同年代の生徒とは思えないほど堂々としている。
生まれ育った環境が彼女にとっては特別なものではないのだろう。この華やかさすら彼女の日常の一部に過ぎないようだった。
そして冬休みは瞬く間に過ぎ去り、生徒たちはそれぞれの場所で静かに心を整えていく。




