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AI教師  作者: AKi
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武田教師と上沼保健師の怪しい関係

「おはよう。お前大丈夫か?最近元気ないみたいだけど」


教室に入ると、京本が声をかけてきた。


「ああ・・・。京本もAI教師には気をつけろよ」


「この間の件だけど、保健師さんには相談したの?だいぶ悩んでるみたいだけど」


続けて田中も話しかけてくる。


「そういえばアドバイスくれてたな。ありがとう、もう少し考えるよ」


そう答えながら、織田は机に突っ伏した。少しの間だけ休むつもりだったが、いつの間にか深い眠りに落ちていく。


「織田くん。起きて、織田くん」


遠くから聞こえる女性の声。だんだんと近づいてくるその声に、織田はハッと目を覚ます。顔を上げると机の横には花咲が立っていた。


「お、おはよう。何してるの?」


「もう一時間目の授業終わったよ。次は音楽室に行かないと遅れちゃうよ」


「え?俺、もしかして授業中ずっと寝てたの」


「そうだよ。京本くんたちも心配してたけど、疲れてるみたいだから寝かせておいた方がいいだろうって言って、みんなもう音楽室に向かったの」


教室を見渡すと、確かに他の生徒たちの姿はどこにもない。織田は一時間目の授業中、誰にも起こされることなく寝てしまい、そのまま授業が終わったらしい。


「やっぱりだ…。AI教師は俺を無視してるんだ。なんであいつは俺を起こさないんだよ。教師だろ、生徒に授業を受けさせる義務があるはずだろ」


織田は苛立ちを隠せず声を荒げる。その声は廊下にも響き、足音が近づいてくる。数秒後、教室のドアが勢いよく開いた。


「大きな声出してどうしたの。喧嘩でもしてるの?」


入ってきたのは上沼保健師で、校内を見回っている最中に織田の声を聞きつけ、慌てて駆けつけたようだ。


「すみません、上沼先生。喧嘩はしていません。織田くんとお話しをしていただけです」


花咲が慌てて説明すると、織田は小さな声でつぶやく。


「ああ…上沼保健師か」


織田は椅子に座ったまま深いため息を吐き、下を向いたが、その様子を見た上沼は、軽く彼の肩をポンと叩きながらこう言った。


「今から保健室に来なさい。次の授業は欠席するように、AIちゃんにきちんと伝えておいてね」


花咲の目をまっすぐ見て、上沼は指示を出す。


「はい、分かりました」


織田はしぶしぶ席を立ち、上沼保健師とともに保健室へ向かう。保健室の中に入ると、丸い椅子に座らされ、いくつかの質問を受けた。朝食は毎日食べているのか、友人関係で悩みはないか──織田は素直に答えていった。


「少し疲れているみたいね」


そう言うと、上沼保健師は保健室の奥にあるベッドを指し、「ここに横になりなさい」と促す。


織田は言われるままベッドに横になり、上掛けを引き上げる。


「今日は早退しなさい。手続きは私が済ませるから、その間、少し休んでて」


そう告げると、上沼は白いカーテンを閉めた。


天井を見つめながら10分ほどぼんやりと時間が過ぎる。結局、AI教師のことで悩んでいることは口にできなかった。大人に心の内をさらけ出すべきかどうか、織田にはまだ判断がつかなかったからだ。


そのとき、保健室の入口から誰かが入ってくる気配がした。扉が開く音とともに、低い男性の声が聞こえる。


「恵理子、今来たよ」


それは上沼保健師の名前を呼ぶ声だった。


「遅かったじゃない。体育の授業は終わったの?」


「ああ。三クラスしかないから楽なもんだ。ほかの授業は全部AI教師がやってくれるからな」


声の正体は体育の武田教師だ。織田はベッドから上体を起こすと、カーテンの隙間から二人の様子を覗いて見る。


「今だけよ、こうやって頻繁に会えるのも。来年になれば新入生が入ってクラスも増えるんだから」


上沼が言うと、武田は肩をすくめて笑う。


「そうだな。それに、この学校はIT一辺倒だ。体育祭もないし退屈で仕方がない。だからこうやって君に会いに来るんだ」


そう言うと、武田はおもむろに上沼を抱き寄せ唇を重ねた。彼の手は自然と上沼の腰に回り、力強く引き寄せる。その様子を織田はカーテンの隙間から凝視したまま、体を固くする。


突然、上沼が動きを止め、武田の腕を解いた。顔を近づけ、耳元で何かを囁く。


「本当か?それならもっと早く知らせてくれよ」


武田が驚いたような表情で応じる。次の瞬間、ため息をつきながらふとベッドの方に視線を向ける。


織田は慌ててカーテンから離れ、再びベッドに横たわる。目を閉じ、息をひそめていると、足音が近づいてくるのがわかった。続いて、カーテンがピシャリと閉じられる音がした。


「1年B組の生徒よ。織田悠馬くん。体調不良で休ませているの」


上沼が低い声で説明する。


「そうか。それじゃ、また来る」


武田の声が少し遠ざかる。


二人の会話は小声だったが、静かな保健室では十分に聞き取れた。織田はベッドの上で目を閉じたまま心臓が早鐘のように鳴るのを感じたが、同時にこうも思った…大人に自分の悩みを相談しなくてよかった、と。


「起きて、織田くん。今日はもう早退しなさい。手続きも済ませたから大丈夫よ」


上沼の声がカーテン越しに聞こえる。


目を開けると、カーテンが勢いよく全開にされ、上沼が織田を見下ろして立っていた。視線はどこか艶やかで、織田は恥ずかしさに目を逸らす。上沼は何も言わずにデスクへ戻り椅子に腰掛ける。


「失礼します。ありがとうございました」


織田はベッドから起き上がり、簡潔に礼を述べると保健室を後にした。

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