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AI教師  作者: AKi
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山崎海斗から織田悠馬への助言

織田は寮に戻ると自分の部屋に閉じこもった。何をするにも手が付かず、授業の復習のやる気もなく食欲も失せていた。ふと机の上に置いてあるパソコンに目が行く。AI教師の掲示板に新しいコメントが投稿されていないか、そこだけが気になり、自分が不満に感じている事に対して共感してくれるコメントがないか、すがるような思いで探した。十数個の新規コメントの中から一つだけ気になるコメントを見つける。


匿名の名無しさん:「正義が何なのか?判断が難しい選択も時にはある。人にしても、AIでさえも。そんな日々を過ごしています」


織田は自分と同じように不信に感じている人がいる事に安心した。コメントを眺めながらしばらく自分の気持ちを整理してマウスを動かすと、キーボードの音を立てて次のように投稿した。


匿名の名無しさん:「不信感しかない。この学校は…AI教師は何の目的で稼働しているんだ?」


最終確認を済ませてクリックし、自分が書き込んだコメントを投稿すると、鬱憤が晴れるような気がして楽になった。少し気持ちも明るくなり、音楽を聴いてリフレッシュしようと動画サイトを開く。ネットサーフィンをしながらおすすめ欄を確認すると、驚きの動画が表示された。


【嫌われ者の生徒の特長】

【退学の勧め】

【飛び降り自殺】


といった動画が『あなたへのおすすめ動画』として自動的に表示された。織田は驚愕する。あまりにも自分の置かれている現状とリンクするタイトルを見て、反発的にパソコンの電源を落とし机から離れると、頭を抱えてその場に座り込む。自分はAIから監視されているのではないかという恐怖心に包まれた。


しばらくそのままの状態で時間が経過。午後8時を少し過ぎた頃、部屋のドアの外から「トントン」と軽いノックの音が響く。


「織田くんいる?話があるんだけど」


山崎の声だ。


「どうした?なにかあった?」


施錠を解除してドアを開けると、山崎がノートパソコンを片手に立っていた。


「ちょっといいかな。AI教師掲示板について話したいことがあるんだ」


「どうぞ」


織田は彼を部屋に招き入れ、小型冷蔵庫から水を取り出すとテーブルの上に置く。


「さっき言ってた掲示板のことだけど、何か問題でも起きたのか?」


「いや、それがね、最近AI教師を批判する書き込みが増えてるんだ。誰が書いているかまでは分からないけど、心当たりがあるか聞いてみたくて」


山崎はパソコンを机に置きながら淡々と答える。



山崎はこの掲示板の管理人でもある。なので、寮内のパソコンから投稿された内容なら場所の特定は可能たが、そのことを織田には伏せていた。


「それは俺も感じてる。AI教師の最近の様子もおかしいし、不満を持ってる生徒が多いんだろうな」


「掲示板の注意事項には『過度な中傷はしないように』って書いてあるけど、それが最近守られていない。匿名ではあるけれど、寮内のパソコンはサーバーをAI学校が管理しているから、その点は気を付けて欲しいんだ」


その言葉を聞いた瞬間、織田の胸に冷たい汗が滲むのを感じた。学校がサーバーを管理している…?そんなこと、全く考えもしなかった。


掲示板のルールに『中傷禁止』とあったのは承知していたが、守っていたのは最初だけで今ではその注意事項すら頭の隅にもなく、ついさっきもAI教師をこき下ろすような投稿をしたばかりだ。


「そういうことか…念のために京本たちにも俺から伝えておくよ。あいつなんか、AI教師の悪口とか平気で書き込んでそうだからな」


織田は苦笑いを浮かべて言ったが、その表情はどこかぎこちなかった。山崎は「それじゃあ、よろしく」とだけ返すと、無表情のまま部屋から出て行く。


ドアが閉まると、織田はひとり深いため息をつく。もしかして、俺が書いた悪口の投稿…バレてるのか?疑念が頭をもたげる。学校のサーバーが投稿を監視しているなら、どこまで記録されているのか。さらにその情報がAI教師に共有されていたらどうなるのか…。


織田は心臓が早鐘を打つのを感じた。ここ最近、AI教師が自分に冷たい態度を取るのは偶然ではなく、自分の掲示板での投稿が原因なのではないか。だからAI教師が嫌がらせをしているのだと確信しつつあった。


彼はこの日、食堂にはいかずそのまま布団の中に潜り込み、うつ伏せになって悩み続け、気が付くと朝になっていた。睡眠を取った後のような清々しさは全くなく、半ばノイローゼにでもなったかのような気分で、そのままAI学校へ登校する。

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