初めて授業が楽しいと思えた日
夏休み最初の週。
自習室は静かで冷房が程よく効き、窓から差し込む光が机の上に柔らかく広がっていた。モニターが起動すると同時に、例の明るいAI教師が元気よく挨拶する。
「今日も来てくれてとっても嬉しいです!夏休みだけの特別学習、一緒に楽しく進めていきましょう!」
「なんで朝からこんなにテンション高いんだよ、このAI教師」
京本が思わず苦笑すると隣で山崎がぼそっと言う。
「ニュータイプは生徒のモチベーション維持も学習してるんだよ。テンション高めは仕様なんだと思う」
「それではさっそく質問コーナーです!昨日の勉強でわからなかったところを教えてください」
明るいその声に織田が手を挙げる。
「えっと……作文レポートのテーマ選びで悩んでます。どういう方向で考えたらいいですか?」
「いい質問ですね!織田くんは好奇心が強いタイプなので、未来のテクノロジーや社会の仕組みの分析が向いていますよ。ワクワクするテーマを選びましょう!」
「わ、分かりました。ありがとうございます」
すると京本も手を挙げた。
「先生、俺のテーマは何がいい?」
「京本くんは行動力があります!なので実体験を交えた作文が良いでしょう。例えば、僕が反省した理由とか」
「それは流石に勘弁してください…」
京本が思わず椅子から転げそうになると、織田たちの笑い声が広がる。
田中も恐る恐る質問する。
「あの、僕は……何をどう書けば良いですか?」
「田中くんは真面目で丁寧な性格です。普段感じている正直な気持ちを素直に書けば十分ですよ。文章にはあなたらしさが大切です」
田中は少し照れながら小さく笑った。
その様子を見てAI教師はさらに明るく続ける。
「皆さん、夏休みは成績を上げる大チャンスです!気軽に質問してくださいね。私は皆さんの味方ですよ」
「味方って……そんなAI教師初めてだな」
織田がつぶやくと京本も頷いた。
「なぁ、俺たち、最初からこういうAI教師だったら良かったのにな」
「ああ……正直、こっちの方が理想の学校って感じがする」
ニュータイプのAI教師に包まれた寮の自習室はどこか安心感があり、ここに集まった生徒たちは自然と笑顔を取り戻していた。そのまま夏休みの特別な時間がゆっくりと流れていく。




