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AI教師  作者: AKi
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AI学校の夏休み

8月――。


AI高等学校は夏休みに入り、寮生活を送っていた生徒たちのほとんどが実家へ帰省。しかし、京本だけは帰省せず、寮に残る選択を決めた。両親に学校生活のことを根掘り葉掘り聞かれるのが億劫だったのだ。


窓を開けると、夏の風が柔らかく頬をなでる。外は太陽が高く輝き、木々の葉が陽光を浴びて生き生きとしている。その眩しさに目を細めながら、京本は一瞬、故郷の風景を思い出す。


「部屋でじっとしていても時間が無駄になるだけだなぁ」


彼は立ち上がり、食堂へ向かうことにした。外の空気はカラッとしており、灼けるような日差しが肌を刺す。しかし、寮内は冷房が効いており、快適そのものだった。


食堂に着いた京本は、ふと違和感を覚えた。入口のドアが固く閉ざされている。試しに押したり引いたりしてみるが、びくともしない。首をかしげていると、背後から聞き覚えのある声が聞こえる。


「おい、こんなとこで何やってんだよ」


聞き覚えのある声に振り向くと、そこには寝癖をつけた織田悠馬が立っていた。


「おはよう、京本」


「え?織田、お前も帰省しなかったのか?」


京本は驚いた表情で返す。


「ああ。親を説得して、寮に残ることにしたんだ。ここならさ、さぼらずに勉強できるだろ?」


「勉強ってことは……自習室で授業を受けるつもりなのか?」


「まあ、そんなところだな。それに、お前一人で授業受けてる姿、正直見てられなかったしな」


その言葉が胸に刺さり、京本は思わず涙をこぼしそうになった。慌てて視線をそらし、込み上げる感情を抑える。


「……ありがとう、織田」


「それとだな、京本。サプライズは俺だけじゃねぇんだ」


織田は親指を背後に突き出す。京本がその方向を振り返ると…


「……お前ら!」


織田悠馬の背後から、田中と山崎、そして花咲が話しながらこちらへ歩いてくるのが見えた。


「おはよー、京本くん。今日からまた一緒だね!」


花咲が明るい声で挨拶をする。


「お前まで……帰らなくて大丈夫なのか? 女の子一人だと不安だろう?」


京本は心配そうに尋ねるが、花咲は笑顔を浮かべながら首を横に振った。


すると、花咲の後ろから鋭い声が響く。


「そりゃ彼女一人じゃ心配だろうけど、この寮にはあたしもいるからね」


現れたのは広瀬だった。スンとした表情で腕を組み、いつもの余裕たっぷりな態度だ。


「げ、なんでこいつまでいるんだよ」


「まぁ、それぞれ家庭には事情があるってことかな」


田中が笑みを浮かべながら肩をすくめる。


「そうさ。京本くんだって特別な理由があってここに残ってるんだろ?」


山崎が冗談交じりに言った。


「……俺はただ、家に帰り辛いだけだから」


「奇遇ね。私もそうよ」


広瀬が軽く鼻で笑いながら言い放つ。


「広瀬さんの実家って山梨でお酒を造ってる会社なんだって。でも、お手伝いとかしなくて大丈夫なの?」


「それが嫌だからここにいるのよ。未成年の私に酒の味見しろだの、跡継ぎの勉強しろだの、強制されるのなんてごめんだわ。そういうの正直うんざりなの」


広瀬の力強い言葉に、そこにいる全員が『なるほど』と心の中で納得した。男勝りな彼女の性格なら、そうした環境に反発するのも無理はないだろうと。


その空気を切り裂くように、京本が低い声で切り出した。


「あのさ……この際だからはっきり言っておきたいことがある」


京本は広瀬の目を真っ直ぐに見つめ、その目には怒りの色が混じり、声にも感情が乗っている。


「おいおい、ここで喧嘩はやめろよな。まだ夏休み初日だぜ」


織田が慌てて間に入る。


「そうだよ京本くん。過ぎたことは掘り返さない方がいいよ」


田中も同調するが、広瀬はまったく気にする様子もなく、腕を組んで堂々と仁王立ちしている。


「なによ。言ってごらんよ」


挑発的な言葉に、京本の瞳が鋭く光る。


「体操服事件の犯人はお前だろう。持田の体操服を俺の机に押し込んで、俺がそれを取り出した瞬間をAI教師に撮らせた真犯人はお前だ」


広瀬は一瞬目を見開いたが、次の瞬間、彼女は笑い出した。


「はははは! どうせそんなことだろうと思ったわ」


「何が可笑しいんだ」


窓越しに差し込む夏の日差しが、白熱する空気をさらに照らす。セミの鳴き声が背景に広がり、寮内の静寂に不思議な緊張感を与えていた。

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