田中が書いたレポート内容3
時刻は深夜1時30分。
山崎は静かに花咲薫の部屋の前に立ち、そっとドアノブを回したが扉は開かない。
「なに!」
小声で呟いた瞬間、山崎の体が一瞬硬直した。以前ドアのセキュリティロックを解除した時も、プログラムは30分後に自動復旧していた。今回も既にセキュリティが通常通り戻っていて、ドアはしっかり施錠されていた。
「しまった…もう対策されたかぁ」
小さく呟き、少し考えたあと、山崎はドアを優しくノックした。しばらくして眠そうな顔の花咲薫がドアを少しだけ開ける。
「なんですかぁ…」
明らかに警戒している。
「落とし物。拾ったから返す」
山崎は袋を持ち上げて見せた。中にはイチゴ柄の靴下がうっすら見える。
「え?どこで拾ったの?」
花咲は警戒しながらもドアを半分まで開け、そっと手を伸ばして袋を受け取る。中を確認すると、彼女は不思議そうに山崎を見上げた。
「秘密。それは秘密」
「そうですかぁ…」
軽くため息をつきつつ、花咲は袋を抱え直す。
「うん、それじゃ戻るよ」
山崎は微笑んで軽く手を振り、花咲も「ありがとうございます」とだけ言った。その声が聞こえた瞬間、彼女は素早くドアを閉め「ガチャ」と音が響くほどしっかり施錠した。
静寂に包まれた廊下を歩きながら山崎はゆっくり自分の部屋へと戻る。エントランス前まで来ると、管理室のドアの隙間から微かな明かりが漏れていたが、人の気配はなかった。
「ミッションコンプリート」
満足げに呟き、山崎は右手を上げて小さくガッツポーズをした。
田中のレポート
父さんへ
体育の授業で京本くんが武田教師から、口の利き方が生意気だと言われてビンタされていました。そのあと食堂で織田くん京本くんと広瀬さんが口喧嘩をしていました。音楽の授業までは何も問題なく受けられていたので少し残念です。
体育で走ったせいか、今日はもう疲れたので寝ます。
それから、山崎くんはどうやら同じクラスの花咲薫さんに好意を抱いているようでした。
おやすみなさい。




