ハッキングで女子生徒の靴下ゲット⁉
放課後、AI教師がその日の係当番を発表した。選ばれたのは3人の生徒だった。
「マジか、選ばれちゃった。めんどくさいなぁ」
「少し帰るのが遅くなるだけだし、問題ないよ」
「成績評価につながるかもしれないし、ちゃんとしよう」
3人以外の生徒たちはそれぞれ帰宅の途に就くことになり、寮に戻った織田たちは一日の疲れを抱えながら各自の部屋へと向かい、この日は皆それぞれ異なる時間に食堂で食事を済ませた。
織田は自室に戻ると、疲れた体をベッドに沈め深いため息をつく。静寂の中で今日の出来事が頭の中を巡り、過去の思い出や未来への期待がちらりと浮かんでは消えていく。そして今この瞬間の小さな安らぎに包まれながら、織田は静かに夢の中へと沈んでいった。
深夜1時ごろ―。
「ドンドン、ドンドン」
部屋のドアを叩く音が静まり返った寮の中に響き渡る。ベッドで横になっていた織田悠馬は、その音に気づいて目をパッと開く。
「おーい、織田君。戦利品をゲットして来たよ。起きてください」
聞き覚えのある山崎の声が廊下越しに届くと、織田はため息をつきながら頭を掻きむしり、ドアの方に歩いて行った。ノブを回そうとするが、施錠されているため開かない。
「今日のハッキングは君の部屋じゃないんだよ。早く開けてくれ」
渋々ドアを開けると、興奮した様子で顔を赤らめた山崎が立っていた。
「また…デジャブかよ、この光景」
織田は眠い目をこすりながら嘆息をついた。
「とりあえず部屋に入れてくれ。ここでは見せられないんだ」
そう言って、山崎は素早く部屋に入ると、スリッパを脱ぎ、小さなテーブルの前にちょこんと座り込んだ。手には大切そうに抱えた袋がある。何が入っているのか、妙に厳重に守られているその袋に、織田は首をかしげる。
「どうしたんだよ、こんな夜中に。何を持ってきたんだ?」
「ミッション成功だよ、織田くん。これを見て」
そう言って山崎は袋の中から取り出した。それは、ピンク色のイチゴ柄がついた、可愛らしい女の子用の靴下だった。
「それ…誰の靴下だよ?」
山崎は顔を少し赤らめながら答える。
「花咲薫さんの…靴下」
5秒間の沈黙が流れる。
「お前、ヤバい奴だな。どこから盗ってきたんだよ」
「誤解しないでくれ。ただのハッキング実験さ。彼女の部屋のドアをハッキングして、施錠を解除したんだ。証拠として靴下を一時的に借りただけだよ。君に信じて欲しくてね」
「またハッキング…しかも今度は女子の部屋か?」
「そうなんだ。自然寮には女子が3人住んでいて、彼女たちのドアのセキュリティコードは男子のものと若干違う。それを試したくてね…」
「早く返してこいよ。お前のせいで寮内に防犯カメラが設置されでもしたら、許さないからな」
織田は語気を強めて山崎を睨みつけた。
「大丈夫、花咲さんはぐっすり寝ていたから気づいてない。それに同じ柄の靴下が二足あったからね」
「そういう問題じゃないんだよ」
織田は呆れ果て訳の分からない説明に少し笑いそうになるが、必死にこらえて靴下を返すように促した。
「分かったよ。君がそこまで言うなら返してくる。それに、ミッションは完結したしね」
『何のミッションだよ…』と心の中で思いながらも、それを口に出すのは躊躇った。




