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剣に力を  作者:
太古の猛戦士
3/7

巨獣の誕生

「……アレはッ………………!!」


そう、山の方角に見えたものは、見慣れたマンモスのはずだった。いつも狩っているあの……


だが、明らかにおかしい。はっきり言ってデカすぎる。木をも凌駕するあの長い鼻。鋭さがここからでもはっきりと分かる牙。何よりも山のように錯覚させられる巨体。マンモスはずっと遠くにいるはずなのに、まるで目の前に居るみたいだ。


ダルグは悟った。俺はアイツを倒さなければならない。この棍棒はアイツを倒すためにあるんだ。あの凄い力さえあれば……………………突然、巨大マンモスがだんだん小さくなっていき、やがて見えなくなった。


「一体、あれは何だったんだぜ…………?」

ガイアが問いかける。ダルグは黙ったままだった。ダルグにも分からない。だが、今から恐ろしいことが起こり始めているのは分かった。


夜になると、村全体で会議が行われた。もちろん、あのマンモスについて。


「見たじゃろ?あれを」

ガル村の村長、バヌトゥが口を開いた。バヌトゥは知略戦に長けた、まさに村長に相応しい人だ。今年で162歳を迎える。


「あの巨大マンモス、はっきり言って異常じゃ。他のマンモスと同じにしちゃいかん。あのマンモスに名をつけるとしたら......『木の如く巨大な鼻(ラング・ナーズ)』じゃな。」


ラング・ナーズ。なぜ村長が鼻に注目したのかは分からない。だが、そんなことはどうでもいい。俺はラング・ナーズを倒さなければならない。この謎の棍棒で。改めて感じる。胸の中に、使命感を。


ラング・ナーズはこの棍棒でしか倒せない。あのマンモスには狩係リーダーのゴルドでも無理だ。感覚的に分かる。


バヌトゥが話を続ける。

「もちろん、アレはどうにかせねばならん。分かるじゃろう。あの恐ろしさを体感しとるなら。さあ!作戦を立てるぞ!」


バヌトゥは手を叩いた。


「今回の作戦のリーダーは狩係リーダーのゴルドを任命する。良いな?」


村人たちは一斉に拍手をした。


「もちろん、このゴルド。任されました。」

そう言ってゴルドは(ひざまず)く。


ゴルドは地位が地位なのでかなりプライドが高い。ここで『お前には無理だ』なんて言ったらどうなるか分かっている。それでも───────


───────それじゃダメだ。俺がやらなければならない。悪いがゴルドには無理だ。狩人全員行っても。

「────俺に、リーダーをやらせてください」

弱々しい声で言った。


やはり村人たちの反応は

「はあ!?黙れ!引っ込んでろ!」

「何言ってんだ、ダルグ」

「お前に務まる訳ないだろ」

という冷たい反応ばかり。


そこでゴルドは村人たちに

「黙らっしゃい!」

と喝を入れる。一瞬の静寂の(のち)

「ダルグ、面白い。お前のその勇気、しかと受けとった。では明日(あす)、私と対戦をしろ。お前がリーダーの素質を持っているのか、確かめさせてもらう」

と言って、ゴルドはフン、と鼻息を出す。


これには村長も

「なんと!お前正気か!?ダルグはまだ未熟じゃぞ!?」

と、驚かずにはいられなかった。


「───────やる」

ダルグは静かに答えた。

明日(あした)、やってやろうじゃないか」


村長は再び驚く。

「お前も正気か!?ふむ、2人してそういうのなら仕方がない。では明日(あす)、訓練場にて決闘を行う!」


「おー!」

「ゴルド、やったれー!」

村人から歓声が響く。


ともかく、俺はこの村を救うための、始めの1歩を(あゆ)み始めた。


ダルグは焚き火で、今日採ったマンモスの肉を焼いていた。そこにガイアが向かってくる。

「本当にあんなこと言っちゃって良かったっヤツか?相手はあのゴルドってヤツだぜ?」


ダルグは揺らめく火をぼんやり見つめながら答える。

「良いんだ、俺は村を救いたいんだ、俺の手で。そのためにならなんだってやる」


本当はそうではない。ゴルドには無理だと思ったからだ。オレ、こんなんで良いのかな?こんなんじゃラング・ナーズを倒したからといってまた仲良くなれるとは限らない。


ダルグは、大好きなマンモスの黄色い部分(脂肪)が焦げたことに気がついていない。


「───────肉、焦げてるってヤツだぜ」

ガイアも炎を見ながら、静かに言う。


「なあ、オレ、ゴルドに嫌われたかな?」

ダルグの声が少し上擦(うわず)る。恐らく、俺は棍棒を使うことで余裕の勝利だ。だが、それはゴルドのプライドを傷つけることになる。



「んな訳ないってヤツだぜ」

ガイアは低い声で答える。


ヤダ、泣きそう。嘘だとしても、『自分の手で村を救いたい』とか大口叩いたのに。

「───────そっか......そうだよな、ゴルドにとっちゃオレたちは愛する部下だもんな。」

(かろ)うじて出た言葉。ヤバい、もっと泣きそう。


ダルグは必死に涙をこらえる。こらえて、こらえて、こらえて。そうして少し涙は引いてきた。ダルグはため息をつく。


「なんかあったら相談しろってヤツだぜ」

トドメを刺された。もう涙はおさまらない。

ガイアはそれ以上何も言わない。ダルグに、友にこんな情けない気分を味あわせてしまった。何を言えばいいのかが分からないのだ。


ガイアは静かにそこを立ち去る。ダルグは焦げた肉をじっと見つめている。焦げた肉を食べてやるべきか捨ててやるべきか、ダルグには分からなかった。


───────ダルグは家に帰り、寝床で、ダルグは再び(なみだ)した。それはすぐにおさまり、眠りにつこうとする。

.........眠れない。また焚き火での出来事を思い出し、(なみだ)する。そしてまたおさまる。これを繰り返しているうちに、ダルグは眠りにつくのだった。───────



受験終わったのでまた連載を再開します!ちなみに第1志望には無事合格しました。今はとにかく花粉症に悩んでいます。助けてください。

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