表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/14

2話

「では、本題に入りましょうか」


 注文をしているときの姫輝は、テンション高めだったが、今は落ち着きを取り戻し、真剣な眼差しをあたしに向ける。その気迫に思わずごくりと喉を鳴らした。


「は、はい。そうですね」


 気迫に飲み込まれたあたしは、ちょっと怯む。同学年だから、タメグチでいいじゃん? って思っていたが、丁寧語になった。

 あたしも姫輝が作り出す場の空気で、真剣な目で見つめ返す。

 姫輝は組んだ手の上に顎を置き、説明を始める。


「梨琴さんの家族構成は?」

「父と母とあたしの三人暮らしです。姫輝さんは?」

「両親と兄がいます」


 うん、お兄さんがいることは知ってた。そこはリサーチ済みの案件である。

 そこで、自分の考えの浅はかさに気づいた。


(ちょ、ちょっと待てよ? 姫輝さんとして生活するってことは、悠橙先輩と一つ同じ屋根の下で暮らすってことじゃない? もし、悠橙先輩に言い寄られたらどうしよう。きゃ~)


 頬を赤らめ、身体を恥ずかしそうにくねくねしていると、何やら姫輝が、鞄をごそごそと漁り始めた。そして、取り出したのは鏡。

 その鏡をあたしの目の前に見せつける。

 今のあたし。つまりそこには姫輝の顔が当然映し出されている。


(……あ……妹に欲情する兄とかないわ……。あたしの期待した展開があるわけがない)


 冷静を取り戻し、違う意味で恥ずかしくなった。それにしても姫輝はあたしの心でも読めるのか? まるで、あたしの内心を察したかのように鏡を出してきたぞ?


「……私の身体で、兄に欲情しないで下さいね」

「べ、別に、よ、欲情なんてしないし!」


 思わず立ち上がり大声を出す。すぐに自分の行いに気づき、恥ずかしい発言を聞かれたのではないかと、辺りを見渡す。どうやら誰も気にしていないようだ。まあ他の席でも奇声をあげてる学生とかもいるしね。

 あたしは再びソファーに腰を下ろす。

 姫輝は再び計画の話を始める。


「それでご両親のお名前は?」

「父が和樹で、母がつぐみです」

「姫輝のご両親は?」


 そこで、にこりと姫輝は笑顔を作る。あたしから見ると隠し事があるせいか、にやりとした悪だくみをするような笑顔に見えてしまう。


「あら? 兄の名前は聞かないのですか?」

「……有名ですから」


 臆して濁した。姫輝と違い、悠橙先輩は別に有名ではない。単に好きな相手だからリサーチ済みなだけである。まあもう察してるみたいだが……。

 姫輝は表情を戻し、両親の名前をあたしに教える。


「お父様は秀一。お母様は雅子」


 言い方がお嬢様である。あたしは念のために確認をする。

 

「ご両親はどんな仕事をしているの?」

「お父様は会社の社長で、お母様は同じ会社の専務をしていますわ」

「……ちなみに会社の規模は?」


 姫輝はアイスロイヤルミルクティーを一口飲む。お嬢様とロイヤルミルクティーだと、こんな庶民的なファミレスでも豪華に見えてくる。

 コップを置いてから、サラっと一言。


「社員の人数は二十万人くらいかしら?」


 あたしも一緒になって飲んでいたコーラを、吹き出しそうになった。


「ちょっと待った! まさかその二十万人の中で、あたしが名前を覚えないといけない人とかいるの!?」


 姫輝はその答えを、淡々と説明する。


「いえ、私は会社にまだ関わってはいないので、その辺は大丈夫と思いますわよ」


そう言うと、姫輝は再びストローでロイヤルミルクティーを飲んだ。

2話の最後まで読んで頂きありがとうございます。


前にお話しした通り、公募に出す予定の作品なのですが、『背景描写』が作者が苦手なのか、テンポよく進んでしまいます。

まあ、このテンポがいいという方もいらっしゃるかと思いますが、書籍化作家さんたちの作品を読んでいる方たちには、物足りないかもしれません。

もう少し、テンポは崩さずに、背景描写を入れられるように努力したいと思います。

まあ、独学なので手探りになりますが。


作者のモチベーションアップの為に、感想や応援を頂けると嬉しいです。

この作品以外も読んで頂けたらと、思います。

今後も『入れ替わり激やば!』をお楽しみいただけるように、頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いつも楽しく拝読させて頂いています。 梨琴が思わず敬語を使う所や 体をクネクネさせて姫輝に鋭く察せられる所が 面白く感じました。 ひょっとして姫輝はブラコンなんじゃないかと…(笑) 家族構成です…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ