24話
姫輝がノートに名前を書いている間、あたしは何をしているかというと、今日の宿題をやっている。もちろん自主的にではない。隣に監視がいるため、やむを得ずである。
木陰のベンチに座っているとはいえ、季節的に暑い。公園で遊びまわる子供たちの元気の良さが、さらに熱気となっているような感じがしてしまう。
「できましたわ」
姫輝は、パタンとノートを閉じて、あたしに渡してくる。確認の為に開いてみると、そこには名前以外にも、特徴や趣味までもが、みっちりと書き込まれていた。
(え? あたし、こんなに覚えないといけないの? 宿題どころじゃなくない?)
頭に疑問がよぎるも、拒否権はないと感じたために、無言でノートを鞄にしまった。
あたしは宿題の続きを始めた。しかし、隣から姫輝が色々文句を言ってくるので、「後でちゃんとやるから」と言い、教科書とノートを鞄にしまった。
姫輝は不安そうな顔をしているが、姫輝からスパルタで勉強させられるよりも、悠橙先輩から、勉強を教わるという甘い時間をすごす方が、勉強の効率もあがるってもんですよ。
……たまに見惚れてしまうのは、やむを得ないとして。
あたしはこれから楽しみにしていることに関して質問をしてみる。
「ねえ、姫輝は夏休みってどう過ごしているの?」
「夏休みですか? 家族旅行に行ったりしますね」
旅行か~。それもなかなかいいな。悠橙先輩との旅行。いっそのこと、恋の逃避行だったりしたら良いのにと思ってしまう。
でも、身体が姫輝だしな~。特にロマンチックなこととか起きそうもないな。
そこで、閃いた。『あたし、実は頭がいいんじゃない?』と錯覚を起こすような名案を。
「そうだ! 旅行に姫輝も来るってどうかな? 姫輝も家族と離れ離れは寂しいだろうし、あたしも姫輝がいない遠くに行くと不安だよ」
そう言うと、姫輝が感動したように、あたしの手を握ってきた。
「梨琴さ~ん」
目をウルウルさせて、喜び全開だが、すまん。
あたしは単に、『梨琴と悠橙先輩の接点を作る』というのが目的である。なんなら、そのまま好意を持たせるところまで進ませたい。
ただし、ラブラブになるのは、当然、あたしたちの身体が、元に戻ってからでないと意味はないのだが……。
夏休みまで、まだ日はあるが、お互いに旅行を夢見て話が盛り上がった。
いつも読んで頂きありがとうございます。
久しぶりの更新です。
お互いの思惑が違う旅行企画。
すみません! まだそこの所まで書けていないんです!(土下座)。
2025年の11月も、そろそろ終わろうとしている頃。
作者は、2025年12月末〆の公募に出す作品を必死に書いております。
※そう言っても、1日あたりに1500文字から、よくて5000文字くらいなのですが……。
今後も藤谷葵の応援をよろしくお願いします。
この作品に限らず、感想をお待ちしております。




