22話
宿題の確認を終えると、お互いに教室へと戻った。
別れる際の姫輝の表情は、かなり不安そうであった。
恐らく、あたしも同じような顔をしていたことであろう。不安だよ……。
そして、疲れた頭で教室内に入り、席に座る。そして、授業が始まった。
授業中、気配を消していたのに、とうとう当てられてしまった。
黒板の問題を見つめつつ、黒板の前に立つが、問題を見ると目が回りそうである。
とりあえず、チョークを手に取り、必死に問題の解き方を考える。
あたしの問いに対する答えは、ただ一つ!
「……わかりません」
そう答えることしかできなかった。
「雉子島……どうしたんだ? 体調でも悪いのか?」
先生が心配そうにおろおろとしている。問題を答えることができないと、体調不良と思われてしまうくらいに、姫輝は頭がいいのか……。
「雉子島、もう席に戻っていいぞ。では、他の人を……」
あたしが席に戻ると、他の人が指名された。
その人は、あたしの方を見ると、なぜか勝ち誇ったような表情でこちらを見て、黒板に書かれた問題を解いた。
それが引き金となり、休み時間にそのクラスメイトに声をかけられた。
「雉子島さん、どうしたのですか? 雉子島さんならあの程度の問題、解けたのではないですか?」
その人は、心配しているような言葉を口にしているが、表情はにやにやとしている。これ、絶対マウント取ろうとしてるでしょ?
「……えっと……どちらさま?」
そう言うと、相手は眉間にしわを寄せて、顔を赤くする。
「比那田ですよ。あなたのライバルの、比那田蘭恋ですよ。私なんて眼中にないってことでしょうか?」
凄い睨まれた。いや、眼中にないのではなくて、それ以前に知らない人だから聞いたのだが、相手にそれが伝わるわけもなく、そのように受け止められてしまった。
仕方なしに、伝家の宝刀を使うことにした。
「い、いえ。ちょっと頭をぶつけてしまいまして、記憶が所々抜けてしまったのですわ」
言い訳が苦しい。頭をぶつけたのは事実だが、そんな都合よく記憶が飛ぶか! と自分でも思ってはいる。
「あ、あら、そうなの? それはお気の毒に……早く治るといいですね」
比那田さんがあたしを見る目は、突然、嫌悪感から同情へと変わった。
この人、恐らく自称ライバルだけど、実はいい人なんだろうな……。
他の親しい友人なのか、単なるクラスメイトなのか、興味深そうにあたしに寄ってきた。
あたしは大勢に囲まれつつ、名前当てゲームをすることになったが、当然、誰一人と当てることはできなかった。
いつも読んで頂きありがとうございます。
1話辺りを書くごとに、間が空くのは良くないなと、この回で気づかされました。
何もかもが、ぐだぐだになってしまっているような気がします。
今日、投稿した『藤谷葵戦記』にも書きましたが、この作品も『章分けするべきだった……』と嘆いております。
章分けしてプロット(設計図)を決めていれば、こんなグダグダにはなっていなかったのかもしれません。
とりあえず、この作品は『書き切ること』を練習目標として、頑張りたいと思います。




