21話
あたしはなるべく早めに家を出た。
恐らく、姫輝は早めに登校していることであろう。
それならば、宿題が合っているか、少しは確認してもらえるはずと踏んだ。
学校に着くと、一年五組の教室前を、さりげなく通ってみる。
教室の空いている後方ドアから、姫輝の姿、いや、あたしの姿というべきか……本当にややこしい。
あたしは後ろのドアから、こそこそと隠れるように姫輝に声をかける。まあ、他のクラスメイトとかに、奇異の目で見られている。
今まで、あたしと姫輝の接点はなかったしね。カリスマ的な姫輝があたしのクラスに来たら、クラスメイトは何事かと、当然思うだろう。
だが、そんなことは気にしていられない。なんとしても宿題の確認をしてもらわなければ。
とりあえず、あたしの教室でも姫輝の教室でも話をすることは出来ないので、人気の少ない階段の屋上の踊り場に行った。
「姫輝~、宿題確認して~」
涙と鼻水を垂らしながら、泣きつくあたしに姫輝がドン引きしている。
「り、梨琴さん、とりあえず鼻をかんで泣くのをやめて下さいませ」
あたしは鞄からポケットティッシュを取り出し、鼻をかんだらごみはそのまま鞄に突っ込んだ。
その様子を見た姫輝の視線が痛いものであったが、そんなことよりも宿題の方が重要なので、姫輝は溜息を吐きつつノートを広げた。
真剣な眼差しで、ノートを隅から隅まで見ている。
「梨琴さん」
「は、はい!」
「こことここが間違えてますわよ」
指摘されたところを見つめる。あたしには説明されても、さっぱりわからん。
じれったくなったのか、姫輝はあたしが持ってきた鞄からシャーペンと消しゴムを取り出し、修正をした。
「ありがとう!」
あたしは再び、涙と鼻水を垂らした。
「り、梨琴さん、みっともない姿をするのはやめて下さいませ」
そう言われて、あたしは再び鼻をかみ、涙をハンカチで拭いた。
姫輝は宿題の件で、追撃してくる。
「梨琴さん、今後もこのように、宿題を確認しましょう。今見ただけでも、間違えが多かったですから……」
「はい……さ~せん」
朝の日課ができてしまった。
いつも読んで頂きありがとうございます。
特にこれと言ったイベントがない回でした。
日常系(?)ラブコメだとこんなものなのだろうか?と頭を悩ませております。
この辺に作者の読書量の少なさを感じますね。もしくは何も考えずに読んでいるだけか?
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