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14話

 あたしは、トーンを下げた声を出す。


「……反省会しよっか……」

「……そうですわね……」


 姫輝も同調したのか、同じトーンで答える。


「場所はどこがいいかな?」


 あたしがそう言うと、いきなり姫輝は元気に目を輝かせ、オーダーを入れてくる。


「この前の、ファミレスがいいですわ」

「却下で!」


 当然、即答した。

 姫輝はお嬢様だからお金があるが、そうそうお金を使うようなところに行かれたら、財布の中身はすぐにスッカラカンになる。

 貯金箱の隠し場所がバレようものなら、その中身まで空になりそうだ。

 ちなみに、なぜ姫輝がお金を持っているのかと知っているかというと、興味本位でお財布の中身を確認しました……まあ、これは確認必須の大事な案件なので、あえて報告しなくていいよね。

 その件は頭の中から追い払い、今すべきことを話し合わなければならない。


「近所の都営公園でいいんじゃない? そんなにうちの学校の生徒がくるとは思えないんだけど?」

「もう、どこでもいいですわ」


 姫輝は目に見えてがっかりしているのがわかる。

 北側の入り口から中に入り、日陰のベンチを探す。平日でもありながら、人は多い。特に子連れママさんが目につく。

 場違いなような気もするが、子連れママさんたちが多く、尚且つ木陰にあるベンチに座った。あえて子供が多いところを選んだのである。

 子供たちは元気いっぱいにはしゃいでいる。普通の声の大きさで話しても、あたしたちの会話は他の人たちには聞こえないであろうという算段である。

 木製のベンチに座るが、姫輝は鞄をごそごそと漁っている。そして、コットンのハンカチを取り出し、ベンチに敷き、その上に座った。


(ほぅ~)


 こうやって他人から見ると、あたしも案外、女子として悪くないんじゃないかな?

 ただ、今は中身が姫輝なので、可愛い女の子らしさが出ているのかもしれないが……あたしももう少し女子力高めるべきだろうか……?

 真剣に考え込んでいると、姫輝が話始めた。


「……そういえば梨琴さん、貴女のお父様が昨夜、帰宅するなり、下着姿でうろうろしているの、やめさせていいですか? なぜか恥ずかしいというよりも、怒り的なものがこみあげてきたのですが……」

「やれるもんなら頼む!」


 あたしは即答した。

 だって、あたしが今まで何度も「お父さん、下着姿でうろうろするのやめてよ!」って何度言っても直さないんだもん。


「他に何か問題あった? トラブルでもなく、些細なことで指摘されたとか」

「後は褒められたくらいですかね? 食事の際に行儀がいいとか、めずらしく部屋で勉強しているとか。梨琴さんは、普段勉強しないんですか? 日常生活をどう過ごしているんですか?」


 あたしはその言葉を聞き、石像のように硬直した。いや~、季節的に暑くなってきているのに、なんか気分はひんやりとしたな。

 あたしは恥ずかし気に視線を逸らしつつ、小声でボソッと呟く。


「ま……漫画読んでます」

「……今度の期末テスト。大丈夫ですの? くれぐれも一位から落ちないで下さいませ」


 その言葉を聞き、あたしは目を見開き抗議する。


「一位……だと? 勉強頑張るから、せめて五十位以内にしてくれないかな!?」


 今度はあたしの言葉に、姫輝が目を見開き驚く。


「五十位!? 頑張ってそんな下ですか? 今現在、梨琴さんは何位なんですか?」

「し、下から数えた方が早いくらいかな……?」


 乾いた笑顔をみせると、両肩をガシッと掴まれた。


「勉強の特訓ですわ! これから今すぐ!」


 目の前に、般若の顔をしたあたしがいた。

いつも読んで頂きありがとうございます。


さ……作者も学生時代の成績は、下から数えた方が早いかな(汗)。

『作家は体験していないことは書けない』という説がありますが、藤谷葵よりも頭の良い登場人物を、果たして書き上げることができるのでしょうか……。

まあ、その説でいきますと、『じゃあ、ファンタジーを書いている作家は、ファンタジーの世界に行ったのか?』という話になりますよね。

つまり、そんな説は関係ないと……頑張ります(ポツリ

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく拝読させて頂いています。 勉強って特訓でしたっけ?(笑) 姫輝にしてみれば死活問題でしょうね。 1学年何人くらい居るのか気になりました。 お尻から数えた方が早い人が50位以内ってそ…
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