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第3話

 今年の春、私は県内でも屈指の大型書店に就職した。

 全国的に大きな書店であり、私自身も本が好きなので、採用が決まった時は喜んだ。

 担当になったのが、本の中でも特に大好きな児童書だった事もあり、大好きな本に囲まれる中で働けて幸せだと、配属が決まった時はそう思っていた。

 けれども、実際は全く違っていた。

 研修期間が終わった夏頃から、配属先の上司のパワーハラスメントが酷くなった。

 研修中の頃から、なんとなく私にだけ風当たりが厳しいような気はしていた。

 休憩時間中に急ぎの仕事を頼んで休憩を取らせない、私に残業を指示しておきながら自分は先に帰り、後日、私が残業したのは私が勝手に残業したからだと言い張り、残業を付けさせない。

 公共機関が遅延した影響で、遅刻して出勤すれば「本当に遅延していたのか」、「嘘をついているんじゃないか」と言ってくる。発行してもらった遅延証明書を提出しても信じてもらえないので、それなら実際に遅延した公共機関に問い合わせをすると、私がその場で問い合わせの電話をかけようとすると、「そのような行為をする事は社会人として常識に欠けている」と説教をしてきた。

 極め付けは、夏に親戚に不幸があって慶弔休暇を申請した時、虚偽の申告をしたと言い掛かりをつけて申請を無視した。親戚に不幸があった事を繰り返し説明して、葬儀の日程を伝えても話しを聞いてもらえず、それでも喪に服す方を優先して、慶弔休暇を申請した日に仕事を休んだところ、後日仕事に復帰した時、慶弔休暇を申請した日に仕事を無断欠勤したと騒いだ。

 予め慶弔休暇の申請をしていたと説明しても無視され、葬儀の日程を事細かに話しても、自分が正しい、私が間違っている、の一点張りで、話さえまともに聞いてくれなかった。

 その後、たまたま他部署の女性上司が東京にある本部に、慶弔休暇の件を話してくれた事で、本部が上司を注意し、私の慶弔休暇は認められた。

 けれども、それから私に対する風当たりはますます酷くなった。

 仕事に関する質問をしても無視され、書類を投げつけられ、他の社員やお客様の前で怒鳴りつけられ、自分の仕事が上手くいかないのは、私が報告や連絡を怠っているからだと言い張った。他の社員も私が上司のパワーハラスメントの被害に遭っているのを知っているが、自分が標的になるのが怖くて、誰も助けてくれなかった。

 そしてとうとう、私は理由も説明されないまま、児童書の担当からも外され、バックヤードで荷運びなどの裏方の仕事をさせられるようになった。

 バックヤード内は空調が悪いからか、体調を崩し気味になり、通院のため有給休暇を申請したが、やはり無視をされた。

 遂に我慢が限界になり、どうして有給休暇を無視するのかと聞いたところ、「体調を崩したのは、社会人としての自覚が足りないからだ」と言われたのだった。



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