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小さな奇跡

 人間界は魔界と天界の狭間にある。それぞれの世界が干渉し合うことはほとんどないが、極稀に穴が開く。人はそれをダンジョンと呼ぶ。魔界に通じる穴は魔物から貴重な素材が採れる。天界に通じる穴は運が良ければ特殊スキルを授かることができる。


 小さな村の畑の片隅で、子供2人が穴を覗き込んでいる。オレンジ色の髪に赤い瞳の元気そうな男の子と、水色の髪に青い瞳の内気そうな男の子だ。

 子供の頭がかろうじて入るくらいの穴にオレンジ頭が顔を近づける。

「何にも見えない。こんなのあったっけ?」

「昨日までは無かったと思う。」

「これが噂のダンジョンだったらどうする?」

「こんな小さな穴がダンジョンなわけ無いよ。」

「でも深そうだよ。動物じゃ一晩じゃ無理だよ。」

そう言いながらオレンジ頭の男の子は腕を突っ込んだ。何も無い。そう、何も無いのだ。腕を動かしても土に当たらないのだ。

「うおぉぉぉ…何これ、中空っぽだぞ!やべぇぇぇ…」

その瞬間、オレンジ頭の体がに穴に吸い込まれていく、慌て水色頭がオレンジ頭の足を両手で捕まえたが、そのまま一緒に吸い込まれた。


 二人の体は穴に落ちたはずなのに空中に浮いていた。足元には雲のようなふわふわしたものが見える。

「腕がバタバタしてたから引っ張ってみたら村の子供じゃない。」

声のする方には物凄くキレイな女の人が居た。後光すら刺している。

「すげぇ美人!」

「うんうん。こんなキレイな人見たことない。すっごいキラキラしてる!」

「すげぇ眩しい!絶対に女神様だ!」

「村の女神像に似てるけど、お姉さんのがキレイ!」

子ども達が嬉しそうに女神様を褒め讃えた。日頃の感謝や、村で起こった小さな奇跡などだ。大人からしたら見逃してしまうような事細かな奇跡まで全部。

 女神様が満面の笑みを浮かべながら、

「素直な子供は大好きよ。せっかくだからスキルをあげるわ。」

そう言って二人の額を指で軽く突く。触れられた所が一瞬光ったような気がした。

「信ずる者は救われる。貴方達なら何でもなれるわ。そろそろ帰りなさい。」

目の前で光が弾けて目が眩んだ。次の瞬間には畑の片隅に寝転がっていた。

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