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東国の勇者の場合64

「ケンマ様がこの世界に降りられたのはケンマ様が国王陛下に謁見された日の前夜になります。」

目を覚ました朝の前日の夜か。それならば時間感覚的にも納得がいく。

「その日は王宮全体が慌ただしく動いておりました。」

「何か事件でも起こっていたんですか?」

「別に、そういったわけではありません。」

アルスレッドの顔が少し真面目になる。

「いや、もしかしたら何かしらが起こっていたと考えても良いのかもしれません。」

どういったことだろうか。

「何かっていうと?」

「ケンマ様がこの地に召喚されることが日付とともに女神からのお告げで知らされていたのです。」

「それが、その日だったと、、、」

「はい。正確にはケンマ様が召喚される日ではなく勇者になりうる人物がこの地に召喚されるといった内容でしたが、、、」

なるほど、そんなことがあったのか。事前にしらせてあるというならば勇者として自分が簡単に受け入れられていることにも納得がいく。

これに関しては、女神とやらの配慮だろうか。自分は勇者であるということを証明せずに済むようにしているのだろう。おそらくそうでもしなければ、最悪殺されかねない。そんな不幸を防ぐために、そうなっているのだろう。

つくづく、自分の不用心さを痛感させられる。

「じゃあ、その慌ただしさというのは、勇者の召喚に備えてということですか?」

「はい、その通りです。召喚のされる時間は夜となっていましたから、皆その時間に向けて大忙しでした。」

確かに、勇者ほどの趨勢を動かすようなものが自運たちの元へ現れるとなれば、慌ててしまうのも当たり前だろう。それだけ勇者がいるかいないかで、国の未来は変わってしまう。

「皆まだ、どうしたら良いか判らないままに勇者を迎えるための準備をしていました。召喚のための部屋を用意し、台座を建てて備えていました。正直その程度しか備えられません。そして時が来てケンマ様が召喚されたのです。」

ついに来た。いくつかの資料で読んだが自分の納得する答えはない。初めて聞くことができるかもしれない。

「私はその瞬間を部屋の隅の方で見ていました。ケンマ様は神々しい光と共に現れてすぐに気を失ってしまったのです。」

「それが、自分が召喚された瞬間ということですか。」

「はい」

「そうですか。。。」

その返事に盛り上がっていた感情は下がっていった。何かあるかもと期待したが、自分が読んだものと全く同じだった。冷静に考えればそんなことくらい簡単に想像できただろうに、熱くなっていた自分が恥ずかしくなる。

「しかし、その光景を見たものの中に女神を見たといった人間も少々おりました。」

「女神を、ですか?」

「はい」

女神を見たとはどういうことだろう。正直自分には何も考えが及んでいない。

「私は見た人間ではないのでわかりませんが、見たものよると、何か魔法をかけていったといっています。」

「そうですか、、、ありがとうございます。」

少し希望が見えてきたかもしれない。召喚される時に女神が何かをしているはずだ。何をしているかさえ判断がつけばなんとかなるなるはずだ。

「その、、、女神を見た人って誰がいるんですか?」

つい興奮が抑えきれない。

「それでしたら、リニアさんも見ていたはずです。聞いて見ては見てはいかがでしょうか」

「あ、ありがとうございます。」

すぐにリニアさんの元へ向かった。

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