東国の勇者の場合43
貴族たちへの謁見が終了して、本来の自分のやりたかったことに着手できる。
この世界のことをもっと知りたいし魔法だってどんなものがあるのかもっと知って使ってみたい。そんな思いが込み上げてきた。
こういった誰でもできる様なことで時間をとられてしまった。だが収穫は大きかった。今後の自分の行動の指針について深く考えることができる。盤面を少しでも有利に動かしたい。自分が少しでも負けないように。
朝目が覚めて一番に国王のもとへ行った。前日の夜に国王が読んでいると言っていたからである。さすがに疲れていたこともあり国王の計らいで朝にということだった。
だが通されたのは前回あった時とは違うこじんまりとした部屋だった。
「朝から感謝するよ、ケンマ殿。」
1人で椅子に座る国王の姿がその部屋にあった。
「いえ、こちらこそ気を使っていただきありがとうございます。」
物理的距離が近くなり国王の威圧感が初対面の時よりも強く感じられた。
「リニア」
「はい、」
国王の呼びかけに後ろに立っていたリニアさんが返事をした。
「すこし、部屋の外に出ていてくれないか。ケンマ殿と二人で話がしたい。」
「かしこまりました。」
リニアさんはそう言って部屋を出て行った。
モーリス卿の時よりもすんなりと出て行った。それだけモーリス卿が怖かったというわけか。なんだかこういったところに人間関係が出てくるな。
「それではケンマ殿」
「はい」
「貴族たちに会ってみてどうだった。」
「とても良い方々でしたよ。」
ここはとりあえず提携文で済ませておこう。
「ほう、良い方々か」
国王に一瞬笑みが溢れた。自分の考えを全て見透かしているかのようだ。
「あの者達を良い人と表現するとは、、、、まぁよい。この10日間でなんでもやりたい事を申してみよ。出来る限り叶えよう。」
何にかはわからないが、とりあえずは合格と言った事だろうか?
でもこれで思う存分自由にやれる。この10日後以降の自由の為に頑張るとするか。