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東国の勇者の場合③

「では、勇者様にはあらかたの我が国の内情は知っていただきましたので、一度この部屋を出て別のところへ参りましょう。」

「別の、、ところですか、、、」

突然のこの申し入れだ。ここから移動するとなるとこの国から勇者へと見せたいものがあるか、もしくは合わせたい人物がいるのか。合わせたい人物で思いつくのは一人ぐらいしか思い浮かばない。

「えぇ。王宮へ出向いただき、我が国の統治者イエスティル・オーディ陛下への謁見をお願いいただきたいのです。」

やはりか。どうやらこの国の国王のもとへ案内をしてくれるらしい。それはこちらとしても好都合だ。

「それはぜひこちらからもお願いしたいことです。ありがとうございます。」

手をさしだし、満面の笑みを浮かべてみた。

「では」

リニアさんはその言葉とともに一礼をして、部屋の扉を開け外へ促すようなポーズをとる。

 笑顔が不完全だったのだろうか。まだまだ自分も修業が足りていないということ痛感させられた。


「国王陛下はどんな方なのですか。」

国王陛下のいる玉座の間への道すがら少し前を歩くリニアさんの後ろ姿に尋ねてみることにした。一応会う前にどんな人物なのか知っておいても損はないはずだ。

 そしてリニアさんこちらを振り向かずに答えた。

「陛下はとても素晴らしいお方です。この国が安定しているのも陛下の実力あっての賜物であるとみなさん信じております。」

「なんだかとても含みのある表現ですね。」

「ありますか?」

「えぇ、少なくとも僕にはそう感じます。」

「でしたら、気にし過ぎでございますね。」

「気にし過ぎですか、、、」

「はい、気にし過ぎです。それに、どんな方かはお会いになっていただければすぐにわかると思います。特に、勇者様なら。」

ちょうど扉の前につくと同時にこちらに振り返り向けた微笑みにささやかな恐怖を感じた。

「さぁ、到着いたしました。こちらの扉の先に我が国の国王陛下がおられます。わかっているとは思いますが、くれぐれも失礼のないようお願い申し上げます。」

言葉が流れていくのと同時に深々と美しく頭が下がってゆく様子を自分はただただじっと見ていてしまった。

「わかりました。」

「では。」

扉のゆっくり開く音が響き渡った。

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