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東国の勇者の場合36

購入した指輪は買ってからずっと黒いオーラのような物を発し続けている。そのオーラは特段君の悪い物、という雰囲気が全く無くどちらかと言うと心地よいそんな感じのオーラだった。だが、着けてみようという勇気は出なかった。

「着けないのですか?」

「うん、なんかそういう感じじゃないんですよねぇ」

リニアさんの言っていることも至極当然なんだよなぁ。それにこれは自分買ったものではない、だからこそ実際に着けてみてどんな感じだったのか伝えた方がよい気がするのだが、そこに対しわずかながらの抵抗感が勝ってしまっていた。

「でも、これに魅かれたのも事実なんで持ってはいようかと思います。」

そう言ってポケットの中に指輪をしまった。

とりあえず街の散策を続けることにした。

家々は漆喰を使って造られていて日本家屋の様で、街を全体的に見ても江戸時代の日本をまねたかのよう

に考えてしまう。だが、どうしてか外観が西洋風の建物にも見えるものもあり和洋折衷の不思議な街並みである。西洋風に見えるところはおそらく、使っている材料は日本風だが造りが西洋建築なのだろう。感覚的に一番納得できるのは大正時代の街並みだろうか。しかし、それともまた違ったように感じるが、考えても結局答えは出なかった。

 町の中を少し歩くと大きな通りが現れた、さっきの道よりも断然広く出店の数も段違いに違う。さっきの買い物はここですればよかっただろうか。そう考えてしまう程出店の数が多かった。

「凄いですね。」

「ええ、ここは、この島で一番の市場となっています。」

「市場ですか?」

「ええ、先ほどの出店が少しづつあるような道とは違って、多種多様な出店が犇めき合って並んでいるのです。」

「へぇ、凄いですねぇ」

ようは商店街みたいなものか。この大通りが商店街で先ほどの道が住宅街の中にある個人経営の店と考えれば理解しやすいだろうか。まぁ、当然、小さな差異はたくさんあるだろうからあとで修正すればいいか。

「ここでは先ほどの出店と違って多種多様の商品が売られています。さらに、ここで出店するのが一番売れ行きがいいのでここに出したがるひとも多いんですよ。」

「そうなんですねぇ」

だとするならばなぜリニアさんはさっきの出店で買うようなことを言ったのだろうか。

「ですけど、先ほどの裏にあるような店で買った方が掘り出し物が多いんですよ。」

リニアさんが少し小声でささやいた。なるほど、リニアさんの行動に納得がいった。

 ふと、ポケットから先ほどの指輪を出してみる。やはり何か惹かれるものがある。掘り出し物が多いというならば、これがまさにそれなのだろう。理由があるわけではないが、なぜかそう感じるのだ。論理的な物事で考えられない感覚領域の話である。

 すると無意識の行動で左手の人差し指に指輪をはめていた。

「ケンマ様、大丈夫ですか!?」

リニアさんが少し驚いたようにこちらを見た。先ほどまで何か気持ちが悪いと言って着けるのをためらっていたせいだろう。

 体調的には何の問題はない。特に何か変わった様子もない。どういったものかよくわからないがすぐに何か出てくることはなさそうだった。

「まぁ、なんともないので大丈夫です。」

一端、経過観察と。

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