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東国の勇者の場合31

屋敷のすぐ前に馬車が停車し、ゆっくりと扉が開いた。

「どうやら着いたようです。さ、降りましょう。迎えの者が待っています。」

リニアさんはそう言うと颯爽と降りてゆく。

「あ、はい」

慌てて自分も後を追う。降りた直ぐ横でリニアさんは待ってくれていた。

目の前にはリニアさんと似たような格好をした女性が数名とスーツを着た老齢で白髭の似合う男性が1人並んで立って居た。

その光景を見た瞬間、無意識のうちにその方に歩き始めていた。1歩2歩と進んで行くと後ろの方からバタンと音が聞こえた。その音に反応して後ろを振り返ると。使用人と思わしき女性が馬車の扉を閉めていた。扉が閉められるとすぐに馬車は走り出し、その場から姿を消してしまった。

今起こった光景に誰一人として驚いた人物はいない。つまりは、こういった場ではこの光景が普通なのだろう。自分のいた環境とはあまりにも違い過ぎて正直慣れるまでどれだけかかるのか心配になってくる。

「ケンマ様、どうぞ前にお進みください。」

リニアさんが横からアドバイスを投げかけてくれた。

「あっ、はい」

その言葉に我に返り、目の前に立っている集団の方へまた歩き出した。

 しばらく進んである程度距離が縮まったところで停まると

「お待ちしておりました。勇者様、私はここの領主であるモーリス卿の執事長を務めさせていただいております、アーデンと申します。」

唯一の男性であるる応身が頭を下げた。とても落ち着いた低い声で相手に安心感を与えるようなゆっくりとした口調である。その執事長に合わせて後ろにいたおそらく侍従であろう女性たちも頭を下げた。

「ケンマアズマネです。」

つられて自分も頭を下げた。

「お久しぶりです、アーデン殿。リニアでございます。」

リニアさんが横から入り自分の後を追うように礼をした。

「おお、これはこれはお久しゅうございます、リニア様。勇者様付きになられたのですね。おめでとうございます!」

アーデンさんは自分がいるのを忘れたのかリニアさんの方に向けて話し始めた。

「様はやめてください、アーデン殿。今の私の立場はあなたと変わらない、もしくは下になります。それに、今は勇者様に付き従う身ですので。」

そう言ってリニアさんは自分の方を差した。

「失礼いたしました、ケンマ様。では、我が領主のところへご案内いたします。どうぞこちらへ。」

その言葉と主に侍従たちの間にモーゼのように道が出来上がった。その道をアーデンさんはゆっくりと進み始める。自分も後についてゆくとそれに合わせて、侍従たちが礼をしてゆく。異様な光景に見えるだろう。

 これがこの国ましてやこの世界の文化なのだろうか。だとしたら耐えられる気がしない。こんなことを許している領主に早く会ってみたいものだ。正直領主の事に関しては吃驚するくらい予想ができない。一体どんな人物なのだろうか。

 ちょっとした緊張感が体の表面を走る。

 結局、礼をしていた侍従たちはアーデンさん、自分、リニアさん、が通るとそのまま後ろについてきて、ちょっとした大名行列を作っていた。まぁ、大名行列と表現するには人数が少なすぎる気もするが、、、

「到着いたしました、こちらが領主様の部屋となっております。」

いざ対面といったところか。

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