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東国の勇者の場合16

魔法とは不思議なことを起こさせる術、または人間にはなしえることの出来ないことをやってしまうこと。

以前、気になってネットで調べてみて出てきた結果である。そんなようなものがこの世界に存在するというのだろうか。正直に言ってにわかには信じることができなかった。今までの自分の価値観を揺るがしかねないものである。

しかし、腕の痛みは全くと言っていいほど感じない。さらには、女神という存在だ。この世界にきて、考えもしなかったことが不思議なくらいだが、どうやってこの世界に飛んできたのだろうか。女神という人物の魔法によって強制的に飛ばされてきた、そう考える方が確かに自然になってしまう。

魔法の存在する世界の女神が魔法の存在しない世界から人間を連れてきて、勇者として戦わせる。それなりに筋は通っている。

それに魔法が存在しているなら、魔眼の存在も筋が通ってくる。魔法の存在するようなファンタジー世界なのだ、魔眼くらいあってもどおってことは無い。案外あって当たり前くらいのことかもしれない。

しかし、情けない。女神に召喚されたという言い伝えで異世界に飛んでいるのだから、魔法ぐらいあるべきと一番最初に考えてもよいものだが、塵一つ分も発想になかった。この世界にきてまだ1日だというのにつくづく自分の力量不足を痛感させられる。元居た世界での万能感は全て捨ててこなければいけない。

「魔法って言っても、僕が元居た世界ではそんなもの信じられてなくて、どういったものなのか、よくわからないですよ。」

「そうですか。」

リニアさんは少し不思議そうな視線を向けた後、少し考え始めた。

「妙、、、ですね、今までこの世界に来られた皆様は元から魔法を知っているように思えるのです。」

「じゃぁ、なぜ自分だけ。」

リニアさんはさらに深く考え込むと同時に、自分の思考を整理するかのように話し始めた。

「おそらく、こちらの世界へいらっしゃる際の記憶をなくされていることと何か関係があるのかもしれません。」

「記憶、ですか。」

「はい、今回の勇者である、ケンマ様の得意なこととしてそのことが挙げられます。記憶をなくされている理由がわかれば、なぜこのような事態になっているのか解明できるかもしれません。」

なるほど、それは一理ある。記憶が無いというならばそこを調べるのが一番だろう。とはいえこの場面での問題はどう調べるかだ。

「確かに、記憶をなくした原因を調べる方がよいかもしれません。」

「微力ながら、私もお手伝いさせていただきます。」

「ありがとうございます!リニアさんがいてくれるなら心強い。」

「そういって言っていただけて何よりです。よろしくお願いいたします。」

リニアさんは一礼をした。

「こちらこそよろしくお願いします。」

自分は礼をするでもなく手を差し出した。それに気づいたリニアさんは、自分の手を握ってくれた。どうやら意思は伝わったようだ。

「あと、ついでって言ったらなんなんですけど、、、」

「どうかなさいましたでしょうか?」

リニアさんが少し首を傾ける。

「魔法を教えてもらえないでしょうか。」

「魔法ですか。」

「はい、空いた時間なんかで大丈夫なんで魔法を教えてもらって強くなりたいと思ってるので。」

傾けた首が元に戻り、表情が笑顔になる。

「はい、それはぜひとも喜んで。もともとそれも、私の仕事の一つでしたので。」

「ありがとうございます。」

これでやるべきことが決まった。だが、今から2週間以内にどれだけの事が終わるのだろうか。

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