二足歩行のウサギ
「さて、今回のは配信では……まず初めに、二足歩行に挑戦しようと思う!!」
配信の画面に向け、そう言う俺。
その瞬間
『白兎の二足歩行チャレンジ………だとぉ!?』
『初っ端がそれかよw』
『でも、二足歩行の白兎は見てみたいかも?』
と、こんな感じで、面白そうと言わんばかりのコメントが書き込まれていた。
どうやら、反応は上々らしい。
「いやほら、二足歩行ってロマンがあるだろ?な?」
『どんなロマンだよw』
元人間たるもの、二足歩行で歩きたいんだよな。
そう思いながら、俺は二足で歩くため、上半身を起こそうとするものの……
「うぉっ!?」
物事はそう簡単には上手くいかないのか、立とうとした勢いでバランスを崩し、俺は、そのまま地面に倒れるのだった。
「痛てて…」
ゲームの世界でも、痛みはちゃんとあるのか……
『派手に倒れたな』
『大丈夫か〜』
「だ、大丈夫……」
そう言いつつ、もう一度トライする俺。
だが
「っ!?」
再び体勢を崩し、またもや倒れるのだった。
「チクショー!!これじゃあ生まれたての子鹿以下じゃねぇか!!」
二足で立つことって、こんなにも大変なのか……
今なら、人生で初めて立とうとしている、赤ちゃんの気持ちが分かる気がする。
『生まれたての子鹿以下w』
『大体合ってる』
『生まれたての子鹿に負ける白兎w』
「ぐぬぬぬ.......」
とまぁ、そんなこんなで奮闘すること三時間後………俺は、ようやく立つことに成功した。
やった!!生まれたての子鹿に勝てた!!
「どうだ!!これが雑魚モンスターのど根性だ!!」
勝ち誇った顔で、そう叫ぶ俺。
すると、画面上に、視聴者からのコメントが続々と書き込まれていった。
『おぉっ!!白兎が立った!!』
『二足歩行のウサギの爆誕w』
『何でだろう……涙が出てきた』
『生まれたての子鹿に対抗するウサギw』
『こういうスタイルの配信者は初めて見たわ』
ふふん、そうだろう。
何せ、この姿は俺の三時間の努力の結晶だからな。
視聴者のコメントを見ながら、そんなことを思っていたら
〈個体名シロはスキル【二足歩行】を獲得しました〉
どういうわけか、俺はスキルを獲得していた。
「......Why?」
おいおい、マジかよ。