女王からの試練
ところ変わって、ここは『蜜の樹窟』内にある闘技場。
女王魔蜂から、この場所を守る兵士としての試練を与えられる……ということなので、俺は今、その闘技場で何が起こるのかを待っていた。
『やっぱり、そう簡単に仲間入りは出来ないよな』
『てか、闘技場もあるのね…』
「『蜜の樹窟』って、どんだけ広いんだよ……」
闘技場をキョロキョロと見渡しながら、そう呟く俺。
すると、特等席らしき場所から、女王魔蜂が現れ
「よぉ、元気か?客人さん」
と言った。
「まぁまぁだな」
「そっか、それならええんやけどな」
ニシシと笑いながら、そう言う女王魔蜂。
「んで、これから試練を試練を始めるけど……準備は出来てるんか?」
「あぁ、出来てる」
俺がそう言うと……女王魔蜂は、待ってましたとばかりに、こう言った。
「それじゃあ……楽しい楽しい試練の始まりや!!」
そう言った後、女王魔蜂が指を鳴らすと……向こう側の扉が開くのと同時に、現れたのは
「っ!?」
蜂蜜のような色をした、スライムであった。
「何だ、アレ…?」
「あ、そや。言うのを忘れてたけど……今からアンタが戦うのは、全身が蜂蜜で出来たモンスターやで」
「はぁ!?」
蜂蜜で出来たモンスター!?
『そんなモンスターがいるのかよ!?』
『所々、運営側の遊び心を感じるな』
『まさかとは思うけど、ここからオール蜂蜜系モンスター!?』
「流石にウチの子と戦わせるわけにはいかんやろ」
いや理不尽!!
「ほらほら、前を見んと攻撃を喰らうで〜」
女王魔蜂の一言を聞き、咄嗟に前を向くものの
「グハッ!?」
結局、ハニースライムの攻撃を避けることは出来ず、ダメージを負ってしまったのだった。
「意外に痛いな!!」
そう呟いた後、今度は、ハニースライムに向けて攻撃する俺。
一方、攻撃を喰らったハニースライムはというと……体力が少しだけ減っただけで、まだピンピンしていた。
「なるほど、普通のスライムよりかは強い……ということか」
そんなことを思いながら、ハニースライムの攻撃を躱した俺は、【ノックバックⅠ】を使用して、ハニースライムを後退させた後……一気に近づき
「ごめんな」
と言った後、ハニースライムを食べたのだった。
「ん!!美味っ!!」
何で、ハニースライムを食べたのかって?
実は……【Re:Fantasy】内でモンスターを食べると、体力と魔力が回復する仕様となっているため、俺は、体力回復を兼ねた攻撃を行ったというわけだ。
「ハニースライムって、こんなに美味いのか!!」
『スライムを喰うウサギw』
『確かに、食べるのも攻撃の手段だけれどもw』
『でも、何か美味そう…』
そんな視聴者の言葉を尻目に、俺はハニースライムを食べ続けた結果、ハニースライムを倒すことに成功するのだった。
「ふぅ、とりあえず倒せたな」
味も美味しいし、体力も回復するし……一石二鳥だな。
「アンタ、中々面白い戦い方をするなぁ」
「そうか?」
女王魔蜂の言葉に対し、そう言う俺。
「んで?次の敵は?」
「もうすぐ来ると思うで〜」
女王魔蜂の一言と共に、闘技場に現れたのは……全身が蜂蜜で出来たゴーレムであった。
『また蜂蜜!?』
『やっぱ蜂蜜系モンスター縛りか』
縛り……ね。
レベルが低い俺からしてみれば、ありがたい限りだな。
「さてと……頑張りますか!!」