ユニーククエスト
【Re:Fantasy】では、他のゲームと同じく、クエストが存在する。
クエストをクリアすれば、お金やアイテム、装備などが貰えるが……
「ユニーククエストって何だよ…」
俺がプレイした頃には、ユニーククエストは無かった。
ということは……俺がゲームから離れてる間に、追加されたのか?
『まさかとは思うけど……ユニーククエストを知らないの?』
「逆に聞くけどよ………ユニーククエストってどんなクエストなんだ?」
『簡単に言えば、シナリオ付きのクエストってとこだな』
『特定の条件を満たせば、ユニーククエストが発生するんだよ』
『クリアすれば、レアなアイテムと称号を獲得できることで有名なんだよな』
なるほど、つまりはストーリーありの特殊クエストって感じか。
『あと、ユニーククエストをクリアしたら、挑戦したプレイヤーの名前が石碑に刻まれるんだっけ?』
『そうそう!!と言っても、負けたら二度と挑戦できないっていう鬼仕様だけどなw』
『正確には、勝っても負けても………らしいぞ』
「………マジか」
チャンスは一度きりのクエスト……か。
とりあえず、ユニーククエストの内容を見てみよう。
ユニーククエスト:【魔蜂防衛戦】
推奨レベル:無し
ストーリー:ひょんなことから、魔蜂を救ったあなたは、彼らの住処である『蜜の樹窟』を守るため、モンスター達と戦うことに。果たして、魔蜂達の運命は!?
「へぇ、推奨レベルがないってことは……俺でも参加できるのか」
『とか言って、油断するなよ』
『推奨レベルが無いとはいえ、基本的にユニーククエストに登場するモンスターは強いからなぁ』
特殊クエストなだけに、モンスターも強いのか。
まぁ、レベル上げをするにはいい機会なのかもしれないな。
「……分かった。アンタの依頼、俺が引き受けるよ」
〈ほ、本当ですか!!〉
俺の言葉を聞き、嬉しそうな反応をする魔蜂。
その瞬間
〈ユニーククエスト【魔蜂防衛戦】に挑戦しますか?〉
という音声と共に、ユニーククエストに関する画面が出てくるのであった。
もちろん、俺の答えは決まっている。
「YESだ!!」
そう言った後、YESのボタンを押す俺。
すると、その画面は光となって消えるのだった。
『シロさんがついにユニーククエストに参戦!!』
『二回目の配信なのに、内容が濃いなw』
例え、クリア出来なかったとしても、レベル上げが出来ればいいな。
そう思っていたら
〈助けていただいただけではなく、故郷まで救っていただけるなんて…〉
俺に対し、魔蜂は感動した様子で、そう言うのだった。
『何でだろう……魔蜂が可愛く見えるんだが』
『分かる』
『というか健気だなぁ』
「これも何かの縁だし、よろしくな」
〈はい!!〉
そう答えた後、ニコッと笑う魔蜂。
「ところで……個体名とは?」
〈無いですよ〜〉
そうか、俺は何らかのバグで個体名が付いたとはいえ、他の奴らには名前は付いていなくて当然ってことか。
「悪いな、変なことを聞いて」
〈いえいえ、大丈夫ですよ〜〉
……何か、申し訳ないことをしたな。
〈そういうあなたの名前は〜?〉
「俺か?俺はシロ、よろしくな」
〈シロさん!!いい名前ですね〜〉
「そ、そうか?」
バグが何かで付いた名前だけどな。
「んで、その『蜜の樹窟』ってどこにあるんだ?』
〈あ、それならご安心を!!僕が案内します!!〉
そう言った後、道案内をしてくれる魔蜂。
こうして、ユニーククエストに挑戦することになった、俺なのだった。