表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

2

 女神は思う。何が駄目だったのか。

 2tトラックでは軽すぎただろうか。ならば安易ではあるが、確実な改善方法がある。

 女神は10tトラックを突っ込ませた。通学中の佐藤に、である。

 佐藤は跳ねられた。跳ねられた上にタイヤですり潰された。その後バックで念入りに地面へ擦り付けられた。

 間違いがないよう、最大積載量を超過した荷も積んでいる。道路交通法違反――しかし世界の危機、大事の前に小事の違反など女神は意に介さぬ。



 しかし佐藤は、生きていた。

 満身創痍――体中の骨が砕け、穴という穴から血を吹き出している。しかし彼は立っている。

 トラックの運転手が血相をかえて降りてくる。佐藤は言い放つ。



「問題ありませんよ、運転手さん」



 かくして運転手の人生は守られた。しかし過積載で違反点数がつけられた。

 そのうえ女神の世界は守られていない。魔王は暗躍し、邪悪ははびこり、政治は腐り切っていた。

 女神は頭を抱える。佐藤は滅茶苦茶になったバッグを抱え通学する。体中の骨が砕け、穴という穴から血を吹き出しても止めぬ通学。

 その姿はまさに「勇者」。彼にとっては通学という目標こそ全て、それ以外には目もくれぬ。一点の目標へ突き進む王者の歩み。


 女神は驚愕とともに、決意を新たにした。必ずやこの学生を殺し、転生させんと。

 女神と佐藤の闘争は始まったばかりである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ